icon-anchor 1979年労働裁判所設置、労働裁判訴訟法

 1979年労働裁判所設置・労働裁判訴訟法

(改正:2007年、2015年、更新:2017年12月31日)翻訳:元田時男

 

前文省略

第1条 本法は「1979年労働裁判所設置・労働裁判訴訟法」と称する。

第2条 本法は官報で公布された日の翌日から施行する。

第3条 本法において

「労働裁判所」とは、中央労働裁判所、地方労働裁判所、県労働裁判所をいう。
「特別専門事件控訴裁判所」とは、特別専門事件控訴裁判所設置法法に基づく特別専門事件控訴裁判所をいう。
「特別専門事件控訴裁判所所長」とは、特別専門事件控訴裁判所設置法法に基づく特別専門事件控訴裁判所所長をいう。
 「使用者協会」とは、労働関係法に基づき設立された使用者の団体をいう。
 「労働組合」とは、労働関係法または国営企業労働関係法に基づき設立された労働者の団体をいう。

第4条 最高裁判所長官及び労働大臣が自身の権限に関係する部分について本法を所管する。
② 最高裁判所長官は、司法裁判所人事管理規則に関する法律に基づく司法委員会の同意を得て、規則を公布し、労働大臣は本法を執行するための省令を公布する権限を有する。
③ 規則及び省令は官報で公布されたとき施行する。

第1章 労働裁判所

第5条 バンコク都に中央労働裁判所を設置し、官報で公布されたときに開所する。
② 中央労働裁判所は、バンコク都、サムットブラカン県、サムットサーコン県、ナコンパトム県、ノンタブリ県及びパトムタニ県を管轄する。

第6条 地方労働裁判所を設置し、官報で公布されたときに開所する。裁判所の管轄地域及び開設場所も同時に公布する。

第7条 いずれかの県における県労働裁判所の開設は、管轄地域も併せて法律により行う。

第8条 労働裁判所は以下の事件について審理し、判決または命令を出す権限があるものとする。
(1)雇用契約もしくは労働条件協約に基づく権利と義務に関する事件
(2)労働者保護に関する法律、労働関係に関する法律、国営企業労働関係に関する法律、職業紹介および求職者保護に関する法律、社会保険に関する法律、または労働災害保険に関する法律に基づく権利と義務に事件
(3)労働者保護に関する法律、労働関係に関する法律、または国営企業労働関係に関する法律に基づく権利行使に関する事件
(4)労働者保護に関する法律による担当官、労働関係に関する法律による労働委員会、国営企業労働関係に関する法律による大臣、社会保険に関する法律による苦情委員会、労働災害保険に関する法律による労災保険基金委員会の裁定に対する不服申立に関する事件
(5)労使紛争に起因する使用者と労働者の違反、または雇用契約による労働に関する事件、また、労働に起因する労働者と労働者の違反に関する事件
(6)労働関係に関する法律、国営企業労働関係に関する法律、または職業紹介及び求職者保護に関する法律により、労働大臣が労働裁判所へ裁決するよう依頼した事件
(7)法律により労働裁判所の管轄であるとされている事件
② 第1項の事件は労働者保護に関する法律、労働関係に関する法律、国営企業労働関係に関する法律、職業紹介及び求職者保護に関する法律、社会保険に関する法律、労働災害保険に関する法律で担当官または定められた順序と手続きを定めている場合、定められた順序と手続きに従ったあと労働裁判所が扱う。

第9条 労働裁判所が開所された地方において、第1審裁判所は労働裁判所が管轄する事件を審理、裁決することはできない。
② 労働裁判所の管轄に属する事件であるか不明な場合は、労働裁判所またはその他の司法裁判所の管轄内で起きたかは問わず、当該裁判所は一時審理を中止して、問題を採決する特別専門事件控訴裁判所所長へ送付しなければならない。特別専門事件控訴裁判所所長の採決は最終とする。この場合、特別専門事件控訴裁判所所長の裁定に基づき、審理し、判決を下す裁判所を変更しなければならない場合、当初の裁判所は事件を当該裁判所へ移送しなければならない。また、判決を出す前の審理は有効である。ただし、移送を受けた裁判所が公平を期すため別の命令を出す場合を除く。

第10条 労働裁判所は司法裁判所法に基づき第1審とし、司法裁判所法の規定を準用する。

第2章 労働裁判所の裁判官

第11条 労働裁判所には裁判官及び司法裁判所職員管理に関する法律に基づく司法裁判所委員会が各裁判所の便宜性、必要性に基づき定めた人数の参審裁判官とで構成され、使用者側参審裁判官と労働者側参審裁判官の数はそれぞれ同数とする。

第12条 司法裁判所の司法職員の規則に関する法律に従い司法職員で労働問題に知識と理解がある者を労働裁判所の裁判官として国王が任命する。

第13条 中央労働裁判所及び地方労働裁判所には、それぞれ裁判長1人及び副裁判長を1人置く。また、政府の便宜と必要性に応じて、司法裁判所職員管理に関する法律に基づく司法裁判所委員会が最高裁判所長官の同意を得て1人を超え3人以内の副裁判長を置くことができる。
② 県労働裁判所には県労働裁判所の筆頭裁判官を裁判所当たり1人置く。

第14条 参審裁判官は司法裁判所職員管理に関する法律に基づく司法裁判所委員会が使用者側と労働者側の以下の手続きによる名簿から選び、国王が任命する。
(1)使用者協会、国営企業、及び労働組合は社会福祉労働者保護局長または委任を受けた者に対して第14/1条(5)及び(6)に基づき資格を審査するよう代表の名簿を提出しなければならない。社会福祉労働者保護局長または委任を受けた者は使用者協会、国営企業、及び労働組合が提出した名簿から、司法裁判所職員管理に関する法律に基づく司法裁判所委員会が定めた人数の2倍を超えない人数を選び、当該名簿を司法裁判所事務局長へ提出する。労働裁判所の管轄内に事務所を登録している使用者協会または労働組合がない場合または数が少ない場合、使用者協会と国営企業及び労働組合のほかに、もしあれば、当該労働裁判所の管轄内にある事業所の使用者の会議と労働者の会議により選出する。
 (2)労働省または司法裁判所委員会の告示に従い労働に関係する機関は、使用者側または労働者側の代表の名簿を社会福祉労働者保護局または委任を受けた者に対して第14/1条(7)に基づき資格を審査するよう代表の名簿を提出しなければならない。社会福祉労働者保護局長または委任を受けた者は、会議を開催し、使用者側と労働者側の代表を司法裁判所職員管理に関する法律に基づく司法裁判所委員会が定めた人数の2倍を超えない人数を選び、名簿を司法裁判所事務局長へ提出しなければならない。
② 以上は、司法裁判所委員会が定める規則により、労働に関する各関係者の代表ヘ機会を分散するもので、この規則は官報で公布したとき施行される。

第14/1条 国王が任命する参審裁判官は以下の資格がなければならない。
(1) タイ国籍者
(2) 第14条に基づき使用者側と労働者側の代表名簿が提出された日に満30歳以上であること
(3) 第14条に基づき名簿が提出された日まで、労働裁判所の管轄地に1年以上住所または事務所を有していたこと
(4) 労働裁判所の参審裁判官であった者を除き、高校3年卒以上または同等以上の学歴があること
(5) 第14条に基づき使用者側の代表名簿が提出された日に、使用者協会または国営企業が提出者である場合、2年以上使用者協会の委員であったこと、かつ、当該使用者協会は労働裁判所の管轄内に事務所を登記していること、または、2年以上国営企業労働関係に関する法律に基づく国営企業の管理者であること。事業所の使用者側の代表の会議で提出された場合、名簿を提出された者は事業所の持ち主であるか、事業所の労働者であるが雇用、報奨の支給、減俸、解雇について使用者を代理する者であること。また、事業所は労働裁判所の管轄内に所在すること。
(6) 第14条に基づき労働者側の代表名簿が提出された日に、労働組合が提出者である場合、2年以上労働組合の委員であったこと、かつ、当該労働組合は労働裁判所の管轄内に事務所を登記していること。または。事業所の労働者側の代表の会議で提出された場合、名簿を提出された者は労働裁判所の管轄内に所在する事業所の労働者であること。
(7) 第14条に基づき使用者側または労働者側の代表名簿が提出された日に、労働省または労働に関する委員会もしくは機関が名簿を提出したのであれば、名簿にある者は(5)または(6)の資格がなければならない。
(8) 国王を元首とする民主主義に賛同する者であること
(9) 次の者でないこと。破産者、成年被後見人、被保佐人、精神異常者または認知症、精神的に参審裁判官に向かない、司法裁判所人事管理に関する法律に基づく司法裁判所委員会の規則にある病人
(10) 最終判決で禁固刑を受けたことがないこと。ただし、過失、軽犯罪を除く。
(11) 労働者保護に関する法律、労働関係に関する法律、国営企業労働関係に関する法律、職業紹介および求職者保護に関する法律、社会保険に関する法律、または労働災害保険に関する法律に違反したと最終の判決をされたことがない者。ただし、刑罰を受けて2年以上経過しているか、裁判所が定めた執行猶予期間を過ぎた者を除く。
(12) 資金洗浄防止に関する法律により最終判決で資産が国庫に入り、まだ返却されていない者になったことがないこと。
(13) 次の者でないこと。政治職、政党管理に責任を持つ委員または地位にある者、政党の顧問、政党の職員、国会議員、バンコク都議員、地方自治体議員、選挙または選任による地方自治体の管理者、弁護士
(14) 政府、政府機関、国営企業または政府のその他の機関から罷免されたことがないこと。
(15) 公序良俗に反したことがないこと。
(16) 第15条(6)により参審裁判官を辞任したことがないこと。

第14/2条 参審裁判官は、その地位に就くまでに労働裁判所に関する知識、参審裁判官の権限、規則、地位に関して、司法裁判所職員管理に関する法律に基づく司法裁判所委員会が定める基準と手続きにより講習を受けなければならない。また、中央労働裁判所長、地方労働裁判所長、または県労働裁判所長に対して、使用者側または労働者側のいずれにも偏らず職務を公正に遂行し、政府の秘密を守る旨宣誓しなければならない。

第14/3条 参審裁判官の任期は3年とする。ただし、国王から任命された場合再任されることができる。
② 参審裁判官の職務遂行に当たって、労働日の労働を行ったものとみなし、使用者は適切に便宜を与えなければならない。

第15条 参審裁判官は以下の場合、退任する。
(1) 任期により退任したとき
(2) 死亡したとき
(3) 辞任したとき
(4) 第14/1条に基づく資格を失ったとき
(5) 最終判決で禁固刑を受けたとき
(6) 正当な理由なく継続して3回職務を履行しなかったとき
(7) 品行が参審裁判官に相応しくないとき
② 上記(2) による退任は奏上し、(1) または(3) による退任は奏上して許可を得、(4) 、(5) 、(6) または(7) による退任は司法裁判所職員管理に関する法律に基づく司法裁判所委員会の同意を得て、奏上して許可を得なければならない。

第16条 中央労働裁判所裁判長、地方労働裁判所裁判長、県労働裁判所裁判長またはその代行者は使用者側及び労働者側の参審裁判官の職責を定めるものとする。その場合、使用者側及び労働者側の参審裁判官を補充としておくことも可能である。

第17条 第18条により労働裁判所は裁判官、使用者側参審裁判官及び労働者側参審裁判官が両方同数をもって事件審理判決の定足数とする。

第18条 裁判手続きは、審理および判決を除き、労働裁判所の裁判官は使用者側参審裁判官及び労働者側参審裁判官と共同するしないにかかわらず進め、命令を出すことができる。

第19条 民事訴訟法典の裁判官忌避の規定を参審裁判官の忌避に準用する。

第20条 参審裁判官は裁判に当たり同一裁判が終結するまで裁判をしなければならない。ただし、病気その他の避けられない理由があるときは、第16条により権限のある者は補欠としていた参審裁判官に担当させるか、ない場合は代わりの参審裁判官に担当させなければならない。

第21条 参審裁判官は勅令の定めにより報酬、交通費、宿泊費、その他の報酬を受取ることができる。

第22条 新任に参審裁判官がまだ選任されていないか、選任されていてもまだ職に就いていない場合、退任する参審裁判官に代行させなければならない。
② 任期切れにより退任しなければならない参審裁判官は、審理中の裁判が終結するまで裁判を続ける権限がある。ただし、任期の日から60日を超えてはならない。

第23条 参審裁判官は刑法典の司法官である。

第24条 司法官規律法の規律と管理に関する規定を参審裁判官に準用する。

第3章 労働裁判の審理

第1節 総則

第25条 労働事件の当事者に対する訴状その他の書類の送付は裁判所の書記官が行うか、労働裁判所が書留配達証明郵便またはファクス、その他の方法で送付することを定めることができる。

第26条 本法に定められた期間または労働裁判所が定めた期間は、労働裁判所が必要に応じて、または公平のため短縮、延長することができる。

第27条 訴状の提出から裁判まで、労働裁判所は訴訟手数料を免除する。

第28条 必要な場合、労働裁判所は訴訟手続きを事件の発生地、またはその他の場所、または休日、またはいかなる時刻でも行うことを命令することができる。

第29条 労働事件の裁判を、節約し、簡便に行い、迅速に行い、公平に行うため、中央労働裁判所の裁判長は最高裁判所裁判長の許可を得て規則を定めることができる。
② 当該規則は官報で公布されたとき施行される。

第30条 労働裁判所は、審理のため有資格者または専門家の意見を聴取することができる。

第31条 本法に抵触しない限り、民事訴訟法典の規定を労働裁判の裁判手続きに準用する。

第32条 労働裁判所が当事者のいずれかが労働者保護に関する法律、労働関係に関する法律の順序を間違い、または条項に違反していると認めた場合、労働裁判所は当該当事者に対して法律に従うよう命令することができる。
② 第1項の違反に対する労働裁判所の命令に違反した場合、労働裁判所は履行するまで、6ヶ月を限度として拘留することができる。

第32/1条 労働事件が発生したとき、誰でも自身が今後使用しようとする証拠物件がなくなる恐れを感じたとき、または提出するのが難しくなると感じたとき、または、当事者のいずれかが提出したいと希望している証拠物件がなくなると感じたとき、当該個人または当事者は労働裁判所に直ちに処置するよう請求することができる。
② 労働裁判所が当該請求を受けたとき、請求者および当事者、または関係第三者に裁判所へ出頭するよう命令し、関係者から聴取し、裁判所は適当と思料するとき関係物件を関係法律に従い裁判所が保管しなければならない。

第32/2条 緊急の場合、第32/1条に基づく請求があった場合、請求者は裁判所が遅滞なく処置するよう、裁判所が適宜条件をつけて証拠物件を押収するよう併せて請求することができる。
② 民事訴訟法典の第261条、第262条、第263条、第267条、第268条及び第269条の規定を第1項に準用する。

第2節 労働裁判所における労働事件の審理

第33条 労働事件の事件が発生した場所の労働裁判所へ提訴するものとする。原告が原告または被告の住所を管轄する労働裁判所へ提訴したいと願う場合、原告が当該裁判所での裁判が便利であることを示した場合、労働裁判所はそのように提訴することを許可することができる。
② 本条の便宜のため、労働者の就労場所を労働事件が発生した地とみなす。
③ 裁判手続きがどこまで進行したかを問わず、労働裁判所が判決もしくは最終命令を出す前であれば、当事者は原告が提訴した労働裁判所に対して管轄権を有する他の労働裁判所へ事件を移送することを請求することができる。その場合、移送の理由と必要性を申立なければならない。労働裁判所が適当と認めた場合、許可することができる。ただし、この許可は移送を受ける労働裁判所から事前に承諾を受けておかなければならない。承諾がない場合、元の裁判所は特別専門事件控訴裁判所所長へ移送しなければならない。特別専門事件控訴裁判所所長の決定は最終のものとする。

第34条 地方労働裁判所の管轄地にある県において、まだ県労働裁判所が開設されていない場合、原告は県裁判所または地方労働裁判所へ提訴することができる。原告が県裁判所へ提訴した場合、県裁判所は地方裁判所へ通知しなければならない。地方労働裁判所は当該通知を審査し、県裁判所に移動して裁判を行わなければならない。

第35条 原告は裁判所へ訴状をもって提訴することも、口頭で提訴することもできる。
② 原告が口頭で提訴する場合、公正を期すため裁判所は必要な質問を行い記録し、原告に対して読上げ、原告に署名をさせるものとする。
③ 複数の原告がある場合、裁判所はその中の1名または複数名を訴訟代表として任命することができる。
④ 第3項の代表任命の手続きは第29条に基づく規則によるものとする。

第36条 使用者または労働者は、自身が会員、組合員である使用者協会または労働組合、または労働者保護に関する法律、労働関係に関する法律に基づき訴訟を行う権限のある担当官に訴訟を代理するよう委任することができる。

第37条 労動裁判所は事件を受理し審査したのち、労働裁判所は審理の日時を遅滞なく定め、被告に召喚状を送付しなければならない。その召喚状には訴状の請求内容を記載して被告に通知しなければならない。また、労働裁判所は原告を同日時に出頭するよう命令しなければならない。
② 被告は出頭の日時の前に文書で証言を提出することができる。

第38条 両当事者の今後の友好的な関係を維持して解決しなければならないという労働裁判の性格を勘案して、原告と被告が出頭したとき、労働裁判所は当事者双方が合意し和解するようにしなければならない。
② 労働裁判所があっせんするに当たっては、当事者のいずれかが申立てたとき、または労働裁判所が適当と認めたとき、労働裁判所は当事者のみで非公開の裁判を行うよう命令することができる
③ 労働裁判所が調停したにもかかわらず、両当事者が合意しないか和解が成立しない場合、労働裁判所は次に裁判を行うものとする。

第39条 合意できない、または和解できない問題がある場合、労働裁判所はその争点、原告の口頭弁論、被告の証言を記録して読み上げ双方に署名させるものとする。これにはいずれの当事者の証言を前後にするかを記載することができる。そして、労働裁判所は直ちに次回の尋問の日を定めなければならない。
② 被告が証言を拒否した場合、労働裁判所はそれを記録し、裁判を続けるものとする。

第40条 原告が第37条による召喚状を受けたにもかかわらず、理由を通知せず、指定日に出頭しなかった場合、原告には裁判継続の意志がないものとみなして、労働裁判所は訴訟を却下する命令を出すものとする。
② 被告が第37条による召喚状を受けたにもかかわらず、理由を通知せず、指定日に出頭しなかった場合、労働裁判所は出頭しなかったという命令を出し、一方的に判決を行うものとする。
③ 原告または被告が出頭しない理由を申立、労働裁判所が正当と認めた場合、双方を新たな日時を指定して召喚することができる。

第41条 第40条第1項に基づき労働裁判所が訴訟の却下を命令し、または第40条第2項に基づき被告が出頭しなかった命令を出した場合、命令の日から7日以内に原告または被告が出頭しなかった理由を提出した場合、労働裁判所はその理由を調査することができる。その理由が適切であると認めた場合、労働裁判所は第40条に基づく命令を取消す命令を出し、第40条による命令があったあと、そのような審理がなかったときと同様新たに審理を継続するものとする。

第42条 第39条第2項で被告が証言を拒否した場合、または40条第2項により一方的に判決を行う場合、労働裁判所は判決を行う前に必要に応じて証人を喚問し証拠を調査することができる。

第43条 事件の審理がどこまで進んでいるかにかかわらず、第38条に基づき労働裁判所は当事者が合意し和解するように常にあっせんしなければならない。

第44条 事件の全ての事実を明らかにするため、当事者双方の証拠を集め、労働裁判所が定めた期限内に適切に整理することができる。

第45条 事件の事実を明らかにし、公平を期するため、労働裁判所は自ら証人を喚問し証拠を調べることを適宜行うことができる。
② 当事者が申請したものか労働裁判所が自ら喚問したのかは問わず、労働裁判所が証人の尋問を行うものとする。当事者もしくは弁護士は労働裁判所の許可を得て証人に対して尋問できるものとする。
③ 事件を早急に終わらせるため、労働裁判所は重要な場合を除き休廷せず連続して審理しなければならない。労働裁判所が休廷する場合は1回につき7日を超えないものとする。

第46条 証人の証言を記録する場合、労働裁判所が適当と認めたときは要約のみとし、その記録に証人の署名をさせるものとする。

第47条 労働裁判所が有資格者もしくは専門家の証言を求めたとき、司法裁判所管理委員会が司法官管理法に基づき適切と判断した医療費、交通費、宿泊費を支給するものとする。

第48条 労働事件を審理する場合、労働裁判所は、当事者双方の公平を期すため、就労の状況、生活費、困苦の度合い、賃金水準、同業種労働者の権利、利益、及び使用者の地位、その他経済社会の状況に留意するものとする。

第49条 使用者が労働者を解雇した事件の場合、労働裁判所は不当解雇と認めたとき、労働裁判所は使用者に対して労働者を元の賃金で元の職場へ復帰させるよう命ずることができる。ただし、使用者と労働者が引き続き協力して労働を続けられないと判断したとき、労働裁判所は使用者が支払うべき損害賠償金を決定することができる。損害賠償金の金額を定める場合、労働者の年齢、勤続年数、解雇された場合の困窮の度合い、解雇の原因、労働者が得る補償金に留意するものとする。

第50条 証人の尋問が全部終了したとき審問は終了したとみなす。ただし、当事者は、審理終了の日に最終的な弁論を行うことができる。労働裁判所は審理終了の日から3日以内に判決文または命令書を読上げなければならない。参審裁判官は判決文または命令書に署名をしていた場合、読上げ時に出廷する必要はない。
② 労働裁判所が判決文または命令書を読上げる前に、公平を期すために必要と認めた場合、審理を続けることができる。

第51条 労働裁判所の判決文または命令書は文書で作成、事実の要点、争いに対する判断とその理由を記載しなければならない。
② 労働裁判所は最高裁判所の判決文の写しを遅滞なく労働省へ届けなければならない。

第52条 労働裁判所は訴状の範囲を超えた判決、命令をすることはできない。ただし、労働裁判所が当事者の公平のために適当と認めたときを除く。

第53条 判決文または命令書は労働裁判所の裁判を受けた当事者のみを拘束するものとみなす。ただし、労働裁判所は、事件と共通の問題を持つその他の使用者、労働者を拘束するものと決定することができる。

第4章 控訴および最高裁判所

第54条 労働裁判所の判決もしくは命令に対する控訴は、法律問題についてのみ特別専門事件控訴裁判所へ、本法の規定に基づき、控訴できる。ただし、本法に適用可能な条項がない場合、民事訴訟法典の条項を準用することができる。
② 控訴は判決、命令を出した労働裁判所に対して、判決文もしくは命令を読んだ日から15日以内に文書により行なわなければならない。労働裁判所は他方の当事者へその写しを送付するものとする。他方の当事者は控訴文の写しを受理した日から7日以内に抗弁するものとする。
③ 第2項による抗弁が行われるか否かに関係なく、労働裁判所は遅滞なく特別専門事件控訴裁判所に対して写しを送達しなければならない。

第55条 控訴は労働裁判所の判決、命令の執行を軽減するものではない。ただし、控訴した当事者は、判決、命令を出した労働裁判所に対して、正当であるという申請を出し、特別専門事件控訴裁判所が執行の軽減を命ずることを請求できる。

第56条 特別専門事件控訴裁判所は労働事件を遅滞なく審理し判決または命令を出すものとする。
② 特別専門事件控訴裁判所の審理判決は、労働裁判所が出した事実に基づくものとする。ただし、労働裁判所が審尋した事実が法律上の審理を行うには不足していると認めたとき、特別専門事件控訴裁判所は労働裁判所に事実を更に補填するように命令し、労働裁判所は実行したあと遅滞なく写しを特別専門事件控訴裁判所へ提出するものとする。
③ 労働裁判所が補填した事実が判決を変更させることなると判断した場合、労働裁判所は再度事件の判決を行うが、そのときは第54条、第55条を準用する。

第57条 特別専門事件控訴裁判所における労働事件の審理、判決および判決もしくは命令の結果については本法および民事訴訟法典の規定を準用する。
② 最高裁判所における労働事件は本法および民事訴訟法典の規定を準用する。

第5章 判決前の臨時措置及び判決、命令の執行

第58条 判決、命令が出される前に、当事者または関係者を保護する必要があれば、または判決、命令を執行するため、労働裁判所は民事訴訟法典に一般に規定されている権限のほか、適当な命令を出すことができる。

経過措置

第59条 中央労働裁判所、地方労働裁判所、県労働裁判所を開設する場合、司法裁判所法の第3条に基づく第1審裁判所で審理中の労働裁判所管轄に属する事件は、司法裁判所法第3条に基づく第1審裁判所が引き続き最後まで審理するものとする。ただし、当該裁判所が適切と認めた場合、当該事件の裁判管轄を有する中央労働裁判所、地方裁判所、または県裁判所へ移送することもできる。

第60条 地方労働裁判所、県労働裁判所が開設されていない地区については中央労働裁判所が当該地区を管轄するものとする。原告は当該地区の県裁判所へ提訴することもできる。その場合、県裁判所は中央労働裁判所へ通知し、中央労働裁判所は審査したあと、当該県裁判所へ移動して裁判を行うものとする。
    
(おわり)