icon-anchor 1987年退職金積立基金法(プロビデント基金法)

1987年退職金積立基金法(プロビデント基金法)

(改正:1999年、2007年、2015年、2017年)
更新:2017年11月17日 翻訳:元田時男

前文省略

第1条 本法は「1987年退職金積立基金法」と称する。

第2条 本法は官報公布日の翌日から施行する。

第3条 本法において、
「基金」とは、退職金積立基金をいう。
「単独使用者基金」とは、使用者が一つである労働者のための基金をいう。
「複数使用者基金」とは、使用者が複数である労働者のための基金をいう。
「賃金」とは、使用者が労働者の労働の対価として支払う金銭をいう。いかなる規定、金額、方法、名称で支払われるかは問わない。ただし、時間外勤務手当て、休日労働手当て、または使用者が控除するその他の金銭または便益、または労働の便益のため労働者に支払われる追加金は含まない。
「使用者」とは、賃金を支払う合意により労働者を働かせる者をいい、自然人、法人を問わず、また、その合意は文書による契約であるかないかを問わない。
「労働者」とは、賃金の支払いを受けて使用者のために働くことを合意した者をいい、文書による契約があるかないかを問わない。
「登記官」とは、大臣が退職金積立基金の登記官として任命した者をいう。
「担当官」とは、大臣が本法執行のため任命した者をいう。
「大臣」とは、本法を所管する大臣をいう。

第4条 財務大臣を本法所管の大臣とし、登記官、担当官を任命し、省令を公布し、その他を管掌する権限を与える。
② 省令は官報で公布されたとき発効するものとする。

第1章 設立

第5条 基金は労働者と使用者の合意により、かつ本法に基づき登記したとき設立される。基金は労働者が死亡したとき、退職するときまたは基金から脱退するときの保証となり、基金の規約に従い、労働者は積立金を納付、使用者は拠出金を納付する。基金は単独使用者基金または複数使用者基金として設立し、単独あるいは複数の運用方針で運用することができる。

第6条 第5条により、労働者と使用者が基金設立を合意した場合、省令で定める基準と手続きにより登記官に対して登記申請書を提出しなければならない。
② 本法施行前に厚生基金を設立しており、本法による基金に変更したい場合は、第1項に基づく手続きを行なわなければならない。

第7条 登記された基金は法人とする。

第7/1条 基金は下記の資産により構成される。
(1)積立金および拠出金
(2)第6条第2項に基づく労働者の積立金
(3)第10条第2項に基づく追加金
(4)寄贈による資産
(5)基金内の資産の運用から産出された資金、益金
(6)転勤してきた労働者が以前の基金または公務員の共済基金から移した資産。資産の移動は登記官が告示で定めた基準と手続きによること
(7)登記官が定めて告示したその他の資産

第8条 基金の登記申請に当たり、第6条に基づく手続きを完全に行ない、第9条に基づく規約を作成、規約が法律または基金の目的に違反していない限り、登記官は登記を受理し登記証を発行しなければならない。
② 登記官は登記を官報で公布しなければならない。

第9条 基金の規約には、少なくとも以下の条項を記載しなければならない。
(1)冒頭「退職金積立基金」の言葉を置き、最後に「登記済み」の言葉を置く名称
(2)事務所の所在地
(3)目的
(4)会員の加入、脱退方法
(5)理事の数、選出、地位の決定、退任の手続き、および理事会会議の規定
(6)労働者の積立金、および使用者の拠出金に関する規定
(7)労働者が受ける給付の基準と手続きに関する規定
(8)労働者の脱退、または第25条による基金の解散する場合の基準、手続き、期間に関する規定
(9)基金運営費用に関する規定
(10)総会に関する規定、または
(11)省令で定めるその他の規定
② 基金の規約改正は、基金理事会が、改正決議の日から15日以内に登記しなければならない。また、登記官が登記を受理するまでは効力がない。

第10条 賃金支給の度に、使用者が賃金から控除して積立金を納付し、使用者は規約に定められた率により拠出金を納付しなければならない。規約では、賃金の2パーセント以上15パーセント以下の積立金、拠出金を定めなければならない。
② 労働者および使用者は、大臣の許可により第1項に定める率より高い率で積立金および拠出金を合意することができる。
③ 使用者は、賃金の支給日から3営業日以内に第1項による積立金を基金へ納付しなければならない。使用者が積立金または拠出金の納付を3営業日以上遅らせた場合、使用者は積立金または拠出金に対し月当たり5パーセントの率で追徴金を基金へ納付しなければならない。

第10/1条 大臣がどこかの地域で社会的経済危機が発生したと認めたとき、事業の種類、期間、または状況を指定し、最長1年間使用者または労働者が積立金または拠出金の納付を遅らせることを定めることができる。その場合の基準は大臣が定めて告示する。

第11条 労働者が選出する代表と使用者が選出する代表で基金理事会を設立、基金を管理し、外部の第三者に対して基金を代表する。また基金支配人を選出する権限を有する。理事会は文書により理事の一人または複数人に代表させることもできる。
② 基金支配人の選出または理事の交代について、理事会は選出、交代の日から14日以内に登記しなければならない。

第2章 基金の運営

第12条 大臣は、本法の規定全般を管理する権限を有する。
②第1項の規定を執行するため、大臣は所管の機関に代理させることができ、当該機関の担当者を本法執行のための担当官として任命させることができる。

第12の2条 登記官は、基金を監督し、支配人に基金の運営について報告をさせることができる。
② 登記官は、支配人が基金に損害を与えるような運営をしていると認めた場合、その行為を差止め、あるいは支配人を解任するよう命令することができる。

第12の3条 登記官は年間少なくとも2回、大臣に対して、基金の運営状況を報告しなければならない。
② 基金運営が本法に従っているかを監督するため、大臣は登記官に対して、報告をするよう命令することができる。

第13条 基金の運用は使用者ではなく、証券および証券取引法に基づく取引の免許を有する者に行わせなければならない。

第14条 基金の運用に当って、基金支配人は、証券および証券取引法に基づく私的基金の運用に関する規定に従う義務がある。

第15条 使用者は自身の会計、書類と基金のそれとを厳密に分離しなければならない。

第16条 基金の運用に当たって、基金の支配人は、労働者が指示している運用方針に従い運用しなければならないが、労働者が運用方針を明示していない場合は、過去の運用運用方針に従い運用しなければならない。過去の運用方針がない場合、規約に従って運用しなければならない。規約に運用運用方針がない場合、最も危険の少ない運用をしなければならない。

第17条 基金の支配人は、基金ごとの資産を分割して、基金の種類に基づき以下のように収入、支出を記帳しなければならない。
(1)複数使用者基金の場合、基金の収入、支出は使用者ごとの利益に比例して分割記録するものとし、以下の収入と支出は単独使用者基金のように記帳するものとする。
(a)使用者によって基金に繰入れられる追加金
(b)労働者が脱退するとき労働者の資産とはならず、基金の規約により基金の資産となる使用者の拠出金と益金
(c)裁判所の判決または命令により基金が清算しなければならない損金または利息
(d)第23条第4項に基づき基金の所有となる金銭
(e)登記官が定めて告示するその他の収入と支出
② 第1項の(a)、(b)、(d)および(e)に基づく基金の収益は基金の規約により労働者の利害関係または使用者が使用する労働者の数の平均により計上することができる。
(2)運用運用方針が複数ある場合、それぞれの運用方針ごとに資産を分けて記帳しなければならない。その場合、発生した収支が運用運用方針によるものであれば、基金の当該運用方針の帳簿に収支として記帳しなければならない。その他の収支は運用方針ごとの資産の割合に応じて記帳すること。

第18条 削除

第19条 削除

第20条 基金の支配人は以下の場合、契約上の任期前に退任する。
(1)登記官が、第12の2条に基づき解任を命令したとき。
(2)支配人の資格を喪失したとき。
(3)基金と支配人の契約が終了したとき。または、
(4)第25条により基金が解散したとき。

第21条 基金の支配人が、第20条の(1)、(2)あるいは(3)により退任した場合、基金の理事会は、退任の日から30日以内に新しい支配人を選任し、選任の日から14日以内に登記官へ通知しなければならない。

第22条 労働者と使用者は営業時間内に、基金の事務局において帳簿、関係書類を検査することを請求することができる。

第3章 基金からの支払いおよび基金の解散

第23条 第23/2条、第23/3条および第23/4条により労働者が、基金の解散以外で脱退するとき、支配人は基金から基金の規約に基づく基準と方法および第23/1条により、労働者に対して、脱退の日から30日以内に一度に全額払い戻さなければならない。
② 死亡により脱退した場合、労働者が遺言で相続人を定めていないとき、または、労働者が文書により支配人に対して特定の人物を受取人として委任していたが当該人が事前に死亡していた場合、以下の基準により払戻さなければならない。
(1)子供は2単位。ただし、子供を3人以上有していた場合3単位。
(2)配偶者は1単位。
(3)両親または生存している父親もしくは母親は1単位。
③ 死亡者が(1)、(2)または(3)の個人を有していない場合、また、死亡している場合、第2項に基づく割合で、生存している個人で権利を有する者に払い戻さなければならない。
④ 死亡者が第2項による生存している権利者を有していない場合、または法律による相続人がいない場合、払戻金は基金の規約により基金の財産に繰り入れるものとする。

第23/1条 複数使用者基金の場合、労働者が脱退し、支配人が当該人の益金の計算をするとき同一使用者の全労働者の益金から計算しなければならない。
② 複数運用方針の基金の場合、支配人が当該人の益金を計算をするとき、当該人が利害関係を有する運用運用方針の勘定から計算しなければならない。

第23/2条 労働者が規約に基づき定年退職するか満55歳以上で退職し、基金から分割して支払いを受けたいと希望する場合、基金の支配人は当該労働者の意志にそって基金から支払わなければならない。その場合、基金の規約で定めた期間は基金の会員である。ただし、当該労働者および使用者は積立金、拠出金を納付する必要はない。分割払いは登記官が定めて告示する基準に従わなければならない。

第23/3条 労働者が如何なる理由であれ退職することにより会員でなくなった場合、基金から受取る権利のある益金は全て残し、以後会員の地位を残しておく権利がある。その場合、労働者と使用者は積立金および拠出金を納付する必要はない。その期間は規約で定めるが、退職の日から90日以上でなければならない。

第23/4条 使用者が複数使用者基金から撤退し、新しい基金は設立しない、または労働者が理由の如何を問わず、もしくは基金を廃止により脱退する場合、労働者が基金の支配人もしくは清算人に対して自身が受取る権利がある払戻金を第23/2条、第23/3条に基づく退職後の保証、老後の保障のために受取ることを要求した場合、基金の支配人もしくは清算人は労働者の意志に従わなければならず、登記官は手続き、条件を定めて告示することもできる。

第24条 第23条、第23/2条および第23/3条条の規定による払戻金の権利は譲渡することができなく、訴訟の対象にはならない。

第25条 基金は以下の場合解散する。
(1)使用者が事業を廃業したとき。
(2)総会で解散を決議したとき。
(3)規約で解散を規定していたとき、または、
(4)登記官が第27条により解散を命令したとき。
② 基金が、一人以上の使用人により設立されていた場合、使用人の誰かが廃業したとき、」または基金から脱退したとき、基金解散の理由とはならない。ただし、基金の規約が解散を規定していた場合を除く。
③ 第2項の事態が発生した場合、基金の理事会は、使用者が廃業した日もしくは脱退した日から7日以内に登記官へ報告し、規約に基づく手続きにより当該使用人のおよび労働者の財産の帳簿を清算しなければならない。帳簿を清算し終えたとき、清算が終了した日から7日以内に登記官に対して通知しなければならない。

第26条 基金が、第25条の(1)、(2)または(3)により解散した場合、基金の理事会は基金解散お日から7日以内に登記官へ通知し、基金の理事会は30日以内に帳簿の清算を行い、解散の日から150日以内に終了しなければならない。ただし、登記官が適当と認める範囲内で期限を延長した場合を除く。

第27条 登記官は、大臣の了承を得て、下記の場合、基金に解散を命ずることができる。
(1)基金が目的または法律に従っていないという恐れがあるとき。
(2)理由のいかんによらず、基金の運営が継続不可能という恐れがあるとき。
② 第1項により、登記官が解散を命じた場合、帳簿を清算し、登記官は精算人を任命しなければならない。

第28条 第25条により基金が解散した場合、登記官は官報で告示し、基金の事務所または登記官の事務所において掲示しなければならない。

第29条 基金の帳簿清算は、民商法典のパートナーシップおよび株式会社の清算の規定を準用する。
② 帳簿の清算の期間内に、精算人が労働者へ払い戻すことが適当と認めた場合、または清算が完了したとき、生産終了の日から30日以内に労働者へ払戻さなければならない。
残金がある場合は基金の規約に従って処理しなければならない。
③ 清算の費用、報酬は基金の財産から支払わなければならない。

第4章 担当官

第30条 基金の検査のため登記官および担当官は以下の権限を有する。
(1)事業、資産、負債を調査するため、基金または支配人の事務所へ通常の労働時間に立入ること。
(2)基金の運営に関係している理事、支配人または担当者に対して、帳簿または証拠書類を提出、または提示させること。
(3)(2)の関係者を召還して基金の運営について調査すること。

第31条 担当官は、業務執行に当たり関係者に身分証明書を提示しなければならない。
② 身分証明書の様式は、登記官が官報で告示する。

第5章 罰則

第32条 名称の冒頭にタイ語による「退職積立基金」、最後の「登記済み」を使用しない場合、または同様の外国語の名称を、印証、看板、文書、書類等に使用しなかった場合、5千バーツ以下の罰金に処す。

第33条 本法による基金でないものが、名称の冒頭にタイ語による「退職積立基金」、最後の「登記済み」を使用した場合、または同様の外国語の名称を、印証、看板、文書、書類等に使用した場合、5千バーツ以下の罰金および使用に対し取りやめるまで1日当たり500バーツ以下の罰金に処す。

第34条 理事会が、第11条第2項、第21条、第25条第3項もしくは第26条に従わない場合、または第13条に基づく資格のない者を支配人に選出した場合、1万バーツ以下の罰金に処す。

第35条 支配人が、第12の2条、第16条、第17条、第23条、第23/1条、第23/2条または第23/4条に基づく登記官の命令に従わなかった場合、5万バーツ以下の罰金に処す。

第36条 削除

第37条 使用人が第15条に従わなかった場合、2万バーツ以下の罰金に処す。

第38条 削除

第39条 削除

第40条 登記官または担当官の命令に従わず、第30条による登記官または担当官の執行を妨害し、便宜を供与しない場合、5千バーツ以下の罰金に処す。

第41条 基金理事会が第34条に違反した場合、基金理事会の各理事が違反したとみなす、ただし、違反に同意せず、反対した証拠がある場合を除く。

第42条 大臣が任命する委員会は、本法違反に対して刑事訴訟法第38条に基づき法的処置をとることができる。
② 第1項により大臣が任命する委員会は、3名とし、内1名は刑事訴訟法による捜査担当官でなければならない。
③ 委員会が提訴した場合、容疑者が委員会の定める期間内に罰金を納付したとき,事件は終結する。

第43条 本法の違反について、裁判所に提訴しなかった場合、または、登記官または担当官が、違反を発見したときから1年以内に、または違反から5年以内に第42条により委員会が法的処置をとらなかった場合、時効になる。

(おわり)

 

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