icon-anchor タイにおける機械の導入による合理化(人員整理)
Q:当社のタイにおける現地法人では人件費が上がってしまい業界の景気低迷により赤字体質となってしまいました。そこで、丁度省力化の機械ができたこともあり、人員の一部を解雇して効率を上げたいと考えていますが、法律上留意することがありますか。

A:1998年労働者保護法121条では、機械の導入を含む合理化により人員を減らす場合は、最低60日以上前に、労働監督官と解雇される本人へ事前通告をしなければならないと定めています。両者に通告ということにご注意下さい。そして60日より短い期間で通告した場合、解雇補償金に加えて60日分の特別解雇補償金を支払わなければなりません。
 それでは、事前通告をして解雇補償金を支払えばそれで済むかと申しますと、過去の例では済まないで不当解雇として労働裁判所に提訴されたケースがありますので、安心はできません。とくにホアマンクラス以上から提訴される可能性はあります。労働者が不当に解雇されたと感ずれば裁判所に訴える権利はあるのですから誰も止められません。 
 これは日本では整理解雇と称され、バブル崩壊で整理解雇が盛んに行われましたが、提訴されるのを避けるため退職金を割増して希望退職を募ることが一般的に行われました。日本では整理解雇には最高裁判例では次の四つの条件が必要とされています。
1)解雇回避努力をしたか
2)解雇人選が合理的であるか
3)労働者、組合と協議を尽くしたか
4)経営状態が整理解雇を必要とするか
 この4条件が揃わないと日本では不当解雇とされます。
 タイにはこういう場合の4条件という明確なものはありませんが、裁判所が判断する規準としては日本と同じようなことを考えると思ったほうが順当と考えられます。現に筆者が知っている例では、裁判官はこの4条件のうち人選に関する質問を経営者に投げかけ、人選の合理性を突いてきました。会社側は人事評価のデータを証拠として提出したのですが、日系企業の常として客観的に合理的な人事評価とは程遠いものであったため、結果として会社側が敗訴して、損害賠償金を払う羽目になりました。
 このことから、解雇する人選にはよほど注意して客観的にうなずける勤務評定を準備しておくことが肝要と考えます。