タイでの増資手続きについて

Q:タイの現地法人の事業が拡大するため、倍額に増資をしたいと考えています。現地法人の資本は49%がタイ資本で、当社は51%の非公開の合弁会社です。また、事業はBOIの奨励を受けていますが、法人所得税の免税期間は切れています。

1.特別決議を要する
 民商法典(以下法と称する)1220条により、増資をする場合は株主総会の特別決議を要します。
 特別決議は、法1194条により、14日以上前に総会招集状を出し、かつ地方紙に1回以上公告し、出席株主の議決権の4分の3以上の賛成があれば可決されます。
 株主総会の決議は、いずれの総会であっても法1190条によって挙手によることが原則になっています。つまり株主1名に1票であります。ただし、挙手の結果が発表される前または発表のときに2名以上の株主により秘密投票が要求された場合を除くことになっています。従って、特に合弁の場合は付属定款で1株式に1票の投票権を与えているのが通常ですので、付属定款をよく調べて下さい。
 また、法1228条により、増資の特別決議の議事録は、決議の日から14日以内に登記しなければなりません
 
2.旧株主の新株式引受権
 法1222条の規定により、新株は株主に対して株主が所有する株式に比例して提供することを申し出ることが求められています。申し出は文書により、期限を定め、期限内に引受けの要求がない場合、引受けの希望がないものとみなす旨の記述がなければなりません。
 つまり、旧株主に新株引受けの希望がない限り第三者に引受けさせることはできないのであります。
 ただし、合弁契約では通常新株発行の場合の旧株主の引受けについて規定があるのが通常でありますので、合弁契約書とそれに伴い作成された付属定款をチェックして下さい。法に抵触しない限り付属定款の規定に従うことになりますと同時に、合弁契約で合意した引受けとなるように旧株主が引受け回答をすることになります。

3.新株の払い込みは原則現金
 法1221条で金銭による以外は原則として払込みができないように定められています。ただし、特別決議で決議されている場合はその決議に従うことが可能と規定されています。

4.BOIの奨励申請
 拡大される事業にかかる当初の投資額が100万バーツ以上であれば(土地代と運転資金を除く)、拡大部分は新規の投資として新たに奨励を申請することができ、法人所得税免税等の特典が与えられます。また、免税期間が切れた事業部分と新たに拡大した部分の会計は区分しておかなければなりません。法人所得税の申告書も免税部分と免税でない部分を区分けして申告する様式になっています。
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