icon-anchor 2002年仲裁法

2002年仲裁法

翻訳:元田時男

前文、1-5条省略

第6条 第34条に基づき、本法の規定が契約当事者に判断する権限を与えている場合、当該当事者は第三者またはその他の機関が代わって判断するよう付託することができる。
 本法が、ある事実が当事者が合意できる、もしくは合意できるであろう事実であると規定している場合、または如何なることでも当事者の合意を規定している場合、その合意は、合意に含まれている仲裁の規定を含む。

第7条 当事者が別段の合意をしていない場合、本法に基づく書類送達は、書類に記載されている個人、事業所、居所、もしくは郵便の宛先に送達された場合、または、最後に知られた郵便の宛先に、国内の書留もしくは配達証明で送達された場合、または、如何なる方法によるも送達の努力が示されている場合、書類に記載された個人は当該書類を受領したとみなす。

第8条 本法の規定の内、当事者のいずれかが、当事者が別の合意をしてもよかったと知っていた場合、または、もう一方の当事者が仲裁契約に定めた条件に基づき実行していないことを知りながら、当該当事者が、もう一方の当事者が適当な期限内に、もしくは定められた期限内に実行しないことについて異議を申立てなかった場合、当該当事者は異議申立ての権利を放棄したとみなす。

第9条 中央知的所有権・貿易裁判所、もしくは地方知的所有権・貿易裁判所、もしくは管轄内において仲裁の審議を行なう裁判所、もしくは紛争の当事者のいずれかが住所を有する管内の裁判所、もしくは、仲裁を付託した紛争の裁判を行なう管轄権を有する裁判所を本法による管轄権を有する裁判所とする。

第10条 法務大臣が本法を所管する。

第1章 仲裁契約

第11条 仲裁契約とは、発生した紛争または将来、発生が予測される紛争を、全部もしくは一部、契約の法的関係から発生するものであるかどうかに関係なく、仲裁により解決することを合意する契約である。仲裁契約は、基本契約の一部、または別途の契約であってもよいものとする。
 仲裁契約は、文書により当事者の署名がなければならない。ただし、信書、ファクシミリ、電報、テレックス、電子認証による情報の交換、その他の方法で仲裁の条項が取り交わされた場合、または、申立書もしくは答弁書において契約に言及され、もう一方の当事者が否定しない限り、仲裁契約が成立したものとみなす。
 文書による証拠がある契約で、基本契約の一部を成し、紛争を仲裁により解決する目的を有する合意がある場合、仲裁契約があるとみなす。

第12条 仲裁契約および仲裁人選任の有効性は、その後、当事者が死亡または法人であることを終了し、財産を管理され、または裁判所により被後見人、被補佐人の宣告を受けても阻害されることはない。

第13条 仲裁契約に関する権利、義務は、その権利、義務が譲渡されても被譲渡人を拘束する。

第14条 当事者の一方が、仲裁契約に従って紛争を仲裁人の仲裁に付託しないで、訴訟を提起した場合、訴訟を提起されたもう一方の当事者は、提訴の前または法律に基づく期限内に管轄の裁判所に対して、仲裁により解決を行ない、訴を取り消すよう意義を申し立てることができる。裁判所は審査をして、仲裁契約が無効でない限り、訴訟を取り消さなければならない。
 第1項の審査期間中においても、当事者は仲裁を始めることができ、仲裁人は紛争の審理を行ない、仲裁判断を下すことができる。

第15条 政府機関と民間の契約において、行政上であるかどうかにかかわらず、当事者は仲裁により紛争を解決するよう合意することができ、当該仲裁契約は当事者を拘束する。

第16条 仲裁契約を締結した当事者は、仲裁の実行時またはその前に、自己の利益を守るため仮処分を、管轄権を有する裁判所に対して請求することができる。裁判所はその審理が裁判所の管轄である限り、その請求を認めることができる。その場合、事件に関係する訴訟法を準用するものとする。
 第1項の手続きを裁判所が命令した場合、請求した当事者が、裁判所が命令した日から30日以内、もしくは裁判所が定める期限内に、仲裁手続きを行なわないとき、当該命令は取り消されるものとする。

第2章 仲裁人

第17条 仲裁廷は奇数の人数をもって構成されるものとする。
紛争当事者が、偶数の仲裁人を指定した場合、仲裁人は第18条第1項の(2)に従い、仲裁人を1名追加するものとする。
 紛争当事者が、仲裁人の人数を合意することができないとき、仲裁人は1名のみとする。

第18条 紛争当事者が仲裁人選任の方法について合意できない場合は以下の通り実行するものとする。
(1)仲裁人を1名とすることについて紛争当事者が合意できない場合、当事者のいずれかまたは双方が、管轄権を有する裁判所に対して、裁判所が代わりに定めるよう請求する。
(2)仲裁人を1名以上とし、紛争当事者が、それぞれ同数の仲裁人を選任、仲裁廷は、更に1名を追加することとするが、紛争当事者のいずれかが、もう一方の当事者からの申出に、申出の日から30日以内に仲裁人を選任できない場合、または、双方の仲裁人が、選任を受けた日から30日以内に共同して仲裁廷の議長を選任できない場合、紛争当事者のいずれか、もしくは双方が管轄権を有する裁判所に対して、裁判所が代わりに仲裁人を選任するか、仲裁廷の議長を選任するよう請求する。
 第1項の方法により仲裁人を選任することができず、以下に該当する場合、当事者のいずれかが、管轄の裁判所に対して、裁判所が適当と認める仲裁人を裁判所が代わりに選任するよう請求することができる。
(1)紛争の当事者が、定められた方法により選任することができない場合。
(2)紛争の当事者または仲裁人が、定められた方法により合意できない場合。
(3)第三者またはその他の機関が定められた方法により選任できない場合。

第19条 仲裁人は中立で独立した存在でなければならない。また、仲裁契約に定められた資格を有するか、仲裁機関を合意している場合、当該仲裁機関が定める資格を有していなければならない。
 仲裁人に選任された者は、中立で独立している事実を開示しなければならない。また、選任されたときから、および仲裁の期間を通して、その事実を紛争の当事者に対して開示しなければならない。ただし、紛争の当事者に事前に通知している場合を除く。
 仲裁人が中立で独立していることが疑われる場合、または、紛争当事者が合意した資格に欠ける場合、仲裁人を忌避することができる。ただし、紛争当事者自身が選任した仲裁人を、選任のとき事実を知らなかった場合を除き、忌避することはできない。

第20条 紛争の当事者が別段の合意をしていない場合、仲裁人を忌避しようとする当事者は、仲裁人選任を知った日、または第19条第3項に定める規定に従い事実を知った日から15日以内に忌避の意思を文書により仲裁廷へ通知しなければならない。忌避された仲裁人が辞任しない場合、または一方の当事者が忌避に同意しない場合、仲裁廷が裁定しなければならない。
 紛争当事者が合意した方法による忌避、もしくは第1項で規定した方法による忌避が達成できない場合、または、仲裁人が1名の場合、忌避しようとする当事者は、忌避の裁定に関する文書通知を受領した日から、もしくは、仲裁人選任を知った日から、もしくは、第19条第3項に定める事実を知った日から30日以内に、管轄する裁判所に対して忌避の請求をすることができる。裁判所が審議している期間中、忌避された仲裁人を含む仲裁廷は裁判所の決定が下りるまで仲裁を継続することができる。ただし、裁判所が別段の命令をした場合を除く。
 必要な場合、仲裁廷は第1項の仲裁人忌避の期限を更に15日を超えない期間延長することができる。

第21条 仲裁人は死亡したとき退任する。
 仲裁人に選任された者が、選任を拒否し、もしくは財産を全部管理され、もしくは裁判所により被後見人、被補佐人の宣告を受け、業務の執行ができない場合、または、その他の理由により業務の執行ができない場合、自身で辞任するか、紛争の当事者が合意したとき、仲裁人であることを終了するものとする。ただし、理由について異議がある場合、紛争の当事者は、管轄する裁判所に対して審査を請求することができる。
 第2項または第20条第1項に基づき、仲裁人が辞任するとき、または紛争の当事者が仲裁人を辞任させる合意をしたとき、第2項もしくは第19条第3項に基づく理由を認めたとはみなされない。

第22条 第20条もしくは第21条により仲裁人であることが終了した場合、または、仲裁人が辞任した場合、もしくは、紛争の当事者が仲裁人を退任させることに合意した場合、もしくは、その他の理由により仲裁人であることを終了した場合、仲裁人選任のために定められた方法により代わりの仲裁人を選任するものとする。

第23条 仲裁人は、仲裁人として責務を果たす際に民事上の責任を負わなくてもよい。ただし、故意または重大な過失により当事者に損害を与えた場合を除く。
 仲裁人は、作為もしくは不作為により責務を果たさない代わりに、自己もしくは他人のために資産もしくは利益を要求し、受け取ってはならない。違反した場合、10年以下の懲役もしくは10万バーツ以下の罰金、または両方を併科する。
 仲裁人に対して、その責務に反するような作為、不作為により責務を果たさないよう、資産もしくは利益を供与してはならない。違反した場合、10年以下の懲役もしくは10万バーツ以下の罰金、または両方を併科する。

第3章 仲裁廷の権限

第24条 仲裁廷は、自身の権限の範囲、仲裁契約の存在、完全性、または仲裁廷の完全性、および仲裁廷の権限内にある紛争の争点を決定する権限を有する。この目的のため、基本契約の一部を成す仲裁契約条項が基本契約とは異なる契約であるとみなし、基本契約が無効もしくは不完全であるという仲裁廷の判断は、仲裁契約には影響を与えない。
 仲裁廷は、紛争を審理する権限があるかどうかについての異議申立ては、紛争の争点に対する答弁書提出以前になされなければならない。また、紛争の当事者は仲裁人を選任したか、選任に参加したかの理由により異議を申立てる権利を失うものではない。仲裁廷が権限を越えているという、いずれかの当事者の異議申立ては、仲裁審理が行なわれているいる期間に問題が発生したとき直ちに申立てなければならない。ただし、仲裁廷が遅れたことに正当な理由があると認めたとき、定められた期限内に申立てることができる。
 仲裁廷は、自身の権限の範囲について、最初に明確に決定するか、紛争の争点について判断するとき決定することができる。ただし、仲裁廷が、最初に、どのような問題について審理の権限があるかについて定めている場合、紛争の当事者のいずれかは管轄の裁判所に対して、最初の決定について裁判所が受理した日から30日以内に決定するよう請求することができる。当該請求について裁判所が審議している期間中、仲裁廷は仲裁手続きを進行することができる。

第4章 仲裁手続き

第25条 仲裁廷の仲裁判断は、当事者を平等に扱わなければならない。また証拠の提出および陳述も、紛争の経過に従い同等の機会を与えなければならない。
 当事者に合意がない場合、または本法に別段の定めがない場合、仲裁廷は仲裁手続きを正当と認めるところに従い進めることができる。仲裁廷の権限は証人の喚問、証拠の軽重の判断を含む。
 本章の目的のため、仲裁廷は民事訴訟法の証拠、証人に関する条項を準用する。

第26条 紛争の当事者は仲裁を行なう場所について事前に合意することができる。合意がない場合、仲裁廷が、紛争の性格、当事者の利便性を考慮して定めなければならない。
当事者が別段の合意をしていない場合、仲裁廷は、第1項で定める場所以外を定めて、調査や、証人、専門家、当事者の喚問、物的証拠、場所、書類の調査を行なうことができる。

第27条 仲裁により紛争を解決するに際し、民事訴訟法第193/14条の(4)に基づき、紛争は仲裁人の判断に付託されたとみなされる。また、仲裁は以下のいずれかの場合に開始される。
(1)当事者の一方が、もう一方の当事者から仲裁により紛争を解決するよう文書により申し入れを受けたとき。
(2)一方の当事者が,紛争を解決するため、もう一方の当事者に対して文書により仲裁人を選任するよう申し入れ、または、仲裁人選任について同意を与えたとき。
(3)仲裁契約書が仲裁廷を定めていた場合、いずれかの当事者が文書により、解決を望む紛争を仲裁廷へ通知したとき。
(4)当事者のいずれかが、あらかじめ合意した仲裁により紛争を解決するために設立された機関に対して、紛争解決を申し入れたとき。

第28条 当事者は仲裁で使用する言語を合意することができる。合意がない場合は、仲裁廷が定める。また、特に別段の定めがない場合、この合意または定めは、仲裁廷による、または仲裁廷に対する、仲裁申立て、答弁、当事者の文書による要求、証人喚問、判断、決定、調査に使用される。
 仲裁廷は、当事者が提出する書類を、当事者があらかじめ合意したか、仲裁廷が定めた言語に翻訳することを命令することができる。

第29条 当事者が合意した、または仲裁廷が定めた期限内に、当事者が別段の合意をしていない限り、提訴した側の当事者は、提訴を支持する事実、紛争の争点を含む申立書を提出し、提訴された側の当事者は、自身の答弁書を提出しなければならない。当事者は関係書類、証拠書類、その他の書類を提出することができる。
 当事者が、別段の合意をしていない限り、仲裁の期間中、当事者のいずれも申立書、答弁書を追加、修正することができる。ただし、仲裁廷が、追加、修正が仲裁を遅らせることも含め、適当でないと判断したときを除く。

第30条 当事者が別段の合意をしていない限り、仲裁廷は、証人の尋問、陳述を口頭または文書で行なうこと、仲裁を書類だけでまたは証拠だけで行なうことができる。
仲裁廷は第1項の証人尋問を、当事者から請求されておれば、適当と認めるところに従い仲裁のいかなる段階においても行なうことができる。
 仲裁廷は証人尋問、物件、場所の調査のための審理、またはその他の書類の審査の時期を、適当な期間以前に当事者に対して通告することにより定めなければならない。
当事者が仲裁廷へ提出する申立書、答弁書、要求書、書類または資料は全部、仲裁廷が判断のために使用する専門家の報告、証拠書類を含み、もう一方の当事者にも送付しなければならない。

第31条 当事者が別段の合意をしていない限り、仲裁廷は以下の通り執行しなければならない。
(1)申立てた当事者が第29条第1項の定めに従い申立書を提出しない場合、仲裁手続きを中止する。
(2)被申立人が、第29条第1項に従い答弁書を提出しない場合、仲裁手続きを続行する。ただし、答弁書を提出しないことは申立てを認めたとはみなされない。
(3)いずれかの当事者が審問の日に出頭しないか、証拠を提出しないとき、仲裁手続きは続行し、仲裁判断を下す。
 仲裁廷は、第1項により仲裁を行なう前に、被申立人が答弁書を提出しない、または尋問に出席しない理由を含め、適当と認める尋問を行なうことができる。

第32条 当事者が別段の合意をしていない限り、仲裁廷は以下の通り執行することができる。
(1)仲裁判断のために、争点に対する意見を述べる単数、複数の専門家を選任すること。
(2)当事者に専門家に対して事実を提出させ、紛争の争点に関する書類、物品を提出させること。
 当事者が別段の合意をしていない限り、専門家が、文書または口頭により意見を述べたとき、当事者のいずれかが請求し、仲裁廷が同意した場合、当該専門家は、当事者に質問させるため事実を述べければならない。また、当該当事者が、自身の専門家を証人として争点を証明させることができる。

第33条 仲裁廷もしくは仲裁人または当事者は、仲裁廷の多数決による同意を得て、管轄権を有する裁判所に対して証人を喚問し、もしくは書類、証拠物の提出を命令するよう請求することができる。
 裁判所が第1項の請求を、裁判所の管轄事項であると認めた場合、裁判所の訴訟手続きの規定を、関係事項について準用する。

第5章 仲裁手続きの終了および仲裁判断

第34条 仲裁廷は,当事者が紛争に適用するよう定めた法律により紛争の仲裁を行なわなければならない。特定の国の法律、法制の指定も、合意の内容が明確でない限り、その国の実質法を指定したものであって、その国の法抵触規則の指定を行なったものではない。
当事者が特定の法律を定めていない場合、仲裁廷はタイの法律に従って仲裁を行なわなければならない。
 仲裁廷は公平と善をもって仲裁判断を下す権限を有する。
 仲裁廷の仲裁判断は、契約に従って行なわれなければならない。また、商事仲裁判断は、その業種の商習慣を考慮しなければならない。

第35条 当事者が別段の合意をしていない限り、いかなる決定、命令、判断も仲裁廷の多数決によるものとする。賛否同数の場合は、仲裁廷の議長が単独で決定、命令、判断を下さなければならない。
 当事者または仲裁人全員が委任した場合、仲裁廷の議長は仲裁手続きにおいて判断を下すことができる。

第36条 仲裁手続き進行中に、当事者が和解し、仲裁の中止を請求したとき、仲裁廷は、その合意が法律に違反しないと判断したとき、和解の合意通りに判断しなければならない。
和解の合意に関する判断は、第37条に従わなければならない。また、紛争の争点に関する仲裁判断と同様の地位、効果を有する。

第37条 仲裁判断は仲裁人が署名した文書で行なわなければならない。仲裁廷が1名以上で構成されている場合、賛成した仲裁人の署名だけで十分とする。ただし、署名していない仲裁人は、署名しない理由を述べなければならない。
 当事者が別段の合意をしていない限り、仲裁判断には判断の理由を明確に記述しなければならない。ただし、仲裁契約または紛争当事者の申立ての範囲を超えて定め、もしくは仲裁判断を行なうことはできない。ただし、第46条に基づき和解による仲裁判断、または第46条に基づく手数料、費用および経費を定めるときを除く。
 仲裁判断書には、第26条第1項に従う仲裁を実行した日、場所を記載しなければならない。
仲裁が完了したとき、仲裁廷は、全ての当事者に仲裁判断書の写しを送付しなければならない。

第38条 仲裁は、完全な仲裁判断が下りたとき、または第2項に基づく仲裁廷の命令により終結する。
 仲裁廷は、以下のとき審理を終了する。
(1)申立人が、申立てを取り下げたとき。ただし、被申立人が当該取り下げに異議を申し立て、かつ、被申立人が紛争の内容について審理を受けることが法律にかない、利益があると仲裁廷が判断したときを除く。
(2)当事者が仲裁を中止することに合意したとき。
(3)仲裁廷が、仲裁を続ける必要性がないと認めたとき、または続けることができないと認めたとき。
 第39条および第40条第4項により、仲裁廷の任務は仲裁の終結と同時に終了する。

第39条 当事者が別段の合意をしていない限り、仲裁判断が下りた日から30日以内に、
(1)当事者のいずれかは、仲裁廷に対して、仲裁判断の中にある計算上の誤り、印刷上の誤り、その他の些細な誤りを訂正するように申立てることができる。または、
(2)合意している場合、当事者のいずれかは、仲裁廷に対して、仲裁判断について解釈し、どの部分についても説明するように申立てることができる。その場合、もう一方の当事者にも申立書の写しを送付しなければならない。
 仲裁廷は、(1)および(2)の申立てが正当であると認めた場合、申立書を受理した日から30日以内に訂正し、または解釈しなければならない。当該解釈、説明は裁定の一部とする。
仲裁廷は、仲裁判断の日から30日以内に(1)の誤りを自ら訂正することができる。
 当事者が別段の合意をしていない限り、当事者のいずれかは、仲裁判断を受けた日から30日以内、およびもう一方の当事者に通知をしたとき、仲裁廷に対して、仲裁判断の中で判断していない申立てに関して追加の判断をするよう申立てることができる。仲裁廷が当該申立てが正当であると認めたとき、申立てを受理した日から60日以内に追加の仲裁判断を終了させなければならない。
 必要な場合仲裁廷は、第2項および第4項の規定に基づき訂正、解釈、説明、または追加の裁定の期限を延長することができる。
 第37条の規定を、本条の訂正、解釈、説明、裁定の追加に準用する。

第6章 仲裁判断に対する不服申立て

第40条 仲裁廷の仲裁判断に対する不服申立ては、管轄の裁判所に、本条の規定に基づき仲裁判断を取り消すよう請求することにより行なうことができる。
 当事者のいずれも、仲裁判断書の写しを受領した日から90日以内、、または、仲裁廷に仲裁判断の訂正、解釈、仲裁判断の追加を申立てている場合、仲裁廷が仲裁判断の訂正、解釈、仲裁判断の追加をした日から90日以内に、管轄の裁判所に対して、仲裁判断の取り消しを申立てることができる。
 裁判所は、以下の場合、仲裁判断を取り消さなければならない。
(1)取り消しを申立てた当事者が以下のことを立証できる場合。
(イ)仲裁契約の当事者のいずれかが、当該当事者を管轄する法律に基づく無能力者であること。
(ロ)仲裁契約が、当事者が合意した国の法律に基づき、またはそのような合意がない場合、タイの法律に基づき拘束力を有しないこと。
(ハ)仲裁判断の取り消しを申立てた当事者が、仲裁人の選任、もしくは仲裁廷の審理を事前に通告されてなく、または、当該人がその他の理由により仲裁で主張、立証ができなかったこと。
(ニ)仲裁が、仲裁契約にある紛争の範囲にないか、または仲裁仲裁判断が、紛争を仲裁に付託する合意の範囲を超えていること。ただし、仲裁判断が範囲内にある仲裁判断と区別することが可能である場合、裁判所は仲裁契約、または合意の範囲を超えている部分についてのみ取り消すことができる。または、
(ホ)仲裁廷の構成もしくは仲裁廷の審理が、紛争当事者に事前の合意に従っていないか、または当事者が事前に別段の合意をしていない場合、仲裁廷の構成が本法に従っていないこと。
(2)裁判所が以下を認めた場合。
(イ)仲裁判断が、法律により、仲裁では解決できない紛争に関することであること。
(ロ)仲裁判断に基づく容認もしくは強制が、国民の秩序、安寧もしくは公序良俗に反するものであること。
 仲裁判断の取り消し申立てを審査するに際し、当事者が申立書を提出し、裁判所が正当な理由があると認めた場合、取り消し申立てが終了するように仲裁廷が再度審議し、または仲裁廷が適当と認める方法で仲裁するように、裁判所は適当と認める期間審査を延長することができる。

第7章 仲裁判断の承認および仲裁判断に基づく執行

第41条 第42条、第43条および第44条に従い、仲裁廷の仲裁判断は、いかなる国においてなされたかは問わず、紛争当事者を拘束し、かつ、管轄の裁判所に対して申立てがなされた場合、執行される。
 仲裁判断が外国で行なわれた場合、管轄の裁判所は、タイ国が加盟している国際間の条約、協定、合意に合致するものであり、タイ国が従うことを認めているときに限り、仲裁判断に従った執行を行なう。

第42条 紛争当事者のいずれかが仲裁廷の仲裁判断を執行することを望むとき、当該当事者は管轄権を有する裁判所に対して、仲裁判断に基づく執行が可能となる日から3年以内に申立書を提出しなければならない。裁判所は当該申立書を受理したとき速やかに審査し、直ちに判決を出さなければならない。
 仲裁廷の仲裁判断に従い執行を申立てる者は、裁判所に対して以下の書類を提出しなければならない。
(1)仲裁判断の原本または同一であることを証明した写し
(2)仲裁契約の正本または同一であることを証明した写し
(3)仲裁判断および仲裁契約のタイ語翻訳で、翻訳者自身が宣誓したものか、もしくは、裁判所、または翻訳を認証する権限を有する担当官、または、仲裁判断もしくは仲裁契約が行なわれた国のタイ国大使の代理人もしくは領事によって認証されたものであること

第43条 仲裁判断により執行を受ける者が以下を証明できる場合、裁判所は仲裁廷の仲裁判断による執行を、仲裁判断がどの国で行なわれたかにかかわらず、拒否することができる。
(1)仲裁契約の当事者が、当該当事者を支配する法律による無能力者であること。
(2)特段の合意がない場合、仲裁契約が、当事者が合意した国、または裁定が行なわれた国の法律に基づき有効でないこと。
(3)執行される者に対して、仲裁人の選任、もしくは仲裁廷の審査を事前に通告されていなかったこと、または、その他の理由で当該人が仲裁で主張、証明することができなかったこと。
(4)紛争の仲裁裁定が仲裁契約の範囲にないか、仲裁廷に付託する合意の範囲を超えた裁定であること。ただし、仲裁裁定が範囲内にある仲裁裁定と区別することが可能である場合、裁判所は仲裁契約、または合意の範囲を超えている部分についてのみ取り消すことができる。
(5)仲裁廷の構成もしくは仲裁廷の審理が、紛争当事者に事前の合意に従っていないか、または当事者が事前に別段の合意をしていない場合、仲裁判断が行なわれた国の法律に従っていないこと。
(6)管轄権を有する裁判所により、または仲裁判断が行なわれた国の法律により、仲裁判断がまだ有効でないか、取り消されたか、施行を停止されたこと。ただし、管轄権を有する裁判所に対して、取り消し、停止の申立て中である場合、裁判所は、適当と認める期間、執行に関する審理を延期することができる。また、執行申立てを行なった当事者が請求した場合、裁判所は執行される当事者に対して事前に適当な保証を差し入れることを命令することができる。

第44条 裁判所が、仲裁判断が仲裁によって解決できない紛争に関するものであると認めた場合、または仲裁判断による執行が、国民の安寧、秩序もしくは公序良俗に反する場合、裁判所は、第43条の仲裁判断に基づく執行を、法律に基づき拒否することができる。

第45条 以下の場合を除き、本法に基づく裁判所の命令または判決に対して控訴することを禁止する。
(1)仲裁判断の容認または仲裁判断に基づく執行が、国民の安寧、秩序もしくは公序良俗に反するとき
(2)命令または判決が、国民の安寧、秩序に関する法律の規定に反するとき。
(3)事件を審理した裁判官または判事が判決の中に偏見を有していたとき。または、
(4)第16条に基づく紛争当事者の利益を保護するため、一時的な手段を使った命令であるとき。
 本法に基づく裁判所の命令または判決に対する控訴は、最高裁判所または最高行政裁判所に対して行なわなければならない。

第8章 手数料、費用および経費

第46条 紛争当事者が別段の合意をしていない場合、仲裁の手数料、費用、経費は、弁護士の費用を除き、仲裁廷の仲裁判断で定められたところによる。
 仲裁判断で仲裁の手数料、費用または経費を定めていない場合、当事者または仲裁廷が、管轄権を有する裁判所に対して、相当と認められる範囲で命令するよう請求することができる。

第47条 仲裁により紛争を解決するための機関は、手数料、費用、経費を定めることができる。

付則:省略
(おわり)