icon-anchor 1996年知的財産・国際取引裁判所設置および訴訟法

1996年知的財産・国際取引裁判所設置および訴訟法

(改正:2015年、更新:2017年12月28日) 翻訳:元田時男

前略

第1条 本法は「1996年知的財産・国際取引裁判所設置および知的財産・国際取引裁判所訴訟法」と称する。

第2条 本法は官報で公布された日の翌日から施行する。

第3条 本法において
「知的財産・国際取引裁判所」とは、中央知的財産・国際取引裁判所および地方知的財産、国際取引裁判所をいう。
「知的財産・国際取引事件」とは、知的財産、国際取引裁判所の管轄である民事および刑事事件をいう。
「特別専門事件控訴裁判所」とは、特別専門控訴裁判所設置法に基づく特別専門控訴裁判所をいう。
「特別専門事件裁判所所長」とは特別専門事件控訴裁判所設置法に基づく特別専門事件控訴裁判所所長をいう。
「司法裁判所の裁判官委員会」とは、司法裁判所裁判官の規則に基づく司法裁判所裁判官委員会をいう。
「司法裁判所管理委員会」とは、司法裁判所公務管理法に基づく司法裁判所管理委員会をいう。

第4条 最高裁判所裁判所所長が本法を所管する。

第1章 知的財産・国際取引裁判所

第5条 知的財産・国際取引裁判所を設置し、勅令で告示されたとき業務を開始する。
② 中央知的財産・国際取引裁判所の管轄は、バンコク都、サムットプラカーン県、サムットサーコン県、ナコンパトム県、ノンタブリ県およびパトムタニ県とする。ただし、知的財産・国際取引事件が中央知的財産・国際取引裁判所の管轄外で起きた場合、中央知的財産・国際取引裁判所へ提訴することもできる。そのような事件の管轄についても中央知的財産・国際取引裁判所が判断する。

第6条 地方知的財産・国際取引裁判所は法律で設置され、裁判管轄と設置場所が規定される。

第7条 知的財産・国際取引裁判所の審理、判決の権限は以下の通りである。
(1)商標権、著作権、特許権にかかる刑事事件
(2)刑法典第271条から第275条までの違反にかかる刑事事件
(3)商標法、著作権法および特許権、技術移転もしくは権利許諾にかかる民事事件
(4)刑法典第271条から第275条までの規定の違反に基づく民事事件
(5)商品の売買、交換、商品もしくは国際間手形の交換、または、国際間の役務提供、国際運輸、保健および法律行為にかかる民事事件
(6)(5)の業務に関し発行された信用状、国内への送金もしくは国外送金、信託受領書、当該事業に関する保険にかかる民事事件
(7)船舶差押えにかかる民事事件
(8)海外からのダンピング輸入、および商品もしくは役務の助成にかかる民事事件
(9)電路設計、科学上の発見、商号、商品の出所に関する地理上の名称、営業秘密、および植物の品種保護紛争にかかる民事、刑事上の事件
(10)知的財産・国際取引裁判所の管轄とする法律がある民事、もしくは刑事事件
(11)(3)から(⒑)にもとづく紛争を解決させるための仲裁にかかる民事事件
② 少年、家族裁判所の管轄である事件は知的財産・国際取引裁判所の管轄ではない。

第8条 知的財産・国際取引裁判所が業務を開始したとき、第1審裁判所が知的財産。国際取引裁判所の管轄にある事件を取扱ってはならない。

第9条 事件のいずれが知的財産・国際取引裁判所の管轄であるのか不明である問題が生じた場合、その事件が、問題が知的財産・国際取引裁判所の管轄内で起きたか、もしくは他の司法裁判所の管轄内で起きたかにより、当該裁判所は一時的に判決を待ち、判断者である特別専門事件控訴裁判所所長へ移送し、特別専門事件控訴裁判所所長の判断を最終のものとする。特別専門事件控訴裁判所所長の判断が、裁判所を変えなければならないとなった場合、当初の裁判所は当該裁判所へ事件を移送しなければならない。また、判断以前に当初の裁判所が行った審理は取消されない。ただし、移送を受けた裁判所が、公平のため別の命令を出した場合を除く。

第10条 地方知的財産・国際取引裁判所で審理中の事件で、いずれの当事者も当該裁判所で審理を受けることに合意した場合、中央知的財産・国際取引裁判所へ事件を移送することができる。ただし、中央知的財産・国際取引裁判所の了解を事前に受けなければならない。

第11条 知的財産・国際取引裁判所は司法裁判所が司法裁判所法による第1審とし、司法裁判所法の規定を知的財産・国際取引裁判所に準用する。

第2章 知的財産・国際取引裁判所の裁判官

第12条 知的財産・国際取引裁判所の各裁判所には、司法裁判所管理委員会が定めた数の裁判官と参審裁判官を置かなければならない。

第13条 中央知的財産・国際取引裁判所と地方知的財産・国際取引裁判所は裁判所長を1名ずつ置き、中央知的財産・国際取引裁判所と地方副裁判長知的財産・国際取引裁判所に副裁判所長を1名ずつ置く。さらに、公務に必要な場合、司法裁判管理委員会は最高裁判所の中央知的財産・国際取引裁判所所長の同意を得て両裁判所にそれぞれ1名以上の副裁判所所長を置くことができる。

第14条 知的財産・国際取引裁判所の裁判官は、国王が知的財産もしくは国際取引に知識があり理解のある司法官の中から司法公務員の規則に関する法律に基づき任命する。

第15条 参審裁判官は知的財産もしくは国際取引の資格がある者の中から、司法裁判所司法官委員会の規則で定める基準と手続きに基づき選考した者で、以下の資格および禁止条項に抵触しない者を国王が任命する。
(1)タイ国籍を有すること。
(2)満30歳以上であること。
(3)司法官委員会の規則で定められた基準と手続きに基づく司法官としての知的財産、国際取引裁判所の目的および役割について訓練を受けたこと。
(4)知的財産もしくは国際取引について専門の知識を有していること。
(5)品行が好ましくなく、公序良俗に欠ける者ではないこと。
(6)過度に負債を負っていないこと。
(7)最終判決で禁固刑の罰を受け禁固されたことがないこと。ただし、過失、軽犯罪による場合を除く。
(8)成年被後見人、被保佐人でないこと。もしくは認知症で業務に相応しくない、もしくは身体、精神が参審裁判官に適しない、もしくは司法裁判所司法官委員会の規則に記述された病気に罹患していないここ。
(9)政治公務職もしくは政党の役員でないこと、国会議員でないこと、バンコク都の管理職もしくは議員でないこと、地方自治体の管理職もしくは議員でないこと、検察官でないこと。警察官でないこと、弁護士ではないこと。
② 参審裁判官の任期は1回5年である。ただし、国王から任命受けて再度その職に就くことができる。
③ 任命を受ける前に、参審裁判官は知的財産・国際取引裁判所裁判所所長の前で公平に業務を遂行し、公務の秘密を守ることについて宣誓しなければならない。

第16条 参審裁判官は以下の場合、退任する。
(1)任期による退任
(2)死亡
(3)辞任
(4)資格がなくなったとき、または第19条の欠格事由に抵触するとき。
(5)正当な理由がなく定められた職務を連続して3回不履行のとき。
(6)品行が参審裁判官として相応しくないとき。
② 退任が(2)もしくは(3)である場合は国王に上奏し、(4)、(5)もしくは(6)である場合は、司法官の規則に関する法律に基づき司法官委員会の同意を得なければならない。また、退任について国王に上奏し退任させなければならない。

第17条 参審裁判官が第16条(1)以外の理由で空席となった場合、国王に上奏して司法官委員会が選考して代わりの者を選考することもできる。ただし、参審裁判官の任期が残り180日に達しないとき代わりのものを選考しないこともできる。代わりの参審裁判官の任期は前任者の残された任期と等しくなければならない。

第18条 新しい参審裁判官の選考がまだ行われていないとき、または選考は行われたがまだ任務に就いていないとき、任期満了で退任する参審裁判官は一時的に、以前の参審裁判官の職を継続して事件が終結するまで裁判官の合議体に参加することができる。ただし、任期満了日から60日を限度とする。

第19条 第20条および第21条により、知的財産、国際取引裁判所は少なくとも2名の裁判官、1名の参審裁判官が参加しなければ事件に関する合議体は成立しない。判決もしくは命令は多数決によるものとする。

第20条 知的財産・国際取引裁判所の裁判官は、誰でも審理に参加し、命令を出す権限がある。

第21条 知的財産・国際取引裁判所が適当と認めた場合、その他の裁判所もしくは担当者は証人尋問を部分的に代わりに行うことができる。当該尋問は裁判所内で行うことも裁判所外で行うこともできる。
② 第1項の証人尋問が原告の刑事事件であった場合、被告に秘密にすることはできない。被告にも証人を尋問すること、もしくは反対尋問を十分にする機会を与えなければならない。ただし、刑事訴訟の法に基づき被告に秘密に尋問する場合を除く。

第22条 中央知的財産・国際取引裁判所所長もしくは地方知的財産・国際取引裁判所所長、もしくは代行する同一序列の裁判官が交代で参審裁判官の業務日程を定めなければならない。
② 事件を審理している参審裁判官は、当該事件が終結するまで審理しなければならない。ただし、病気もしくはその他の理由がある場合を除く。その場合、第1項に基づく権限のある者が他の参審裁判官に代行させなければならない。
③ 参審裁判官は医療費、出張旅費、宿泊費、および勅令で定めるその他の報酬を支給される。

第23条 民事訴訟法典に基づく裁判官に対する異議申立に関する規定を参審裁判官の意義申立に準用する。

第24条 参審裁判官は刑法典に基づく司法官の地位にある担当官である。

第25条 司法公務員の規則に関する法律の、規律に関する条項を参審裁判官に準用する。

第3章 知的財産・国際取引裁判所における審理手続き

第26条 知的財産・国際取引裁判所における審理は、本法の条項によるほか第30条の定めによる。当該条項および定めがない場合、民事訴訟法典もしくは刑事訴訟法典、または、地方裁判所設置法および地方裁判所の刑事訴訟法の規定を準用する。

第27条 知的財産・国際取引裁判所は一つの事件の審理を終了するまで引続き審理しなければならない。ただし、不可抗力による場合を除く。また、審理が終了した場合、早急に判決もしくは命令を出さなければならない。

第28条 自己があとで参照しようとする証拠が消滅するという恐れがある場合、または、知的財産・国際取引裁判所の事件が起きたとき参照しようとする証拠が消滅するという恐れがあるとき、原告もしくは被告は知的財産・国際取引裁判所に対して、直ちに証人を尋問する命令を出すように請求することができる。
② 裁判所がそのような請求を受けた場合、請求人および相手側もしくは関係する第三者を尋問して、関係者全部から聴取し、適切と思われる命令を出さなければならない。裁判所が請求を許可する場合、法律に基づき証人尋問をしなければならない。関係報告書およびその他の書類については、裁判所が保管しなければならない。

第29条 緊急の場合、第28条に基づく申請するとき、申請人は知的財産・国際取引裁判所が遅滞なく命令もしくは令状を出すように併せて申請、また必要な場合、書類もしくは証拠物件を尋問に使用するため、裁判所が適当と認める条件を付して事前に押収するよう申請することができる。
② 民事訴訟法典第261条から第263条まで、および第267条から第269条までを第1項に準用する。

第30条 知的財産・国際取引裁判所の所長は、審理が簡便に、早急に、公平に進むように、最高裁判所所長の了解を得て、知的財産・国際取引裁判所における審理の進め方、証人の尋問について規則を出すことができる。ただし、当該規則は被告の刑事事件弁論での抗弁権を法律で定めているより減少させる結果にならないようにしなければならない。
② 当該規則は官報で告示されたとき施行される。

第31条 知的財産・国際取引裁判所は、学識経験者もしくは専門家を招聘して事件の審理に対して意見を出して貰うことができる。ただし、当事者のいずれの側にも知らせなければならない。また、当事者が自身の側の学識経験者もしくは専門家を招聘して反対の意見もしくは追加意見を出して貰う権利を奪ってはならない。

第32条 知的財産・国際取引裁判所が招聘した学識経験者もしくは専門家は、司法裁判所管理委員会が定めた規則により医療費、交通費および宿泊費を支給される権利がある。

第33条 民事事件の場合、当事者は知的財産・国際取引裁判所の区域内に住所がある者を選任して、訴状もしくは書類を自らの代理として受取らせることができる。その場合、当該事件を審理している裁判所へ申請し、裁判所が許可した場合、訴状もしくは書類は代理の者へ送達される。
② 当事者が、事件を審理している知的財産・国際取引裁判所の区域内に住所もしくは事務所を有しない場合、当該裁判所は当事者に対して、誰か裁判所の区域内に住所のある者を選任して訴状もしくは書類を受取らせるように命令して、訴状もしくは書類を裁判所が定めた期限内に代行して受取らせることができる。
③ 当事者が、第2項の裁判所の命令を実行しない場合、訴状もしくは書類の送達は、事件を処理している裁判所の前において掲示し、当事者に訴状と書類を代理の者が受取るよう通知することも他の方法での送達に代わるものとなる。この方法による送達は、告示を貼り出した日から15日が経過したときに有効となる。
④ 任命されて者に対する訴状ともしくは書類の送達は、民事商法典のその他の送達方法と同様に可能である。本項に定められている選任された者に訴状もしくは書類を送達する方法は、送達された日から7日または別の方法での送達から15日経過したときから有効となる。

第34条 民事事件においては、知的財産・国際取引裁判所が、いずれかの当事者に審理の日を定めた通知を行い、当該当事者が当日裁判所に出頭しなかった場合、当該当事者は次回の出頭日を裁判所に照会しなければならない。もし、照会のため出頭しなかった場合、当該当事者はその後の審理日を承知しているものとみなされる。

第35条 複数の法律に違反している刑事事件で、そのうち一つが知的財産・国際取引裁判所の管轄である場合、知的財産・国際取引裁判所が管轄外の事件も審理しなければならない。

第36条 複数の刑事事件が同一の違反であり、その違反の一つが知的財産・国際取引裁判所の管轄にない場合、知的財産・国際取引裁判所は全部の事件を審理するか、一つもしくは複数の事件が知的財産・国際取引裁判所の管轄ではないという理由で審理せず、原告に新規の事件として管轄権のある裁判所へ提訴させることができる。その場合、利便性および公平性を重要な指標として考慮しなければならない。

第37条 本法で定める期間もしくは知的財産・国際取引裁判所が定める期間について、知的財産・国際取引裁判所が適当と認めるか、もしくは当事者が申請した場合、裁判所は必要性および公平性を考慮して短縮するか、延長するかを決定する権限がある。

第4章 控訴および最高裁判所

第38条 知的財産・国際取引裁判所の判決もしくは命令については、特別専門事件控訴裁判所へ控訴しなければならないが、民事訴訟法典もしくは刑事訴法典のいずれかを準用する。

第39条 知的財産・国際取引裁判所事件の審理および判決、または、特別専門事件控訴裁判所の判決もしくは命令については、本法の規定または民事訴訟法典もしくは刑事訴訟法典いずれかの規定を準用する。

第40条 特別専門事件控訴裁判所における専門事件の判決もしくは命令には、民事訴訟法典もしくは刑事訴訟法典の規定を準用する。
② 知的財産・国際取引裁判所の事件の最高裁判所における審理および判決は本法、および民事訴訟法典もしくは刑事訴訟法典の規定を準用する。

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付則

第46条 第5条により設置された知的財産・国際取引裁判所の審理が開始されないとき、第1審で審理が行われている事件がある場合、第1審裁判所は終結するまで審理を続けなければならない。その場合、当該事件は本法に基づき知的財産・国際取引裁判所の管轄下にないものとみなされる。ただし、当事者双方が合意して事件を知的財産・国際取引裁判所へ移送するよう、中央知的財産・国際取引裁判所が開設された日から180日以内に請求した場合、知的財産・国際取引裁判所は事件を受理し審理を継続しなければならない。

第47条 地方知的財産・国際取引裁判所がまだ業務を開始していない地域では、中央知的財産・国際取引裁判所がその地を管轄しなければならない。民事事件では、原告は、被告が住所を有する県裁判所に対して訴状を提出し、または、事件が発生した権裁判所へ訴状を提出することもできる。また、刑事事件では、原告は違反が起こされたと信ずる地方の県裁判所へ提訴することができる。または、被告が住所を有している、もしくは逮捕できる、もしくは検察官が被告を捜査できる地方の県裁判所へ提訴することもできる。県裁判所は、中央知的財産・国際取引裁判所へ通知して、中央知的財産・国際取引裁判所が当該事件を受理した場合、鴎外地方の県裁判所において尋問し、審理し、判決を出すか、または、中央知的財産・国際取引裁判所が適当と認めた場合、中央知的財産・国際取引裁判所において尋問し、審理し、判決を出すこともできる。
② 中央知的財産・国際取引裁判所は原告が訴状を提出した地方の県裁判所、必要に応じて事件の審決を行う以外の手続きを依頼しなければならない。このような場合、県裁判所は第3章の知的財産・国際取引裁判所の手続を当該裁判所の手続に適用しなければならない。
③ 第2項の原告が訴状を提出している、または第2項の県裁判所は、拘留令状を出し、被疑者もしくは被告を一時的に釈放することもできる。

(おわり)