ニュース 23号 (200330)

SME MULTI CONSULTANT ニュース 23号(200330)

タイの法令の新しい話題を簡潔にまとめ、月一回のペースで送信いたします。(西暦 = 仏暦 − 543)

1.タイ政府がコロナ対策で非常事態宣言、200326施行から4日経過

200325付けでプラユット首相が宣言し、同日付け官報で公示され、200326から200430の期間施行されている「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第5条に基づく)タイ全国を対象とする非常事態宣言(南部国境沿い重点地域非常事態宣言は継続)」と、「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第9条および仏暦2534年国家行政規則法第11条に基づく)施行規則第1号」についてはSME MULTI CONSULTANTニュース22号をご参照下さい。

200312付け「内閣府通達第76/2563号」により設立された「ศูนย์บริหารสถานการณ์การแพร่ระบาดของโรคติดเชื้อไวรัสโคโรนา 2019 (โควิด – 19): Center for COVID-19 Situation Administration、タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)は、200325付け官報で公示された「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令に基づく)特別執行機関設立にかかる総理大臣通達第2563/5号」により、そのまま新型コロナウィルス(COVID-19)の非常事態に対応していくこととなりました。

タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)では、200325から内閣府広報局テレビ(NBC)やマスコミ公社テレビ(MCOT)の生放送だけでなく、直管のフェイスブックやユーチューブ等のビデオオンデマンドも活用して1回1時間程度の直接情報発信を行い、毎日2~3回更新しています。タイ語ですが一部は英語で広報されています。

例: 200328タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)報告・記者会見(内閣府広報局ユーチューブ) https://www.youtube.com/watch?v=ZR-saCg-geQ

日々の政策説明・進捗報告のポイントは下記のとおりです。

200325 ウィサヌ副首相、今回の非常事態は疫病対策が目的であり、従来の軍事的なものとは根本的に異なる。タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)が中心となる。指揮系統はCCSA、各中央省庁(大臣ではなく事務次官が指揮)、各都県(知事・県伝染病委員会が指揮)の連係プレイとする。CCSAは「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第9条および仏暦2534年国家行政規則法第11条に基づく)施行規則第1号」により、事態の推移に応じて、要請・勧告ベースから禁止・強制ベースまで、段階的・地域的に対策を指揮していく。今後、施行規則第2号、第3号と継続して公示・施行していくこととなろう。買占め・偽ニュース・犯罪等、予測される不正や犯罪の増加につき、違反者には法律による刑罰を科す。

200326 タウィーシンCCSA報道官(医師):CCSAは非常事態下の政府のCOVID-19対策につき、毎日報告・記者会見を行う。場所は内閣府の特設スタジオ。世界保健機関(WHO)が進めるSocial Distancing(感染拡大を防ぐために物理的な距離をとる)をタイでも進めていく。この非常事態では医療関係者が兵士であり、医療器具・医薬品が武器となる。

ポーンピパット国軍最高司令官:CCSAが中心となる非常事態下の政府のCOVID-19対策では、各省庁の総合力を必要としており、4軍(陸・海・空・警察)も公安維持の立場から協力していく。タイ全国359ヶ所(うち、バンコク都内7ヶ所)にCOVID-19拡散防止のため交通検問を設置した。現時点では通行者の体温測定などが中心だが、各省庁からの要請があれば荷物検査等の規制も加える準備あり。これまで政府は啓蒙・要請を重ねてきたが、COVID-19拡散に歯止めがかからない。やむを得ずの非常事態だ。しかし夜間外出禁止令は出さない、昼間の活動でウィルスが拡散するだけ。やるなら一定期間外出禁止や国境閉鎖、そこまではしていないが、そうならないよう、国民はお医者さんに従ってほしい。「距離を取る、集まらない」ことだ。今、国民は自制と辛抱が肝心だ。厚生省の衛生対策を国民に伝えるようメディアにお願いしたい。

ピヤ警察庁報道官:バンコク都内交通検問、現状7ヶ所から明日は5ヶ所追加設置する(BTSベアリング駅前、バンナートラート通りサムットプラカーン県境、ウィパワディーランシット通りドンムアン空港の北側を含む)。県境を越える不要不急の移動は自粛を要請する(5歳以下の子供・70歳以上高齢者・持病ある人は移動させないこと)。路線バス・長距離バスでは定員の半数乗車、隣席を開けて着席。観察中の者はアプリを携帯すること。体温測定で発熱が確認されたら隔離措置する。身分証明書、マスク着用、検問時撮影あり。その他、禁止されている便乗値上げや買占め関係でマスク高額販売者等を摘発した。また、ウィルスをまき散らす迷惑行為も実刑となる。逮捕の際の警察官は感染防止防具を着用。

200327 タウィーシンCCSA報道官(医師):軽症者用に一部ホテルを臨時病院化(250床)した。新たにPRC検査器具業者12社が参加した。商務省は、鶏卵の便乗値上げ規制を強化した。(ホームデリバリーの)バイク便各社は値上げしないと約束した。ショッピングセンター内の携帯電話サービス業者の閉鎖を解除した。物流業者の県境越えは規制緩和した。マスク流通・医療器具流通・マスク輸出審査の担当部局を強化した。内務省は、感染者の多いバンコク都と隣接各県・チョンブリ県パタヤ市・ラヨーン県・ウボンラチャタニ県・南部国境沿い4県・プーケット県のウィルス拡散防止強化策を告示した。内務省は交通検問を全国377ヶ所に拡充した。デジタル経済社会省は偽ニュースの告発を開始、警察が多数を摘発した。民間からの多数の医療器具等寄付に感謝。

ポンサコーン バンコク都報道官: 「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第9条および仏暦2534年国家行政規則法第11条に基づく)施行規則第1号」に整合させるため、バンコク都告示を改正した。200328~200430の閉鎖対象は、飲食店・飲食屋台(例外:持帰り用販売、ホテル宿泊客向け食事提供、空港内・病院内の飲食施設)、百貨店・ショッピングセンター(例外:内部のスーパーマーケット・薬局・生活必需品売り場・食料品売り場・銀行・政府機関・公社公団)、コンビニ内の飲食コーナー、市場・定期市(例外:生鮮食品・加工食品・惣菜・ペットフード・医薬品・生花・医療器具・生活必需品売り場)、美容院・理髪店、入れ墨店、スケート・ローラーブレード場等、遊園地、ボーリング場、ゲームボックス、ゲームセンター、インターネットカフェ、ゴルフ場、ゴルフ練習場、水泳プール等、闘鶏場等、仏像店、展示場、会議場、展覧会場、教育機関、学習塾、ダイエット・美容整形施設、スパ、健康・美容マッサージ店、ペット美容・預かり施設、特殊浴場、入浴・サウナ・薬草サウナ店、映画館、劇場、興行場、フィットネス、風俗店、ボクシング場、ボクシングスクール、運動場、競馬場、競技場、遊園地、野外コンサート・演劇などの興行、博物館・美術館、図書館・図書室、会議・宴会施設、スヌーカークラブ、(200331~200430)保育園・託児所(例外:病院内託児施設)

ジャンティラー陸運局次長: 長距離バスは通常運行する。バスターミナルでの体温測定2回。車内はSocial Distancingに対応し乗客人数半減。貨物も通常運行。

ソンポン鉄道局長: 国鉄は通常運行する。駅での体温測定。マスク販売。車内はSocial Distancingに対応し乗客人数規制。トーケン消毒。貨物も通常運行。

スミットBTS執行役員: BTSは通常運行する(乗客60%減)。駅での体温測定。マスク販売、車内はSocial Distancingに対応し乗客人数規制。

(上記全ての交通機関はマスク着用のこと、アルコールジェル無料提供)

200328 タウィーシンCCSA報道官(医師): 国民各位が自宅待機してくれるので医療機関の担当者が助かる。医療機関用N75マスクや防護服40万着を日本などに発注した。財務省のラオマイティンカン(私たち見捨てない)プロジェクトは、アプリで申し込み、5,000バーツが3ヶ月支給される(300万人分の予算措置済み)。申込資格は社会保険に加入していない労働者(農業等)・自営業・従業員で新型コロナウィルス(COVID-19)の影響を受けていること(学生は対象外)。200328の18:00からオンラインのみで受付開始する。新規感染者の抑込みはこれから、統計的に全国民の90%が協力すれば減らせる。欧州などで医療崩壊に至り、人工呼吸器などが不足している。我々タイ人はマスクが武器だ。安くて簡単に感染を防げる。外出は極力避ける。我々はHIVや結核を克服してきた、新型コロナウィルス(COVID-19)も克服できる。タイの感染者が世界的に見て低いのはマスクをしてきたからだ。

200329 タウィーシンCCSA報道官(医師): 国民各位がSocial Distancingを実践している、SNSで建設的な交流をしている、ありがたいことだ。タイ国内の感染地域は首都圏だけでなく、全国に広がってきたことを懸念。非常事態宣言発動から4日目、新規感染者は微増中だ。200329、タイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は感染1,388人、回復111人、治療中1,270人、死亡7人。ラオマイティンカン(私たち見捨てない)プロジェクトは、昨日(200328)の18:00からオンラインで受付開始した途端、二千万人が一斉アクセスしてシステムダウン、2時間で復旧し翌朝午前9時現在、千二百万人を受け付けたビッグデータとなった(その後の審査は早くて7日)。オンライン受付は継続する。このプロジェクトに便乗し、オンライン手続代行ピンハネする者は詐欺罪で摘発する。一方、個人情報を狙った偽サイトが44ヶ所も発見されたので、コンピュータ不法行為法により刑事訴追していく。感染拡大中の南部国境沿い3県(パッタニー、ヤラー、ナラティワート)の県境越えと一部の地区越え移動禁止令発令(通院と物流を除く)。違反者は2年以下の禁固/4万バーツ以下の罰金または併科。

ピッサマイ社会保険庁首席調査官: このたび社会保険法の労働省令の「不可抗力の定義」に(従来の自然災害に加え)新型コロナウィルス(COVID-19)被害を追加したことにより、休業補償給付金の給付を開始する。申込は社会保険庁ホームページからe-formでオンライン手続できる。事業者の命令により感染者に近い従業員が14日間の自宅観察のため休業する場合、社会保険から従業員宛てに賃金の50%(上限は15,000バーツの50%なので7,500バーツ/月)で180日分まで休業補償給付。政府機関の命令により事業者を休業させる場合、社会保険から従業員宛てに賃金の50%(上限は15,000バーツの50%なので7,500バーツ/月)で60日分まで休業補償給付。会社都合で解雇となった場合、社会保険から従業員宛てに賃金の70%(上限は15,000バーツの70%なので10,500バーツ/月)で200日分まで休業補償給付。自己都合で退職した場合、社会保険から従業員宛てに賃金の45%(上限は15,000バーツの45%なので6,750バーツ/月)で90日分まで休業補償給付。

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*当事務所の対策状況:

コロナウィルス(COVID-19)対策のため小社では当面の期間、下記のとおり万全対策を行っております。お客様各位のご協力を賜り、まことにありがとうございます。

お客様対応はテレビ会議(Web会議)・eメール・電話に「全てを切り替え済み」です(対面式の会議は当面の間、自粛させていただきます)。

しばらくご不便をおかけすることなり、誠に恐縮に存じますが、一致協力してこの難関を突破して参りましょう。

以上です(上記は作成した時点でのご参考情報です。実際の運用の際は再度ご確認のほどお願いいたします。なお、西暦 = 仏暦 – 543です)


御社のご盛業を!日タイ経済産業連携と両国の永続的な友好関係を祈念して!

SME MULTI CONSULTANT CO., LTD.

川島和士 (KAZUSHI KAWASHIMA)