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1998年労働者保護法

最新改正2017年
2017年10月10日翻訳:元田時男

 

前文省略

第1条 この法律は1998年労働者保護法と呼ぶ。

第2条 この法律は、官報で公布された日から180日を経過したときから施行する。

第3条 1972年3月16日付革命団布告第103号および1972年3月16日付革命団布告第103号を改正する法律第1号(1990年)を廃止する。
② この法律の規定と矛盾するすべての法令、規定については、本法を適用する。

第4条 本法は以下には適用しない。
(1)中央、地方行政機関、自治体
(2)国営企業労働関係法に基づく国営企業
② 第1項の定めにかかわらず、使用者の業種により本法の全部または一部を適用しない省令を制定することができる。

第5条 本法で、
「使用者」とは、賃金を支払って労働者を雇うことに同意した者を指し、以下の者を含む。
(1)使用者から委任を受け、使用者を代理して働く者
(2)使用者が法人の場合、法人を代理する権限を有する者及びその者から法人を代理するよう委任された者
「労働者」とは、名称にかかわらず賃金を受け取り使用者のために労働することに同意した者をいう。
「発注者」とは、自己の利益のために、業務の全部または一部を他人に請け負わせ、その業務の完了により対価の支払いを行うことに合意した者をいう。
「元請者」とは、発注者の利益のために業務の全部または一部について完了することを受託することに合意した者をいう。
「下請者」とは、発注者の利益のために元請者の責任において事業の全部または一部の遂行を受託することにつき元請者と契約した者をいい、また、請負者の責任において業務の一部を請け負うために請負者と契約した者を含む。その場合下請の段階については問わない。
「雇用契約」とは、文書または口頭により、明確にまたは説明により、労働者である者が使用者である者のために労働することに合意し、使用者が労働させた期間につき賃金を支払うことを合意した契約をいう。
「労働日」とは、労働者が通常働くように定められた日をいう。
「休日」とは、週休日、祝祭日または年次休暇の日として労働者を休ませるよう定められた日をいう。
「休暇日」とは、労働者が病気、不妊手術、必要な用事、兵役、研修または技能の開発訓練、または出産のために休む日をいう。
「賃金」とは、雇用契約に基づき使用者と労働者の間で合意され、通常の労働時間において労働をした時間、日、週、月、その他の期間について支払われるか、または、労働日における通常の労働時間に労働者が生産した成果に基づき計算されて支払われる労働の対価をいう。また、労働者が労働しなくても支払を受ける権利のある休日及び休暇日について使用者が労働者に支払う金銭を含む。
「労働日の賃金」とは、通常の労働時間一杯に勤務した場合支払われる賃金をいう。
「最低賃金」とは、本法に基づき賃金委員会が定める賃金をいう。
「技能基準に基づく賃金」とは、技能基準に基づく各職業について賃金委員会が定める賃金をいう。
「時間外勤務」とは、通常の労働時間以外、もしくはそれを超過した、または、第23条の定めにより使用者と労働者が合意した労働日または休日の労働時間を超えた労働をいう。
「時間外勤務手当」とは、労働日の時間外勤務の対価として、使用者が労働者に支払わなければならない金銭をいう。
「休日勤務手当」とは、休日勤務の対価として使用者が労働者に支払わなければならない金銭をいう。
「休日時間外勤務手当」とは、休日の時間外勤務の対価として使用者が労働者に支払わなければならない金銭をいう。
「解雇補償金」とは使用者が労働者に支給することに合意しているその他の金銭とは別に、解雇する場合使用者が労働者に支払わなければならない金銭をいう。
「特別解雇補償金」とは、本法に定める特別の理由による雇用契約終了に際し使用者が労働者に支払わなければならない金銭をいう。
「積立金」とは、労働者が労働者福祉基金に支払う金銭をいう。
「負担金」とは、使用者が労働者福祉基金に支払う金銭をいう。
「労働監督官」とは、本法を執行させるため大臣が任命した者をいう。
「局長」とは、労働者保護福祉局長をいう。
「大臣」とは、本法を所管する大臣をいう。

第6条 労働大臣を本法を所管する大臣とし、労働監督官を任命する権限および本法を施行するための省令または告示を公布する権限を与える。
② 労働監督官の任命に際しては、その権限の範囲及び職務執行に関する条件を定めることができる。
③ 省令及び告示は、官報に公布されたとき施行される。

第1章 総則

第7条 本法に基づく権利または利益を要求し追求することにより、他の法律に基づき労働者に与えられている権利または利益は損なわれない。

第8条 大臣は、法学士以上の資格を有する担当官を任命し、労働者、または本人が死亡していた場合は法定相続人のために、労働事件に関する提訴及び弁護に当たらせることができる。また、労働省がこれを裁判所に通知した場合、その担当官は最終判決まで訴の提起、弁護を行うことができる。

第9条 使用者が第10条第2項に定める金銭による保証金を返却しない場合、または、第70条に基づき定められた期限内に賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当、休日時間外勤務手当を支払わない場合、もしくは、第118条に定める解雇補償金または第120条、第121条及び第122条に定める特別解雇補償金を支払わない場合、使用者は履行しない期間につき年利15%の率で労働者に対し利息を支払わなければならない。
② 使用者が正当な理由なく故意に第1項に定める金銭を返却せず、または支払わない場合、返却または支払いをしなければならない日から7日を経過した日から7日間ごとに使用者は15%の追加金を労働者に支払わなければならない。
③ 第1項及び第2項の規定に基づき使用者が金銭を返却し、または支払わなければならない場合、局長または局長が委任した者に労働者に支払うべき金銭を供託したとき、使用者は供託を行った日から利息または追加金を支払わなくてもよい。

第10条 第51条第1項の規定の範囲内において、使用者は、金銭であれその他の資産であれ保証人であれ、労働者から労働保証または就労中の損害に対する保証を要求または預かってはならない。ただし、その労働者が使用者の金銭または資産に関し責任があり、その業務の性格上使用者に損害を与える可能性のある場合を除く。労働者に保証を要求し、または預かることのできる業務の性格、金額および預かりの方法については、大臣が定める規則、手続に従わなければならない。
② 使用者が保証を要求し、預かり、または、労働者が引起した損害を補償するため労働者と保証契約を蹄結した場合、使用者が労働者を解雇するか、労働者が辞職し、または保証契約が終了したとき、使用者が解雇した日、または労働者が辞職した日、もしくは保証契約終了日から7日以内に使用者は、利息があれば利息とともに保証金を返却しなければならない。

第11条 使用者が本法に基づき支払わなければならない金銭の債務、または第135条に基づき労働者福祉基金に補償しなければならない金銭の債務で、労働者に対するものおよび労働者福祉基金に対するものは、債務者である使用者の資産全部につき民商法典に定める租税と同順位の先取特権を与える。

第11/1条 事業者が労働者の就職あっせんを業とする者でない者に労働者を派遣させ、その労働が事業者が責任を有する生産、事業の一部であり、更にその個人が派遣された者を監督、管理し、かつ賃金の支払について責任を有するか否かにかかわらず、その事業者は派遣された者の使用者とみなす。
② 直接雇用契約を結んでいる労働者と同様の労働を派遣された者が提供している場合、事業者は、業務にかかわらず公平な権利と福祉処置を与えなければならない。

第12条 使用者が請負者の場合、賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当、休日時間外勤務手当、解雇補償金、特別解雇補償金、積立金、負担金及び追加金について、直近上位の請負者から元請者まで連帯して責任を負わなければならない。
② 元請者または第1項に定める請負者は、第1項に定めにより支払った金額を使用者である請負者に対し請求することができる。

第13条 企業の譲渡、相続またはその他の理由により使用者の変更があった場合、もしくは使用者が法人で登記を変更し、譲渡し、または他の法人と合併した場合、労働者の元の使用者に対する権利を労働者は継続して有するものとし、また、新しい使用者は、その労働者に対して元の使用者が有していた権利及び義務を全て引縦がなければならない。

第14条 本法に別段の定めがある場合を除き、使用者は民商法典に定められている権利及び義務に従って労働者を処遇しなければならない。

第14/1条 使用者と労働者間の雇用契約、就業規則、規律または使用者の命令が労働者に不利である場合、裁判所はそれらを公平かつ適切なものに限って有効とするよう命令することができる。

第15条 使用者は男性労働者と女性労働者を平等に取り扱い、雇用しなければならない。ただし、業務の性質または状況により不可能の場合を除く。

第16条 使用者、管理者、監督者及び業務監査人は労働者に対して性的な嫌がらせをしてはならない。

第17条 雇用契約で定めた期間が満了したときは、事前通告を行わなくとも雇用契約は終了する。
② 雇用契約に期間の定めがない場合、使用者または労働者は他方に対して、賃金支払日またはそれ以前に文書で、次の賃金支払日に雇用契約を終了すると通告することにより雇用契約を終了させることができる。ただし、3か月超える以前に通告する必要はない。また、試用雇用契約は期間の定めのない雇用契約とみなす。
③ 第2項に定める雇用契約終了について、使用者は事前通告により契約終了のときまで支払わなければならない額の賃金を即時支払うことにより労働者を直ちに解雇することができる。
④ 本条に基づく事前通告は本法第119条および民商法典第583条に基づき解雇する場合には適用しない。

第18条 本法により使用者が局長もしくは局長が委任する者または労働監督官に報告しなければならないと定めている事項について、使用者は、局長が告示で定めた場所において、自ら、もしくは郵便で、もしくは電話で、もしくはファックスで、もしくは電磁的方法で、もしくはその他の情報技術で報告しなければならない。その基準と方法は局長が定める。

第19条 本法に定める労働者の勤続期間を計算する場合、休日、休暇日、使用者が労働者の都合のために休むことを許可した日、および使用者の都合により労働者に休むことを命じた日については労働者の勤続期間に含めなければならない。

第20条 労働者の勤務期間が継続していない理由が、本法に規定する権利を労働者に享受させないために使用者が故意に労働者の勤務を継続させなかったことによる場合、使用者が労働者をいかなる職務で労働させているかにかかわらず、その労働者が権利を享受できるよう、連続していない勤務期間を通算するものとする。

第21条 本法で、使用者が処置しなければならないと定めていることに費用がかかる場合、使用者が当該費用を負担しなければならない。

第22条 農業、海上漁業、海上貨物運送、家内労働、運輸その他勅令で定める業務については、省令により、本法と異なる労働者の保護措置を定めることができる。

第2章 労働一般

第23条 使用者は、省令で定める業種ごとの労働時間を超えない範囲で労働者の1日の始業時刻および終業時刻を定めて、労働者の通常の労働時間とし、これを労働者に対して公示しなければならない。ただし、1日の労働時間は8時間を超えず、かつ、1週間の労働時間の合計が48時間を超えてはならない。何れかの日の労働時間が8時間より短い場合、使用者と労働者は余った時間を通常の労働日の労働時間に加えるよう合意することができる。ただし1日当たり9時間を超えてはならない。かつ、全部の労働時間を足して1週間に48時間を超えてはならない。また、省令で定める労働者の健康に有害または身体に危険な業務については、1日の通常労働時間は7時間を超えず、1週間の労働時間の合計が42時間を超えてはならない。
② 第1項に基づき、使用者と労働者が余った時間をその他の通常の労働日に加えることを合意して、その時間が8時間を超えた場合、使用者は、日給、時間給の労働者に対し超過した時間について労働日の1時間あたり賃金の1.5倍の報酬を支払わなければならない。また出来高制の場合は労働日の1時間あたりの出来高の1.5倍の報酬を支払わなければならない。
③ 業務の性質と形態により使用者が労働者の1日の始業時刻および終業時刻を確定できない場合には、1日あたり8時間を超えず、かつ、1週間の労働時間の合計が48時間を超えない範囲で1日の労働時間を使用者と労働者が合意して定めること。

第24条 使用者は、適時、事前に労働者から承諾を得ない限り、労働日に時間外勤務をさせてはならない。
② 業務の性質と形態から連続して行うことを要するもので休止した場合に損害が生じる業務、緊急の業務または省令で定められたその他の業務については、必要な範囲内で使用者は労働者に時間外勤務をさせることができる。

第25条 使用者は、休日に労働者に労働をさせてはならない。ただし、業務の性質上または状況から連続して行うことを要するもので休止した場合に損害が生じる業務または緊急の業務については、必要な範囲内で使用者は労働者に休日勤務をさせることができる。
② ホテル、娯楽場、運輸、食事を提供する店、飲物を提供する店、倶楽部、協会、医療機関または省令で定めるその他の事業については、使用者は労働者に休日勤務をさせることができる。
③ 第1項及び第2項に定める場合のほか生産、販売およびサービスに必要な場合、使用者は適時、事前に労働者の承諾を得て必要な範囲内で休日に労働者を労働させることができる。

第26条 第24条第1項に定める時間外勤務の時間および第25条第2項及び第3項に定める休日勤務の時間の合計は、省令に定める時間数を超えてはならない。

第27条 就業日において、使用者は労働者に対し、1日の就業時間中に少なくとも1時間以上の休懇時間を、その日に労働者が労働を開始、継続して働いて5時以内に与えなければならない。使用者と労働者は事前に1回の休憩時間を1時間より短い時間とすることに合意することはできるが、1日の休憩時間の合計は1時間を下回ってはならない。
② 使用者と労働者が第1項の定めと異なる就業中の休憩時間を合意し、その合意が労働者側に有利であれば、その合意は有効とする。
③ 就業中の休憩時間は労働時間に加えない。ただし、休憩時間の合計が1日に2時間を超える場合は、2時間を超える時間を通常の労働時間に加える。
④ 通常労働時間に続く時間外勤務が2時間以上である場合、使用者は労働者が時間外勤務を開始する前に20分以上の休憩時間を与えなければならない。
⑤ 第1項および第4項の規定は、業務の性質と形態により連続して労働する必要があり、労働者の承諾を得た場合、または緊急の業務には適用しない。

第28条 使用者は労働者に対して1週間に1日以上の週休日を与えなければならない。週休日と次の週休日には6日以内の間隔をおかなければならない。使用者と労働者は事前に合意して特定の日を週休日とすることができる。
② 使用者と労働者は、ホテル、運輸、林業、僻地での業務その他省令で定める業務については、週休日をまとめてとること、または、繰り延べることを事前に合意することができる。ただし、連続した4週間以内にとらなければならない。

第29条 使用者は、大臣が告示する国民労働日を含めて1年間に13日以上の祝祭日を定めて事前に労働者に対して公示しなければならない。
② 使用者は、公務員の休日、宗教による休日、当該地方の風俗習慣による休日を考慮に入れて祝祭日を定めなければならない。
③ 祝祭日と労働者の週休日が同日となった場合、祝祭日の代休をその翌労働日に与えなければならない。
④ 労働者が省令で定める業務の性質と形態の下で就労しているため、使用者が当該労働者に祝祭日に休ませることができない場合、使用者は、祝祭日の代休を他の日に与えるか、または休日勤務手当を支払うか労働者と合意することができる。

第30条 満1年間継続して就業した労働者は、1年に少なくとも6労働日の年次休暇を取得する権利を有する。年次休暇の日は、使用者が労働者のために事前に定めるか、使用者と労働者が合意しなければならない。
② 次年度以降、使用者は労働者に対し6労働日を超えて年次休暇を与えることができる。
③ 使用者と労働者は当該年に使用しなかった年次休暇を保留して翌年に繰越し、翌年の年次休暇に合算することを事前に合意することができる。
④ 使用者は、満1年継続して就業していない労働者について勤続期間に比例して年次休暇を定めることができる。

第31条 第23条第1項に定める労働者の健康に有害または危険な業務については、使用者は時間外または休日に労働者を働かせてはならない。

第32条 労働者には病気が真実であれば、病気休暇をとる権利がある。3労働日以上の病気の場合、使用者は労働者に第1級免状を有する近代医師または公立病院の診断書の提出を求めることができる。第1級免状を有する近代医師または公立病院の証明書の提出ができない場合、労働者は使用者に説明しなければならない。
② 使用者が医師を準備している場合は、その医師が証明書を出すものとする。ただし、労働者がその医師の診断を受けることができない場合を除く。
③ 労働者が業務上の事由による傷害または疾病が原因で就業することができない日、および、第41条で定める出産休暇については本条に定める病気休暇とはみなさない。

第33条 労働者には、第1級免状を有する近代医師が診断書で必要と証明する期間につき不妊手術休暇をとる権利がある。

第34条 労働者には、就業規則に基づき、必要な用事のための休暇をとる権利がある。

第35条 労働者には、軍事に関する法律による点呼、軍事訓練または軍事演習のため招集され、兵役につくための休暇をとる権利がある。

第36条 労働者には、省令で定める規則及び手続に従い、研修または技能を開発するための休暇をとる権利がある。

第37条 使用者は労働者に、省令で定める重量以上の物の持ち上げ、肩・頭部による運搬、牽引の作業をさせてはならない。

第3章 女性労働者

第38条 使用者は女性労働者に次の作業を行わせてはならない。
(1)地下、水中、洞内、トンネル、山岳の縦坑で行う採鉱、建設。ただし、業務の性質が当該労働者の健康に有害または身体に危険でない場合を除く。
(2)地上10メートル以上の足場上での作業
(3)爆発物または引火物の製造および運搬作業。ただし、業務の性質が当該労働者の健康に有害または身体に危険でない場合を除く。
(4)省令で定めるその他の作業

第39条 使用者は妊娠している女性労働者に次の作業に行わせてはならない。
(1)振動する機械またはエンジンに関する作業
(2)車両の運転または関連作業
(3)15キログラムを超える重量物を持ち上げ、背・肩・頭による運搬、牽引作業
(4)船内で行う作業
(5)省令で定めるその他の作業

第39/1条 使用者は妊娠している女性労働者に22時から6時までの時間、および時間外勤務、休日勤務をさせてはならない。
② 妊娠している女性労働者が管理的業務、知的業務、事務的業務、財務経理業務に従事している場合、使用者は適時、事前に、当該労働者から承諾を得て健康に差支えない範囲内で、労働日に時間外勤務をさせることができる。

第40条 使用者が女性労働者を24時から6時まで就労させ、かつ、労働監督宮がその作業が当該女性の健康に有害もしくは身体に危険な業務であると認めたとき、労働監督官は、局長または局長の委任を受けた者に審査のために報告し、就業時間の変更または労働時間の短縮を使用者が適切に行うことを命令し、使用者に守らせなければならない。

第41条 妊娠している女性労働者は1回につき90日を超えない範囲で出産のための休暇をとる権利を有する。
② 第1項に定める休暇には、休暇中の休日も含むものとする。

第42条 妊娠している女性労働者が従来の業務を縦続することができないことを証明する第1級免状を有する近代医師の証明書を提出したとき、当該労働者は使用者に対し産前産後に臨時的に業務変更を要求する権利があり、使用者は当該労働者に適切な業務へ変更しなければならない。

第43条 使用者は妊娠を理由として女性労働者を解雇してはならない。

第4章 年少労働者

第44条 使用者が満15歳未満の年少者を労働者として雇用することを禁止する。

第45条 使用者が満18歳末満の年少者を労働者として雇用する場合には、使用者は次に定める事項を守らなければならない。
(1)年少者が就職してから15日以内に労働監督官に対し、当該年少者を労働者として雇用したことを通知すること。
(2)変更があった場合は雇用記録を変更し、事業所または使用者の事務所に備え付けて、執務時間中に労働監督官が検査できるようにしておくこと。
(3)年少者が離職してから7日以内に当該年少者の労働者としての雇用が終了したことを労働監督官へ通知すること。
② 第1項の通知及び記録については局長の定める様式に従わなければならない。

第46条 使用者は年少労働者が作業を開始してから4時間を超えない時間内に年少労働者に対し1日の休憩時間を連続して1時間以上与えなければならない。ただし、その4時間以内については使用者が定めたところにより休憩時間を与えることができる。

第47条 使用者は、18歳末満の年少労働者を22時から6時までの時間帯に就労させてはならない。ただし、局長または局長の委任する者により文書で許可を受けた場合を除く。
② 使用者は、18歳末満の年少労働者を上述の時間帯に映画、劇その他の演技に出演させるることができる。この場合、使用者は当該年少労働者に適切な休憩時間を与えなければならない。

第48条 使用者は満18歳末満の年少労働者に時間外勤務または休日勤務をさせてはならない。

第49条 使用者は、18歳末満の年少労働者を次の作業に就かせてはならない。
(1)金属を溶解、押し出し、鋳造、圧延する作業
(2)金属を打ち抜く作業
(3)通常と異なった水準の暑さ、寒さ、振動、騒音および光に関係する危険な作業で省令で定めるもの
(4)省令で定める危険化学物質に関する作業
(5)省令で定めるウイルス、バクテリア、真菌その他病気を引き起こす有害微生物に関する作業
(6)有害物質、爆発物、引火物に関する作業。ただし、省令で定めるガソリンスタンドを除く。
(7)フォークリフトまたはクレーンの運転
(8)電動または動力のこぎりの使用
(9)地下、水中、洞窟内、トンネル内または山岳の縦坑で行わなければならない作業
(10)省令で定める放射線に関する作業
(11)作動中の機械、エンジン清掃
(12)地上10メートル以上の足場の上で行う作業
(13)省令で定めるその他の作業

第50条 使用者は、18歳末満の年少労働者を次に定める場所で使用してはならない。
(1)と畜場
(2)賭博場
(3)接待提供に関する法律に基づく接待場
(4)省令で定めるその他の場所

第51条 使用者は、年少労働者側に対しいかなる保証も要求しまたは受領してはならない。
② 使用者は年少労働者の賃金を他人に対して支払ってはならない。
③ 使用者が年少者である労働者に賃金、金銭または報酬を支払う場合、年少労働者の父もしくは母、保護者、その他の者に、雇用の前、雇用時または年少労働者に対する毎回の賃金支払い日以前に、金銭その他の報酬を支払った場合、当該年少労働者に対する賃金の支払いもしくは受領があったとはみなさない。また、使用者は定められた日に年少労働者に対し支払う賃金から、上述の金銭その他の報酬を控除してはならない。

第52条 18歳末満の年少労働者には、年少者の生活および技能を開発向上させるために局長が承認した教育機関または公立私立の機関が開催する会議、セミナー、研修、訓練に参加するための休暇またはその他の活動への休暇をとる権利がある。年少労働者は、使用者に対して事前に休暇の理由を明確にし、もしあれば証拠を添えて通知しなければならない。使用者は上述の休暇に対して、1年に30日を超えない範囲内で期間中労働日の賃金と同額を年少労働者に支払わなければならない。

第5章 賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当及び休日時間外勤務手当

第53条 使用者は、同一種、同一量の労働については、労働者の性別にかかわらず、同一の賃金、時間外手当、休日勤務手当及び休日時間外勤務手当を定めなければならない。

第54条 使用者は、賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当、休日時間外勤務手当および労働に起因するその他の手当てをタイの通貨により支払わなければならない。ただし、労働者の承諾を得て小切手または外国通貨で支払う場合を除く。

第55条 使用者は、賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当、休日時間外勤務手当および労働に起因する金銭を労働者の就労場所で支払わなければならない。その他の場所、方法で支払う場合は労働者の承諾を得なければならない。

第56条 使用者は次の休日について、労働日の賃金と同額の賃金を労働者に支払わなければならない。
(1)週休日。ただし、賃金が日、時間で支給され、または出来高で計算、支給される労働者を除く。
(2)祝祭日
(3)年次休暇

第57条 使用者は、第32条に定める病気休暇中の労働者に対し、休暇期間中労働日の賃金と同額の賃金を労働者に支払わなければならない。ただし、年間30労働日を超えなくてもいい。
② 労働者が第33条に定める不妊手術休暇の権利を使用した場合、使用者は労働者に賃金を支払わなければならない。

第58条 使用者は、第35条に定める兵役休暇中の労働者に対し、期間中労働日の賃金と同額の賃金を労働者に支払わなければならない。ただし、年間60日分を越えなくてもいい。

第59条 使用者は、出産休暇中の女性労働者に対し、休暇期間中、労働日の賃金と同額の賃金を労働者に支払わなければならない。ただし、45日を超えなくてもいい。

第60条 第56条、第57条、第58条、第59条、第71条および第72条に定める賃金支払いに当たり、労働者が出来高払制で賃金の支払いを受けている場合、休日または休暇の前に労働者が支払いを受けていた賃金の平均額を休日または休暇中の労働者に対し支払わなければならない。

第61条 使用者が、労働者に労働日の時間外に就業させた場合、使用者は労働した時間数に対し、労働日の時間当たり賃金額の1.5倍以上の時間外勤務手当を労働者に支払わなければならない。出来高払制で賃金の支払いを受けている労働者については、出来高に比例して、労働日の出来高単位あたり賃金額の1.5倍以上の時間外勤務手当を支払わなければならない。

第62条 第28条、第29条または第30条の規定に基づき、使用者が労働者を休日に就業させた場合、使用者は次に定める率により休日勤務手当を労働者に支払わなければならない。
(1)休日に賃金を受取る権利のある労働者には、労働した時間数に比例して、労働日の時間当たり賃金額の1倍以上を追加、または出来高払制で賃金の支払いを受けている労働者の場合、出来高に比例して、労働日の出来高単位あたり賃金額の1倍以上の追加賃金を支払わなければならない。
(2)休日に賃金を受取る権利のない労働者には、労働した時間数に比例して、労働日の時間当たり賃金額の2倍以上、または出来高払制で賃金の支払いを受けている労働者の場合、出来高に比例して、労働日の出来高単位あたり賃金額の2倍以上の賃金を支払わなければならない。

第63条 使用者が労働者に休日の時間外に労働させた場合には、労働した時間数に対し、労働日の時間当たり賃金額の3倍以上の、または出来高払制で賃金を受領している労働者の出来高に比例して、労働日の出来高単位あたり賃金額の3倍以上の賃金を支払わなければならない。

第64条 使用者が労働者に休日を与えなかったか、第28条、第29条または第30条に定めより少ない休日しか与えなかった場合、使用者は、休日に労働者を使用した場合と同様、第62条および第63条に定める率により、休日勤務手当または休日時間外勤務手当を支払わなければならない。

第65条 労働者が次ぎに定める権限を持っている場合、または使用者が次に定める業務に労働者を就かせている場合、第61条の時間外勤務手当および第63条の休日時間外勤務手当を受取る権利がない。ただし、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)または(9)の業務に就いている場合、当該労働者には働いた時間数に対して労働日の時間当たり賃金率と同率の報酬を受取る権利がある。
(1)雇用、報奨の支給、または解雇について使用者を代理して行う権限のある者
(2)営業または商品の購買勧誘で使用者が商品の販売に対して手数料を労働者に支払っている場合
(3)鉄道業務。すなわち鉄道に乗務する業務および鉄道の運行に関する業務
(4)水門及び排水門の開閉業務
(5)水位および水量の測定業務
(6)消火または市民の危険を防止する業務
(7)外部で就業しなければならない性質を有する業務で業務の性質上就業時間を明確に特定できない業務
(8)場所または財産の監視で通常の労働者には責任のない業務
(9)省令で定めるその他の業務
② 以上規定については、使用者が労働者に対し、時間外勤務手当または休日時間外勤務手当を支払う旨合意している場合を除く。

第66条 第65条(1)に該当する労働者には、使用者が休日勤務手当を支払うことに合意している場合を除き、第62条に定める休日勤務手当を受取る権利がない。

第67条 労働者に第119条に規定する違反行為がないにもかかわらず、使用者が解雇する場合、使用者は労働者に対し、第30条の定めにより労働者が権利として有すべき年次休暇の割合に応じて解雇の年の年次休暇に対する賃金を支払わなければならない。
② 労働者が契約終了を通告する側であるか使用者が終了を通告する側である場合、第119条に基づく解雇であるか否かに関係なく使用者は第30条により労働者に受取る権利がある繰越年次休暇について賃金を支払わなければならない。

第68条 時間外勤務手当、休日勤務手当または休日時間外勤務手当を計算する場合、賃金を月給制で支払われている労働者に対する労働日の時間当たり賃金額とは、月額賃金を30で割り、その結果を労働日における平均1日あたりの時間数で割った額を意味する。

第69条 時間外勤務時間数の計算に当たり、使用者が通常労働時間を週単位で定めている場合は、祝祭日、年次休暇日及び休暇日を労働日として計算する。

第70条 使用者は、次に定める時期に、賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当または休日時間外勤務手当を正確に支払わなければならない。
(1)賃金の計算が、月単位、日単位、時間単位またはその他1か月を超えない期間単位で、または出来高により計算される場合、月に1回以上支払わなければならない。ただし、労働者には利益となるその他の方法について合意がある場合を除く。
(2)賃金計算方法が(1)に定める以外の場合、労働者と使用者が合意して定めた時期に支払わなければならない。
(3)時間外勤務手当、休日勤務手当または休日時間外勤務手当については月に1回以上支払わなければならない。
② 使用者が労働者を解雇した場合、使用者は労働者が受取る権利のある賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当または休日時間外勤務手当を、解雇の日から3日以内に労働者に対して支払わなければならない。

第71条 使用者が休日に労働者を通常の就業場所ではない地方に出張させた場合、使用者は、第56条(1)に定める休日に賃金を受取る権利のない労働者に対して、労働日の賃金と同額の賃金を当該出張について支払わなければならない。

第72条 使用者が労働者を通常の就業場所ではない地方に出張させた場合、労働者には移動の時間について、第61条に定める時間外勤務手当または第63条に定める休日時間外勤務手当を受取る権利はない。休日の旅行については第56条(1)に定める休日に賃金を受取る権利のない労働者に対し、労働日の賃金と同額の賃金を使用者は支払わなければならない。ただし、使用者が時間外勤務手当または休日時間外勤務手当を労働者に支払うことを合意している場合を除く。

第73条 使用者は第71条及び第72条に定める出張の費用を支払わなければなければならない。

第74条 使用者が時間外勤務手当、休日勤務手当または休日時間外勤務手当について、第61条、第62条および第63条で定める以上の額を支払うことを合意している場合、その合意に基づくものとする。

第75条 使用者が、使用者の事業に重要な影響を与える何らかの理由により一時事業の全部または一部を行うことができない場合、その理由が不可抗力の場合を除き、使用者は労働者が就業できない期間について、事業を休止する前の労働日の賃金の75%以上の金額を支払わなければならない。
② 使用者は、第1項の事情発生日から3労働日以上前に、文書により労働者及び労働監督宮に対して通知しなければならない。

第76条 使用者は次に掲げる場合を除いて、賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当または休日時間外勤務手当から控除してはならない。
(1)労働者が支払うべき所得税の支払いまたは法に定められている徴集金
(2)労働組合の規約に基づく労働組合費の納付金
(3)貯蓄協同組合その他同様の性質を有する協同組合への納付金、または労働者だけに利益がある福利厚生のための納付金。ただし事前に労働者の承諾を得なければならない。
(4)第10条に定める保証金、または労働者の故意または重大な過失により生じた使用者に対する損害賠償金。ただし、労働者の承諾を得なければならない。
(5)合意に基づく積立基金への納付金
②(2)、(3)、(4)または(5)に定める控除は、それぞれ第70条により定められた支払い時期に労働者が受取る権利のある金額の10分の1を超えてはならず、また、合計額が同じく5分の1を超えてはならない。ただ、労働者の承諾を得た場合を除く。

第77条 使用者が労働者から承諾を得なければならない場合、または、第54条および第55条に定める金銭の支払、または第76条に基づく控除を行うため労働者から承諾を得る場合、使用者は文書により明確に労働者の承諾、同意を得て、労働者に署名をさせなければならない。

第6章 賃金委員会

第78条 労働省事務次官を委員長とし、政府側の代表者4人、使用者側および労働者側の代表者各5人で内閣が任命する者を委員とする賃金委員会を設置し、大臣が任命する労働省の職員を事務局長とする。
② 第1項で定める使用者側委員及び労働者側委員の選出の規準と手続については大臣が定めるものとする。

第79条 賃金委員会の権限、責務は次の通りとする。
(1)内閣に対して賃金政策および賃金の改善に関する意見、助言を提出すること。
(2)経済、社会の状況に応じ、使用者が賃金を改定する場合考慮すべき方向を定めること。
(3)最低賃金を定めること。
(4)技能に基づく賃金を定めること。
(5)政府、民間および一般大衆の機関に対して職業に関する助言を行い、総合的利益の方向を示すこと。
(6)法律、内閣が定めるまたは委任するその他の事項
② 内閣への意見を提出する場合、賃金委員会は国民所得の向上に配慮することができる。

第80条 内閣が任命する賃金委員会委員の任期は1期2年とし、退任した委員の再任は妨げない。
② 内閣から任命された賃金委員会委員が任期満了前に退任した場合、内閣は同分野から後任者を任命しなければならない。新たに任命された者は前任委員の任期の残余期間についてその地位に就くものとする。ただし、退任委員の残余任期が180日未満のときは、新委員の任命を要しない。
③ 内閣に任命された賃金委員会委員が任期満了により退任し、新委員がまだ任命されていない場合、当該委員は新たな委員が任命され、職務に就くまで、一時的に職務を執行する。ただし、旧委員が退任した日から90日以内に新委員の任命を完了しなければならない。

第81条 第80条に定める任期満了による退任のほか、内閣が任命した賃金委員会委員は次に該当する場合退任する。
(1)死亡
(2)辞職
(3)正当な理由なく3回連続して会議を欠席し、その理由により内閣が罷免したとき
(4)破産者となったとき
(5)成年被後見人または被保佐人となったとき
(6)最終判決により懲役刑を受けた場合。ただし、過失または軽犯罪の場合を除く。

第82条 賃金委員会の会議は、委員総数の半数以上の出席を要し、かつ、使用者側委員、労働者側委員各1名以上の出席をもって定足数とする。
② 第79条に規定する最低賃金または技能に基づく賃金を審議決定する会議においては、委員総数の3分の2以上の出席を要し、かつ、使用者側および労働者側それぞれ2名の出席もって定足数とする。決定には出席委員の3分の2以上の賛成を必要とする。
③ 最低賃金および第79条の技能に基づく賃金を決定する会議においては、第2項の定めに従った定足数が得られない場合、最初の会議の日から15日以内に再度会議を開催しなければならない。2回目の会議では、使用者側委員と労働者側委員の出席がなくても、委員総数の3分の2の出席があれば定足数を満たしたとみなし、出席委員の3分の2以上の賛成で可決する。

第83条 会議に委員長が欠席し、または職務執行ができない場合、会議に出席している委員が委員の中から議長を1名選出する。
② 会議の決議は多数決とする。1名の委員は1票を有するものとし、賛否同数の場合は、議長が追加の決定票を有するものとする。

第84条 賃金委員会は、委員会に代わって、様々な事項に関し審議または実施するため、小委員会を任命する権限を有する。
② 委員会は、小委員会会議の定足数及び業務執行の方法を適切に定めることができる。

第84/1条 賃金委員会は、資格のある5名以下の賃金委員会の顧問を選任することができる。この顧問の中には労働問題、賃金管理、経済、工業、法律の専門家を加えなければならない。
② 第1項で賃金委員会が選任した顧問の任期、退任については第80条と第81条を準用する。

第85条 賃金委員会、小委員会もしくは賃金委員会または小委員会から委任を受けた者は以下の職務を執行することができる。
(1)審議の参考にするため、必要に応じ文書により個人を召喚し陳述させ、もしくは文書または物件を徴すること。
(2)経済に影響を与える可能性のあるあらゆる活動について調査を行うため、個人または団体に協力させること。
(3)第79条による審議のため、営業時間中に使用者の事業所または事務所に立ち入り、事実を調査、分析、検査または審問すること。その場合使用者または関係者は文書を提出または提示し、もしくは、事実を開示して便宜を供与し、委員の職務の執行を妨げてはならない。

第86条 第85条に定める職務を執行する場合、賃金委員会委員、小委員会委員もしくは賃金委員会または小委員会の委任を受けた者は、身分証明書または委任状を関係者に提示しなければならない。
② 第1項に定める賃金委員会委員及び小委員会委員の身分証明書の様式は大臣が定める。

第87条 最低賃金を審議決定する場合、賃金委員会は労働者の賃金額に関する事実、現在の賃金水準に関する事実、その他の事実を検討、審議し、生活費指数、物価上昇率、生活水準、製造原価、物価、事業所の能力、労働生産性、国内総生産および経済社会の状況を考慮しなければならない。
② 最低賃金の審議決定に当たっては、当該地方における特定の事業、仕事または生活の種類、程度、地域別に定めることができる。
③ 特定集団の労働者または特定種類の労働者の雇用並びに保護を促進するため、新銀委員会は第2項において審議したものと異なる最低賃金を審議することができる。その最低賃金額は賃金委員会第2項で定める金額を下回ってはならない。
④ 職能賃金の審議決定に当たり賃金委員会は、職能の水準、知識、能力に基づき各分野で労働者が受けている賃金に関する事実を調査、検討しなければならない。ただし、賃金委員会が定めた最低賃金を下回ってはならない。

第88条 第87条に定めにより資料及び事実の検討が完了したとき、賃金委員会は最低賃金及び職能賃金の決定を告示し、官報で公布するため閣議に提出しなければならない。

第89条 第88条の定めによる最低賃金または技能賃金の告示は、使用者及び労働者の全てに適用される。

第90条 最低賃金または技能賃金が告示され、施行された後、使用者が労働者に支払う賃金は最低賃金または技能賃金を下回ってはならない。
② 労働監督官は、最低賃金または技能賃金を定める告示を、その適用を受ける使用者に対して送付し、使用者は労働者に周知させるため、当該告示を、当該告示が有効である間、労働者の就業場所に掲示しなければならない。

第91条 次の権限職責を有する賃金委員会事務局を労働省内に設置する。
(1)国内の賃金、所得構造の発展計画を策定し賃金委員会に提出すること。
(2)事業の実施計画を賃金委員会および小委員会へ提出すること。
(3)賃金委員会と小委員会の連携計画を作成すること。
(4)委員会および小委員会のための審議資料として、国内の経済、労働、生活水準、労働市場の拡大、労働生産性、投資、人口動態および関係する情報を収集、検討、分析または見積もること。
(5)労働省及び関係機関に対し、研究成果、専門的情報の検討結果及びその他事項について提出すること。
(6)賃金委員会の決定に従い、国内の賃金、所得構造の発展計画を追跡し、推定すること。
(7)その他賃金委員会または小委員会により委任された事項

第7章 福祉と厚生

第92条 労働省事務次官を委員長とし、大臣が任命した政府側委員4人、使用者側委員及び労働者側委員各5人で構成した労働福祉委員会を設置する。事務局長は労働者保護福祉局職員から大臣が任命する。

第93条 労働福祉委員会の権限職責は以下の通りとする。
(1)大臣に対して、労働福祉の政策、傾向および規準に関する意見を提出すること。
(2)大臣に対して、事業所における福利厚生の実施に関する省令、告示または規則の公布について助言すること。
(3)事業所の業種ごとに労働福祉の実施について勧告すること。
(4)実施結果の評価、大臣への報告
(5)第120条に基づく特別解雇補償金または事前通告に代わる特別補償金を支払うよう使用者へ命令すること。
(6)本法または他の法律により労働福祉委員会の権限職責とされているか、大臣の委任に基づくその他の事項の執行。

第94条 第78条第2項、第80条、第81条、第82条第1項、第83条、第84条、第85条および第86条の規定は、労働福祉委員会に準用する。

第95条 大臣は、使用者が福祉を提供すること、また、その基準を定める省令を公布することができる。

第96条 50人以上の労働者がある事業所においては、使用者は労働者を代表する委員5人で構成される事業所内福祉委員会を設置しなければならない。
② 事業所内福祉委員は局長が定める規則及び手続により選出されなければならない。
③ 労働関係法に定める労働者委員会がすでにある事業所では、本法に定める事業所内福祉委員会の職務を労働者委員会に行わせる。

第97条 事業所内福祉委員会の権限責務を以下の通りである。
(1)労働者に対する福祉提供について使用者と協議すること。
(2)労働者に対する福祉について使用者に提案すること。
(3)使用者が労働者に提供する福祉について調査、管理すること。
(4)労働福祉委員会に対し労働者の利益となる福祉の提供について提案すること。

第98条 使用者は、少なくとも3か月に1回事業所内福祉委員会との会議を開催しなければならない。また、事業所内福祉委員総数の半数を超える委員または労働組合が合理的な理由を付して要求した場合に開催しなければならない。

第99条 使用者は、第95条の定めにより公布された省令および労働者と福祉について合意した事項について、就業場所に明瞭に掲示して労働者に通知しなければならない。

第8章 労働安全衛生環境(削除)

第100条 削除

第101条 削除

第102条 削除

第103条 削除

第104条 削除

第105条 削除

第106条 削除

第107条 削除。

第9章 統制

第108条 10人以上の労働者を有する使用者は、少なくとも次の項目が含むタイ語の就業規則を作成しければならない。
(1)労働日、通常労働時間および休憩時間
(2)休日および休日に関する規則
(3)時間外勤務及び休日勤務に関する規則
(4)賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当および休日時間外勤務手当の支給日及び支給場所
(5)休暇日及び休暇に関する規則
(6)規律および罰則
(7)苦情申立て
(8)解雇、解雇補償金および特別解雇補償金
② 使用者は、労働者が10人以上になった日から15日以内に就業規則を公示し、就業規則の写しを事業所または事務所に常時備え付けておかなければならない。
③ 使用者は、就業規則を就業場所に公開、公示し、または電子的方法により労働者が容易に閲覧できるようにしなければならない。

第109条 第108条(7)に定める苦情申立てには、少なくとも次の項目を含めなければならない。
(1)苦情申立ての範囲および意義
(2)苦情申立ての手続き
(3)苦情の調査および審議
(4)苦情の解決方法
(5)苦情申立て人及び関係者の保護

第110条 第108条の就業規則を改正した場合、使用者は、改正した就業規則を公示しなければならない。その場合、第108条第2項および第3項を準用する。

第111条 第108条に定める就業規則を使用者が公示した後、労働者数が10人を下回った場合でも、使用者は引き続き第108条及び第110条に定める規定に従わなければならない。

第112条 使用者は、労働者数が10人以上になった日から労働者登録簿をタイ語で作成し、執務時間中に労働監督官が検査できるよう使用者の事業所または事務所に備え付けておかなければならない。
② 第1項に定める労働者登録簿は、労働者が就業を開始してから15日以内に作成しなければならない。

第113条 労働者登録簿には少なくとも次の項目を含めなければならない。
(1)氏名
(2)性別
(3)国籍
(4)生年月日または年齢
(5)現住所
(6)雇用日
(7)職位または職責
(8)使用者が労働者に対し支給を合意した賃金その他の対価
(9)退職日
② 労働者登録簿の内容を変更しなければならない場合、使用者は当該変更の日または労働者が使用者に変更を通知した日から15日以内に労働者名簿を改定しなければならない。

第114条 使用者は、労働者が10人以上になった日から、少なくとも次の項目を含む賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当及び休日時間外勤務手当に関する帳簿を作成しなければならない。
(1)労働日及び労働時間
(2)出来高払制で賃金を支給されている労働者の出来高
(3)労働者が支給された賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当および休日時間外勤務手当の率および額
② 賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当及び休日時間外勤務手当を支払ったとき、使用者は第1項に定める帳簿に証拠とするため労働者に署名させなければならない。
③ 第1項に定める帳簿は1冊にまとめることも数冊に分けることもできる。
④ 使用者が労働者に、賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当及び休日時間外勤務手当を商業銀行その他の金融機関の労働者の口座へ振り込む方法により支給した場合、労働者への振り込み証明を支払いに関する帳簿とみなす。

第115条 使用者は、各労働者が退職した日から2年以上労働者登録簿を保存し、賃金等を支給した日から少なくとも2年以上賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当および休日時間外勤務手当に関する帳簿を保存しなければならない。
② 本法第12章に定める申立てが行われた場合、または労働関係法による労使紛争もしくは労働訴訟があった場合、使用者は、労働者登録簿および賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当並びに休日時間外勤務手当に関する帳簿を、当該事件に関する最終命令または判決が下されるまで保存しなければならない。

第115/1条 第139条に基づく労働監督官の執行に便宜を与えるため、10名以上の労働者を使用する使用者は毎年1月中に局長または局長が委任する者に対して雇用の状況、労働の状況を記載した報告書を提出しなければならない。また、労働監督官は、局長が定める様式を毎年12月中に使用者に対して送付しなければならない。
② 第1項により報告した雇用の状況、労働の状況の事実関係が変化した場合、使用者は変化を局長または局長が委任する者に対して文書で、変化が生じた翌月中に報告しなければならない。

第10章 休職

第116条 使用者が、違反行為について労働者を聴聞する場合、使用者は聴聞の期間中労働者に休職を命じてはならない。ただし、使用者が労働者に休職を命ずることができる就業規則または労使協約がある場合を除く。休職を命ずる場合、使用者は事前に、文書により違反行為を記入して、7日以内の期間を定めて休職を命じなければならない。
② 第1項に定める休職期間中、使用者は労働者に対し、就業規則で定めている額の賃金、または労働協約において使用者と労働者が合意していた額の賃金、を支払わなければならない。ただし、その賃金額は労働者が休職を命じられる前の労働日に支払われていた賃金の100分の50を下回ってはならない。

第117条 聴聞の終了により、労働者に違反行為がないことが判明したとき、使用者は、労働者が休職を命じられた日から休職が終了するまでについて、労働日の賃金と同額の賃金を労働者に支払わなければならない。また、第116条に基づき使用者が支払った分は本条で定める賃金の一部とし、同時に年利15%の利息を支払わなければならない。

第11章 解雇補償金

第118条 使用者は解雇する労働者に次の通り解雇補償金を支払わなければならない。
(1)120日以上1年未満継続して就業した労働者には、最終賃金の30日分以上を、また出来高払制の労働者に対しては最終の出来高賃金の30日分以上を支払わなければならない。
(2)1年以上3年未満継続して就業した労働者には、最終賃金の90日分以上を、また出来高払制の労働者に対しては最終の出来高賃金の90日分以上を支払わなければならない。
(3)3年以上6年未満継続して就業した労働者には、最終賃金の180日分以上を、また出来高払制の労働者に対しては最終の出来高賃金の180日分以上を支払わなければならない。
(4)6年以上10年未満継続して就業した労働者には、最終賃金の240日分以上を、また出来高払制の労働者に対しては最終の出来高賃金の240日分以上を支払わなければならない。
(5)10年以上継続して就業した労働者には、最終賃金の300日分以上を、また出来高払制の労働者に対しては最終の出来高賃金の300日分以上を支払わなければならない。
② 本条でいう解雇とは、雇用契約の終了または他理由を問わず、使用者が労働者を以後働かせず、賃金を支払わない行為のことをいい、使用者が事業を継続することができないため労働者が労働せず、かつ、賃金を受取らない場合を含む。
③ 第1項の規定は、雇用期間が明瞭に定められており、その期間終了により雇用を終了する労働者に対しては適用しない。
④ 第3項に定める期間の定めのある雇用は、使用者の通常の事業、取引ではない特別の事業に関する雇用で、労働の開始と終了の時期が明瞭であるもの、臨時的性格を有する労働で終了時期または仕事の完成の時期が定められているもの、季節的業務で季節内に雇用されるもの、2年以内で終了するもので、使用者と労働者が雇用開始時に文書で契約しているものについて行うことができる。

第118/1条 使用者と労働者が合意したか、または使用者が定めた定年退職は、第118条第2項の解雇とみなす。
② 定年退職に関する合意または取決めがない場合、または60歳を超える定年退職の合意もしくは取決めがある場合、満60歳を超えた労働者は定年退職の意志を使用者に対して通告することができる。その場合通告から30日経過したときに通告の効果が生じ、使用者は定年退職する労働者に対して、第118条第1項に基づく解雇補償金を支払わなければならない。

第119条 解雇が次のいずれかの理由による場合、労働者に対して解雇補償金を支払う必要はない。
(1)職務上の不正を行い、または使用者に対し故意に刑事犯罪を犯した。
(2)使用者に対し故意に損害を与えた。
(3)過失により使用者に重大な損害を与えた。
(4)就業規則、規律または使用者の法にかなった、正当な命令に違反し、使用者が文書で警告を行った。ただし、重大な違反の場合には警告を要しない。警告書は労働者が違反行為を行った日から1年間有効である。
(5)合理的な理由なく、間に休日があるかないかにかかわらず3日間連続して職務を放棄した。
(6)最終判決により懲役刑を受けた。
② 上記(6)については、過失または軽犯罪であれば、使用者に損害を与えた場合でなければならない。
③ 第1項による解雇補償金を支払わない解雇について、使用者が解雇通告書に解雇の理由となる事実を記載していない場合、または解雇の理由を記載していない場合、使用者は後になって理由を申立てることはできない。

第120条 使用者が事業所を移転するため労働者や家族の通常の生活に影響が及ぶ場合、使用者は事業所移転の30日以上前に労働者に通知しなければならない。労働者が事業所とともに移転することを望まないとき、労働者は使用者の通告の日または移転の日から30日以内に雇用契約の終了を通告することができ、労働者には、第118条に定める解雇補償金の額以上の特別解雇補償金を受取る権利がある。
② 使用者が第1項に定めにより事前に事業所の移転を労働者に通知しなかった場合、使用者は、最終賃金の30日分と同額の、また出来高払制の労働者に対しては最終の出来高賃金の30日分と同額の事前通告に代わる特別解雇補償金を支払わなければならない。
③ 使用者は、労働者が契約終了の事前通告を行った日から7日以内に労働者に対して特別解雇補償金または事前通告に代わる特別解雇補償金を支払わなければならない。
④ 使用者が第3項による特別解雇補償金もしくは事前通告に代わる特別解雇補償金を支払わない場合、労働者は特別解雇補償金もしくは事前通告に代わる特別解雇補償金の支払い期限から30日以内に労働福祉委員会に対して苦情を申立てることができる。
⑤ 労働福祉委員会は審査のあと申立を受けた日から60日以内に命令を出さなければならない。
⑥ 労働福祉委員会が審査の結果、労働者が特別解雇補償金または事前通告に代わる特別解雇補償金を受取る権利があることが明らかになった場合、労働福祉委員会は使用者が特別解雇補償金もしくは事前通告に代わる特別解雇補償金を、命令の日もしくは命令を知ったとみなされる日から30日以内に労働者に支払うよう文書で命令しなければならない。
⑦ 労働福祉委員会が審議の結果、労働者には特別解雇補償金もしくは事前通告に代わる特別解雇補償金を受取る権利がないことが判明した場合、労働福祉委員会は文書により使用者と労働者へ通知しなければならない。
⑧ 労働福祉委員会の命令は最終とする。ただし、使用者または労働者が、命令を受けた日から30日以内に裁判所に提訴した場合を除く。使用者が提訴する側である場合、使用者は命令により支払わなければならない額を裁判所に供託しなければ提訴できない。

第121条 使用者が機械を導入し、機械または技術を更新し、組織、製造工程、販売、役務の方法を変更することにより労働者数を減らさなければならなくなり、使用者が労働者を解雇する場合、第17条第2項は適用せず、使用者は、解雇の日、解雇理由および労働者名を、解雇の日の60日以上前に、労働監督官および解雇される労働者に通告しなければならない。
② 使用者が解雇される労働者に事前通告をしないか、第1項に定められた期間より短い期間の事前通告を行った場合、第118条に定める解雇補償金のほか、使用者は最終賃金の60日分と同額、または出来高払制の労働者に対しては最終の出来高賃金60日分と同額の、事前通知に代わる特別解雇補償金を支払わなければならない。
③ 第2項に定める事前通告に代わる特別解雇補償金の支払があった場合、使用は同時に民商法典に定める事前通告に代わる補償金を支払ったものとみなす。

第122条 使用者が第121条に基づき解雇する労働者が6年を超えて継続して勤務している場合、使用者は、勤続満1年あたり最終賃金の15日分以上、また出来高払制の労働者に対しては勤続満1年あたり最終出来高賃金の15日分以上を、第118条に定める解雇補償金に追加して特別解雇補償金として支払わなければならない。ただし、本条に定める解雇補償金の合計は最終賃金の360日分、また出来高払制の労働者に対しては最終出来高賃金の360日分を超えなくてもいい。
② 特別解雇補償金の計算に当たっては、1年に満たない勤続期間について、端数が180日を超えるときには1年間就業したものとみなす。

第12章 苦情の申立ておよび審査

第123条 使用者が、本法に定めにより金銭を受取る受領の権利に対して違反するか、または履行せず、労働者が本法に定めによる担当官の措置を希望する場合、労働者は労働者の就業場所または使用者の居住地の労働監督官に対し局長の定める様式により申立てることができる。
② 本法に定めにより支払わなければならない金銭に対する権利を有する労働者が死亡した場合、法定相続人が労働監督官に申立てることができる。

第124条 第123条に定める申立てが行われた場合、労働監督官は事実を調査し、申立てを受けた日から60日以内に命令を出さなければならない。
② 第1項に定める期間内に命令することができない事情がある場合、労働監督官は局長または局長が委任する者に対し、その理由とともに期間延長を要求しなければならない。局長または局長が委任する者は審査の結果、正当であれば許可することができる。ただし、第1項に定める期限満了の日から30日以内に許可しなければならない。
③ 労働監督官が調査の結果、労働者に、使用者が本法に基づき支払わなければならない金銭を受取る権利があると判明した場合、労働監督官は、使用者が労働者もしくは死亡した労働者の法定相続人に対し、局長が定める様式により命令を受けた、もしくは受けたとみなされる日から30日以内に当該金銭を支払うよう命令しなければならない。
④ 使用者は、第3項に定める金銭を労働者または死亡した労働者の法定相続人に対し、労働者の労働の場所において支払わなければならない。労働者または死亡した労働者の法定相続人の請求により、労働監督官は使用者に当該金銭を、労働監督官の事務所または使用者と労働者もしくは死亡した労働者の法定相続人と合意したその他の場所において支払うよう命ずることができる。
⑤ 労働者または死亡した労働者の法定相続人が、労働監督官が命令した日から15日以内に、当該金銭を受取りにこない場合、労働監督官は労働者福祉基金において保管するよう銀行へ預けなければならない。預金に利息が生じた場合、当該金銭の受給権を有する労働者または死亡した労働者の法定相続人の権利となる。
⑥ 労働者または死亡した労働者の法定相続人に第123条に定める金銭を受取る権利がないと労働監督官が認めた場合、使用者および労働者もしくは死亡した労働者の法定相続人に対し文書で命令を通知しなければならない。

第124/1条 使用者が、第124条に基づく労働監督官の命令に定められた期間内に従った場合、または裁判所の判決もしくは命令に従った場合、使用者に対する刑事上の告訴は行われない。

第125条 労働監督官の第124条に基づく命令について、使用者、労働者もしくは死亡した労働者の法定相続人に不服がある場合、命令を知った日から30日以内に裁判所に提訴しなければならない。
② 使用者、労働者または死亡した労働者の法定相続人が定められた期間内に裁判所に提訴しない場合、当該命令は最終のものとなる。
③ 使用者が原告である場合、使用者は提訴する前に当該命令により支払いが定められている金額を裁判所に供託しなければならない。
④ 裁判が確定し、使用者が労働者または死亡した労働者の法定相続人に対し一定額の金銭を支払わなければならない場合、裁判所は、使用者が裁判所に供託した金銭を労働者もしくは死亡した労働者の法定相続人、または第134条に基づく支払いが行われていた場合、労働者福祉基金に支払うことができる。

第13章 労働者福祉基金

第126条 労働者が退職、死亡した場合または労働者福祉基金委員会が定めるその他の場合に労働者を支援する基金として、労働者福祉基金を労働者保護福祉局に設置する。

第127条 労働者福祉基金は次によって構成される。
(1)積立金及び負担金
(2)第133条および第136条の規定に基づき労働者福祉基金のものとなる金銭
(3)第131条に基づく追徴金
(4)本法に違反した者から受取った罰金
(5)寄付による金銭または資産
(6)政府の補助金
(7)その他の収入
(8)労働者福祉基金の利息
② 労働者福祉基金に次の会計を設ける。
(1)積立金、負担金および各参加者の金銭から生じた利息を記帳する参加者会計
(2)(1)以外の金銭を記帳する中央会計

第128条 第127条(4)に定める罰金の労働者福祉基金への繰入および繰入の期日は、労働者福祉基金委員会が定め、官報で公布する規則に従うものとする。

第129条 本法執行の便宜を考慮して、第127条に定める労働者福祉基金の金銭、資産は、労働者保護福祉局の資産とし、国庫の収入として財務省に納付する必要はない。
② 労働省事務次官を委員長とし、財務省代表、国家経済社会発展委員会事務局代表、タイ中央銀行代表を委員とし、使用者代表および労働者代表各5人で大臣の任命する者を委員とし、労働者保護福祉局長を委員及び事務局長とする労働者福祉基金委員会を設置する。
③ 労働者福祉基金委員会の権限責務は次の通りとする。
(1)大臣の同意を得て労働者福祉基金の管理及び支払に関する方針を定めること。
(2)本法を執行するための勅令、省令、告示及び規則の制定に関し、大臣に対して提案すること。
(3)大臣の同意を得て労働者福祉基金の金銭の受領、支払および管理に関する規則を制定すること。
(4)大臣の同意を得て労働者福祉基金の運用に関する規則を制定すること。
(5)労働者福祉基金の年間利息の10%を超えない額を労働者福祉基金の管理費用として配賦すること。
(6)本法もしくは他の法律により労働者福祉基金委員会の権限責務を執行すること、または大臣の委任したその他の事項の執行。
④ 第78条第2項、第80条、第81条、第82条第1項、第83条および第84条の規定は、労働者福祉基金委員会に準用する。

第130条 労働者10人以上を有する事業の労働者を労働者福祉基金の参加者とする。
② 第1項の規定は、退職金積立基金に関する法律に基づく退職金積立基金を有する使用者、または、省令で定める規則及び手続に従い、労働者が退職しもしくは死亡した場合の福祉制度を有している使用者には適用しない。
③ 勅令が制定された場合、第1項の規定は労働者数10人未満の事業の労働者にも適用する。
④ 労働者福祉基金委員会は、本法が適用されない事業の労働者が、使用者の同意を得て労働者福祉基金に加入することを希望するとき、労働者福祉基金に加入申請するための規則を定め、本法が適用される事業と同様の義務を使用者に負わせることができる。
⑤ 第1項の規定により労働者が労働者福祉基金の加入者となる使用者は、労働者の名簿その他の詳細を記載した申告書を提出しなければならない。当該申告書を使用者が提出した場合、労働者保護福祉局は使用者に対し登録証を発給しなければならない。
⑥ 申告済みの労働者名簿の内容に変更があった場合、使用者は文書により労働者保護福祉局にその変更または当該申告書の変更を通知しなければならない。
⑦ 労働者名を含む申告書の変更および使用者への登録証書の発給に当たり、労働者福祉基金委員会の定める様式、規準および手続に従うものとする。
⑧ 社会保険法に基づく届出様式、変更通知を提出した者は本条第5項、第6項および第7項の定めを履行したものとみなす。

第131条 労働者が労働者福祉基金の加入者となった日から、賃金支払の都度、使用者は労働者の賃金から積立金を控除し労働者福祉基金に積立金を納付しなければならない。掛け金率は賃金の5%を超えない範囲で省令で定める。
② 使用者が期日に賃金を支給しないとき、賃金支給がなされたとみなして使用者は積立金および負担金納付の責任がある。
③ 使用者が第4項に定める期限内に積立金もしくは負担金を納付しないか、または満額を納入しないとき、使用者は上述の納付日から、未納もしくは不足している積立金並びに負担金額について月当たり5%の追徴金を労働者福祉基金に納付しなければならない。15日以上の端数は1か月とみなし15日未満は切り捨てる。賃金控除を行わなかったこと若しくは賃金控除を行ったが満額行わなかったことは使用者の責任とする。
④ 積立金、負担金及び加算金の労働者福祉基金への納入は、労働者福祉基金委員会が定める規則及び手続によるものとする。

第132条 使用者が定められた期日に、積立金もしくは負担金を納付しないか、または、不足している場合、労働監督官は、使用者に対し警告書を出し、警告書を受領した日から30日未満の定められた期間内に未納金を納付するよう請求しなければならない。
② 第1項に定める警告書を発行する場合、賃金額が不明であれば、労働監督官は、労働者福祉基金委員会の定める規則及び手続に従い、使用者が納付すべき積立金及び負担金を見積もることができる。

第133条 労働者が退職した場合、労働者保護福祉局は労働者福祉基金から、積立金、負担金及びそれらの利息の分を労働者に対し支払わなければならない。
② 労働者が死亡した場合、労働者が労働者福祉基金から金銭を受領すべき者を定め、局長が定める様式により労働者保護福祉局に提出していなかったとき、もしくは受領すべき者を定めてあったが当該者が事前に死亡していた場合、第1項に定める労働者福祉基金からの金銭は、生存している子、配偶者、両親に各人均等に支払うものとする。
③ 死亡した労働者に②に基づく労働者福祉基金からの金銭を受給する権利を有する親族がいない場合、当該金銭は労働者福祉基金に繰り入れるものとする。

第134条 第133条に定める場合以外で労働者福祉基金からの支払いを行う場合、労働者福祉基金委員会が、福祉金の支払、支払額及び支払期間の規則を定める。この場合、労働者福祉基金のうち第133条の定めにより支払うべき金銭以外の部分から考慮するものとする。

第135条 第134条に基づき労働者保護福祉局が労働者福祉基金から労働者に、全部または一部を支払った場合、労働者保護福祉局は、法律に従い当該金銭を労働者に支払う責任を有する者に、労働者福祉基金が支払った金銭を年利15%の利息とともに請求することができる。
② 労働者福祉基金の第1項の請求権の時効は、労働者福祉基金が支払った日から10年間とする。

第136条 労働監督官は、法により納付責任があるにもかかわらず、積立金、負担金もしくは追徴金を納付しないか、または満額納入しない、または第135条により納付すべき金銭を納付しない者の財産を没収、差押または競売に付すための命令を文書により発行することができる。
② 第1項による財産の没収、差押または競売の命令は、法により未納の積立金、負担金若しくは追徴金を納入しなければならない、または第135条の定めにより金残を納付しなければならない者に対し、使用者が当該警告書を受け取ってから少なくとも30日以上の定められた期間内に支払うよう警告書を発したにもかかわらず、定められた期間内に支払いを行わない場合に発行することができるものとする。
③ 第1項に定める財産の没収、差押または競売の規準および手続は大臣が定め、民事訴訟法典に定められた基準および手続を準用する。
④ 競売により得た金銭は、没収、差押または競売の費用を差し引いた後未納の積立金、負担金または追徴金もしは第135条の規定により納付責任のある者の金銭に充当するものとする。残金がある場合、労働監督官が書留郵便により文書で通知することにより速やかに該当人に返却するものとする。5年以内に返却の請求がない場合、残金は労働者福祉基金に繰り入れる。

第137条 労働者福祉基金への請求権は譲渡することができない。また、裁判所の強制執行の対象とすることができない。

第138条 暦年の末日から120日以内に、労働者福祉基金委員会は、前年の労働者福祉基金の貸借対照表および収支報告書を会計検査院に提出し、同院の検査証明を得た後、大臣へ提出しなければならない。
② 上述の貸借対照表及び収支報告書は、大臣が内閣へ提出し、官報で公布しなければならない。

第14章 労働監督官

第139条 労働監督官には職務執行に当たり次の権限を与える。
(1)業務時間中に事業所、使用者の事務所もしくは労働者の就業場所に立ち入り、本法を執行するため労働条件及び雇用状況を検査、調査し、雇用並びに賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当もしくは休日時間外勤務手当の支給または労働者名簿を複写し、労働安全に関し分析するための材料もしくは製品を収集すること
(2)質問状を出すこと、使用者、労働者または関係者を喚問すること、または調査に必要な書類もしくは物品を提出させること。
(3)使用者または労働者に、本法の規定に適正に従うようよう文書で命令すること。

第140条 第139条(1)に定める労働監督官の職務を執行するとき、労働監督官は使用者または関係者に身分証明書を提示しなければならない。使用者または関係者は労働監督官の職務執行に便宜を供与しなければならず、妨害してはならない。
② 労働監督官の身分証明書は大臣の定める様式によるものとする。

第141条 第139条(3)に基づく労働監督官の命令について、局長または局長が委任する者に対して、命令に定められた期間内に再審の申立ができる。局長または局長が委任した者は再審申立を審査し、申立を受けた日から30日以内に申立人に通知しなければならない。局長または局長が委任した者の裁定は最終とする。
② 第1項の再審請求は労働監督官の命令に基づく執行を猶予するものではない。ただし、局長もしくは局長から委任された者が別の命令を出した場合、または局長もしくは局長から委任された者が定める保証金を差入れた場合を除く。
③ 使用者もしくは労働者が、第139条(3)に基づく労働監督官の命令に従った場合、または局長もしくは局長から委任された者の裁定に第1項の期限内に従った場合、使用者もしくは労働者に対する刑事告訴は中止される。

第142条 事業所、使用者の事務所もしくは労働者の就業場所を本法に基づき調査するに当たり、局長または局長が委任した者は、大臣の任命する医師、相談員および専門家を立ち入らせ、労働監督官に対し意見を述べさせるか助言させることができる。
② 使用者もしくは関係者は、第1項に定める医師、相談員および専門家の職務執行に対し便宜を供与しなければならず、妨害してはならない。

第15章 送達

第143条 本法に基づく局長もしくは労働監督官の命令または文書は、配達証明付き書留郵便で送付するか、または労働監督官が自身もしくは担当官により、使用者の住所、居所もしくは事務所に就業時間中に持参することにより手交する。使用者が住所、居所もしくは事務所に不在の場合または使用者が通知の受取りを拒否した場合、使用者の住居または事務所であることが明確であれば、そこに居住する、もしくは就労する成人に手交するものとする。以上の方法を履行した場合、使用者は、局長もしくは労働監督宮の命令または文書を受取ったものとみなす。
② 第1項に定める方法により送達できない場合は、局長もしくは労働監督官の
命令または文書を、使用者の事務所、労働者の就業場所または使用者の住所若しくは居所の容易に見られる場所に掲示するものとする。以上の方法により送達し15日以上経過した場合、使用者は、局長もしくは労働監督官の命令または文書を受取ったものとみなす。

第16章 罰則

第144条  以下の各条項に違反したか怠った使用者は6か月以下の懲役もしくは10万バーツ以下の罰金または併科する。

(1)第10条、第24条、第25条、第26条、第37条、第38条、第39条、第39/1条、第40条、第42条、第43条、第46条、第47条、第48条、第51条、第61条、第62条、第63条、第64条、第67条、第70条、第71条、第72条、第76条、第90条第1項、第118条第1項、第118/1条第2項
(2)第120条、第121条、122条の事前通告に代わる特別解雇補償金または特別解雇補償金を支払わない。
(3)第22条に基づく諸省令の年齢に関係ない労働者保護に関する条項で、省令で定めた場所または作業に省令で定めた年齢未満の者を使用した、または18歳未満の者の使用を禁止する作業、場所で18歳未満の者を働かせた場合、または、第95条に基づく省令で定めた年齢未満の者を就業させた場合。
② 使用者が第37条、第38条、第39条、第39/1条、第42条、第47条、第48条、第49条、第50条の規定に違反し、または履行しないため、労働者の心身に障害を起こし、または死亡したときには、1年以下の懲役もしくは20万バーツ以下の罰金または併科する。

第144/1条 事業者が第11/1条の定めを怠った場合、10万バーツ以下の罰金に処する。

第145条 第23条の定めを怠った使用者は5千バーツ以下の罰金に処する。

第146条 第15条、第27条、第28条、第29条、第30条第1項、第45条、第53条、第54条、第56条、第57条、第58条、第59条、第65条、第66条、第73条、第74条、第75条第1項、第77条、第99条、第108条、第111条、第112条、第113条、第114条、第115条、第117条の規定を履行しない使用者、または、第120条もしくは第121条第1項もしくは第139条(2)もしくは(3)に定める事前通知を怠った使用者は2万バーツ以下の罰金に処する。

第147条 第16条の規定に違反した者は、2万バーツ以下の罰金に処する。

第148条 第31条の規定に違反した使用者は、1年以下の懲役もしくは20万バーツ以下の罰金または併科する。

第148/1条 使用者が第44条に違反した場合、または第22条に基づく省令で、年齢に関係する部分について省令で定める年齢に達していない者を働かせた場合、当該労働者1人当たり40万バーツから80万バーツの罰金もしくは2年以下の懲役、または併科する。

第148/2条 使用者が第49条もしくは第50条に違反した場合、または第22条に基づく省令で、職種、場所により18歳未満の者を働かせることを禁じた部分に違反した場合、当該労働者1人当たり40万バーツから80万バーツ以下の罰金、もしくは4年以下の懲役、または併科する。

第149条 第52条、第55条、第75条第2項、第90条第2項、第110条または第116条の規定を履行しない使用者は、1万バーツ以下の罰金に処する。

第150条 賃金委員会、労働福祉委員会およびこれらの小委員会または委員会、小委員会が委任した者の文書に従い、便宜を供与しない、召喚に応じない、書類、物品を提出しない者、または第142条に基づく労働監督官、医師、相談員、専門家に対し便宜を供与しない者は、1ヶ月以下の懲役もしくは2千バーツ以下の罰金、または併科する。

第151条  賃金委員会、労働福祉委員会、これらの小委員会、もしくはこれらの小委員会が委任した者の職務執行を妨害した者、または第142条に基づく労働監督官、医師、相談員、専門家の職務執行を妨害した者は、1年以下の懲役もしくは2万バーツ以下の罰金または併科する。
② 第120条に基づく労働福祉委員会の命令、または第124条に基づく労働監督官の命令を履行しない者は1年以下の懲役もしくは2万バーツ以下の罰金または併科する。

第152条  第96条の規定を怠った使用者は5万バーツ以下の罰金に処する。

第153条  第98条の規定を怠った使用者は、1ヶ月以下の懲役もしくは2千バーツ以下の罰金または併科する。

第154条  削除

第155条  削除

第155/1条 第115/1条に定める雇用状況、労働状況を記載した報告書を提出しない使用者、および労働監督官の警告書を受取りながら、警告書を受取った日から15日以内に報告しない使用者は2万バーツ以下の罰金に処する。

第156条 第130条に定める期間内に報告書を提出しないまたは変更を文書により報告しない使用者及び第130条に定める届出書の提出若しくは変更の文書による報告につき虚偽の記載をした使用者は、6ヶ月以下の懲役もしくは1万バーツ以下の罰金または併科する。

第157条 使用者の事業上の秘密を、この法律に基づく職務執行の課程で知り、その事実を公開した担当官は、1ヶ月以下の懲役もしくは2千バーツ以下の罰金または併科する。ただし、本法および労働者の保護、労働関係、調査、訴訟のための職務執行における公開はその限りではない。

第158条 違反者が法人の場合、当該法人の違反が、誰かの命令もしくは行為によって生じたか、または、役員その他の当該法人の経営責任者が指示しなかったか怠慢によって生じたときは、当該者も当該違反行為に関し処罰される。

第159条 第157条を除く本法にかかるすべての違反は、次の担当官が、違反者は懲役刑に相当しない、または起訴に相当しないと判断する場合、当該担当官が過怠金により処罰することができる。
(1)バンコク都内で発生した違反については、局長または局長が委任する者
(2)他の県で発生した違反については、当該県の知事または知事が委任する者
② 調査の結果、調査担当官が本法に違反した者を発見し、その者が処罰されることを承諾したとき、調査担当官は、その者が処罰されることを承諾した日から7日以内に、事案を場合に応じ局長または知事に送付しなければならない。
③ 違反者が、科された額の過怠金を30日以内に支払ったとき、刑事訴訟法に従い、その事件は終結したものとみなす。
④ 違反者が処罰を承諾しないとき、または承諾したが第3項に定める期間内に罰金を納付しないときは、提訴しなければならない。

経過規定

第160条 本法第44条の規定は、本法施行前に、1972年3月16日付革命団布告第103号に基づき使用者が雇用している満13歳以上15歳末満の年少者には適用しない。

第161条 本法施行前に、1972年3月16日付革命団布告第103号に基づき使用者が雇用した18歳末満の年少労働者については、使用者は本法施行の日から15日以内に届出なければならない。

第162条 本法施行の日に既存の賃金委員会、小委員会および作業部会は、任期満了まで任務を縦けるものとする。

第163条 本法第13章労働者福祉基金の規定による労働者福祉基金の積立金及び負担金の徴収は、勅令で定める時から開始するものとする。

第164条 本法施行日より前に申立てられ、まだ結論が出ていない申し立て、または、裁判所において審理中の訴訟につては、確定まで、1972年3月16日付革命団布告第103号に基づき公布された内務省告示または労働社会福祉省告示の規定を適用する。

第165条 本法施行日より前に1972年3月16日付革命団布告第103号に基づき使用者から賃金その他の金銭を受取る権利のある者は、引き続き受取る権利かある。

第166条 1972年3月16日付革命団布告第103号に基づき公布されたすべての告示命令は、本法に抵触しなければ、本法に基づく省令、規則及び告示が公布されるまで、引き続き効力を有するものとする。

手数料率

証拠報告の証明または検査を行う者の登録料  年額5千バーツ

 

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