就業規則作成上の留意事項について

就業規則作成上の留意事項について

2020年4月20日 元田時男

1.はじめに
就業規則は企業が操業開始前には作成しなければならない重要書類である。労働者保護法では第108条において労働者が10名以上になったら、タイ語で作成しなければならないと定めているが、10名にならなくても、労使お互いに良好な関係を保ち誤解が生じないように配慮するためには、作成したほうがよい。以前は労働事務所に届け、労働官は法に抵触する部分は添削する必要があったが、2017年の改正では、その必要はなくなった。ただし、紛争が起きてから規則を修正するのでは満足な労務管理はできない。矢張り労働法に強い弁護士等に見てもらうのが望ましい。

2.就業規則の法定記載事項
労働者保護法第108条では以下は必ず記載しなければならない。
(1)労働日、通常労働時間および休憩時間
(2)休日および休日に関する規則
(3)時間外勤務及び休日勤務に関する規則              
(4)賃金、時間外勤務手当、休日勤務手当および休日時間外勤務手当の支給日及び支給場所
(5)休暇日及び休暇に関する規則
(6)規律および罰則
(7)苦情申立て
(8)解雇、解雇補償金および特別解雇補償金
②使用者は、労働者が10人以上になった日から15日以内に就業規則を公示し、就業規則の写しを事業所または事務所に常時備え付けておかなければならない。
③使用者は、就業規則を就業場所に公開、公示し、働者が容易に閲覧できるようにしなければならない。

上記の第109条 第108条(7)に定める苦情申立てには、少なくとも次の項目を含めなければならない。
(1)苦情申立ての範囲および意義
(2)苦情申立ての手続き
(3)苦情の調査および審議
(4)苦情の解決方法
(5)苦情申立て人及び関係者の保護(申立てたことを理由に解雇しないことをうたっておく必要がある)

3.就業規則の用語は法の用語に合わせる
規則は労働者保護法の重要な条項を盛り込まなければならないので、規則上のタイ語用語は、法律の用語と同じ用語を使用していないと齟齬をきたすことになるので注意したい。特に法第5条では用語の定義を規定しているので、「労働日」、「休暇」、「時間外労働」などは法と同じ用語を使用することである。規則の作成は、日本語で先に作ってタイ語に訳すのが通常であるので、タイ語に訳されたものをもう一度チェックすることが肝要である。