icon-anchor 「時間外労働は原則労働者の事前承諾を要する」
Q:タイで労働者に時間外労働をさせるとの留意点をご教示ください。

A: タイでは、超過勤務手当てが欲しいので、労働者側から時間外労働を要求されることがありますが、労働者側の要求にそのまま従っていいのかどうか、この際時間外労働の原則について検討しておきましょう。
 先ず、時間外労働の定義ですが、労働者保護法(以下法)5条において「時間外労働とは通常労働時間外の労働」と定義されています。それでは「通常労働時間」とは何かでありますが、法23条1項において「使用者は1日の始業、終業の時刻を定めて通常労働時間を公示しなければならない」とあり、使用者が定める時間であります。ただし、同条で1日8時間、1週48時間を超えてはならないとあります(健康に有害な業務は1日7時間、1週42時間)。また、仕事の性質により始業、終業の時間が特定できない場合は労使合意で定めることもできます。
 従って、使用者が8時始業、1時間休憩、17時終業と定めておれば、通常労働時間は8時間であり、17時以降の労働は時間外労働となります。また、8時始業、1時間休憩、16時終業と定めておれば、通常労働時間は7時間でありますが、16時以降の労働は上記の定義により矢張り時間外労働となることに注意しなければなりません。
 次に、必要な場合、いつでも時間外労働を命ずることができるかでありますが、法24条1項、25条3項では、「事前に、その都度労働者から承諾を得ない限り、労働日に時間外労働、休日労働をさせてはならない」と規定されています。
これに違反した場合、法144条により6ヶ月以下の懲役もしくは10万バーツ以下の罰金、または併科です。
この主旨は労働者の健康、生活を守るためには原則禁止と理解すべきでしょう。例外として「事前にその都度」承諾を得た場合は可能としています。(31条では健康、身体に有害、危険な業務は時間外、休日労働を禁止)
 日本の労働基準法でも、32条において週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならないと原則禁止であります。ただし、36条において、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者との書面による協定をして、時間外労働(休日労働も)をさせることができるという例外規定を設けています。これを労働用語では「三六(サブロク)協定」と呼んでいます。36条に関することだからですね。
 タイと日本では規定は異なりますが、時間外労働は労働者の事前承諾が必要であることは同様ですね。タイの場合は「事前にその都度の承諾」であり、日本の場合は三六協定有効期間中は可能となるのであります。