ニュース 15号(190625)

SME MULTI CONSULTANT ニュース 15号(190625)

タイの法令の新しい話題を簡潔にまとめ、月一回のペースで送信いたします。(西暦 = 仏暦 − 543)

1.速報!工場法の主な改正点比較:

 

タイの工場法(旧法)は仏暦2535年の施行から27年の歳月を経て、その間にタイ国内で大きく発展した工業化に対し、工場行政の過剰な厳格さとスピードの遅さが問題視されるようになってきました。そこで軍政プラユット政権(当時)は工場行政の「規制緩和・簡素化・効率化」と「工業省から区役所・特別行政区役所への権限委譲」という二本柱で工場法の部分改正を行いました。本項では、190430付け官報で公示され、180日後の191027に施行されることが確実となっている仏暦2652年工場法第2号(=規制緩和・簡素化・効率化)と第3号(=権限委譲)の主なポイントについて速報します。

  • 第2号の第4条(旧法第5条)
    工場法適用対象となる工場の規模が「改正前:5馬力以上の設備機械または7人以上の作業員」から「改正後:50馬力以上の設備機械または50人以上の作業員」に。

  • 第2号の第8条(旧法第9条)
    「改正前:工場操業監査の権限を工業省の監査官に限定」から「改正後:それにプラスで民間の公認監査士制度を発足、工場操業監査の代行権限や各種届出書の監査代行権限を付与に。

  • 第2号の第10条(旧法第14条、第15条)
    工場許可証の有効期間が「改正前: 5年で更新」から「改正後:更新制が廃止(その工場が存続する限り有効)」に。

  • 第2号の第11条(旧法第17条)
    「改正後:設備機械が50馬力未満または作業員が50人未満になっても、その工場が存続する限り工場法の適用対象」に。

  • 第2号の第11条(旧法第18条(1),(2))
    工場拡張許可申請を要する範囲が「改正前:設備機械100馬力以下の工場において、50%以上の出力増強の場合。100馬力を超える工場において、50馬力以上の出力増強の場合。または基礎のひとつへの荷重が500kg以上増加する場合」から「改正後:下記ご参照」に。

改正後:

設備機械100馬力以下の工場において、50馬力以上の出力増強の場合。
設備機械100馬力を超え500馬力以下の工場において、100馬力以上の出力増強の場合。
設備機械500馬力を超え1,000馬力以下の工場において、200馬力以上の出力増強の場合。
設備機械1,000馬力を超え2,000馬力以下の工場において、300馬力以上の出力増強の場合。
設備機械2,000馬力を超え3,000馬力以下の工場において、400馬力以上の出力増強の場合。
設備機械3,000馬力を超える工場において、500馬力以上の出力増強の場合。
隣接地への拡張の場合、元の工場操業許可証の一部とみなして一本化。

  • 第2号の第12条(旧法第18条/1)
    工場拡張許可申請の免除条件が「改正後:排水・排気・廃棄物の処理機能向上の場合、近隣住民への迷惑の防止や軽減を目的とする場合、動力源となる機械の更新による効率化または環境対策の場合、動力源となる機械のエネルギー効率化の場合」に。

  • 第2号の第13条(旧法第19条)
    「改正後:工場の規模縮小または工場拡張申請が免除される程度の工場拡張、または2,000平米以下の工場における500平米以上の増築、または2,000平米を超える工場における1,000平米以上の増築の場合、発生日から30日以内に届出を要する。」に。

  • 第2号の第14条(旧法第19条/1)
    「改正後:従来の工場で操業していた事業項目に加え、関連事業項目を追加する場合、発生日の15日以上事前に届出を要する」に。

  • 第2号の第15条(旧法第21条)
    ある事業者が工場操業許可証を交付された後で、別の事業者に対して工場操業許可証を譲渡した場合、譲受した事業者による許可申請の期限が「改正前:許可証譲渡日・工場リース契約日・工場賃貸契約日または工場売買契約日から7日以内」から「改正後:30日以内」に。

  • 第2号の第17条(旧法第28条)
    工場操業を終了する場合の届出の期限が「改正前:最終操業日の15日以上事前」から「改正後:最終操業日の15日以上事前」に。

  • 第2号の第24条(旧法許可料一覧表)
    「改正前:左」から「改正後:右」に。

申請書 100バーツ → 100バーツ
操業許可証・拡張許可証 100,000バーツ → 300,000バーツ
許可証譲渡証 なし → 5,000バーツ
許可証再発行 1,000バーツ → 5,000バーツ
許可更新 100,000バーツ → 廃止
拡張許可申請免除の届出 なし → 15,000バーツ
操業料(年間) 30,000バーツ → 100,000バーツ

  • 第3号の第4条(旧法第11条/1)
    「改正後:工場法による第1種工場と第2種工場に限り、区役所・特別行政区役所(県庁を含まない)に対し、工場法の所管事務を委任し、工業省工場局がこれを監督する」に。
    (ご注意:タイの工場法では小さい順に第1種工場、第2種工場、第3種工場と規定されています)

 

以上です(上記は作成した時点でのご参考情報です。実際の運用の際は再度ご確認のほどお願いいたします。なお、西暦 = 仏暦 – 543です)


御社のご盛業を!日タイ経済産業連携と両国の永続的な友好関係を祈念して!

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川島和士 (KAZUSHI KAWASHIMA)