ニュース 32号 (200429)

SME MULTI CONSULTANT ニュース32号(200429)

タイの法令の新しい話題を簡潔にまとめ、月一回のペースで送信いたします。(西暦 = 仏暦 − 543)

1.タイ政府がコロナ対策で非常事態宣言、200403から夜間外出禁止(200424~27更新分):

200325付けでプラユット首相が宣言し、同日付け官報で公示され、200326から200430の期間施行されている「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第5条に基づく)タイ全国を対象とする非常事態宣言」と、「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第9条に基づく)施行規則第1号」については SME MULTI CONSULTANTニュース22号をご参照下さい。200312付け「内閣府通達第76/2563号」により設立された「ศูนย์บริหารสถานการณ์การแพร่ระบาดของโรคติดเชื้อไวรัสโคโรนา 2019 (โควิด – 19): Center for COVID-19 Situation Administration、タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)は、200325付け官報で公示された「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令に基づく)特別執行機関設立にかかる総理大臣通達 第2563/5号」により、そのまま新型コロナウィルス(COVID-19)の非常事態に対応しています。CCSAでは、200325から内閣府広報局テレビ(NBC)、マスコミ公社テレビ(MCOT)やラジオの生放送だけでなく、直管のフェイスブックやユーチューブ等のビデオオンデマンドも活用して1回1時間程度の直接情報公開を行い、毎日2~3回更新しています。タイ語ですが一部は英語でも広報されています。

例: 200427タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)政策説明・進捗報告(内閣府広報局ユーチューブ)https://www.youtube.com/watch?v=QO6Xz1AZmwg&t=2604s

日々の政策説明・進捗報告のポイントは下記のとおりです(200423までの分は SME MULTI CONSULTANTニュース31号をご参照下さい)。

200424 タウィーシンCCSA報道官(精神科医師):タイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は感染者2,854人(うち新規感染15人)、回復2,490人、治療中314人、死亡50人。2,490人が退院できたのは、医療従事者の尽力の賜物だ。インドネシアではイスラム教の礼拝をモスクに行かず自宅でと推奨。ウクライナは都市封鎖を200511まで延長。英国では各種規制を年内一杯またはワクチンができるまでの期間とし、都市封鎖も200508まで延長。マレーシアではラマダン月間中(200523まで)を自宅待機期間に。各国の動きを見れば、タイがどうすべきか自明だ。(タイは当初からだったが)ドイツでは今頃になって全国的にマスク着用義務付けとなった。帰国タイ人の受入れ(14日間隔離観察)は本日、インドから171人、日本から31人、明日、イランから21人、インドから171人だ。まだあと14か国からの帰国希望タイ人8千人余りが順番待ち。昨夜の夜間外出禁止令では違法外出、感染危険行為ともに減少。特に感染危険行為の摘発数が39件と最低になったことは防疫効果が上がるので喜ばしい。200403~200423の摘発数は男性1,352人、女性620人。40歳までは男性の比率が高く、41歳以上では女性の比率が高い。記者質問「諸外国に比べて低い感染拡大率を実現できたのはなぜか」。報道官「防疫と医療の情報公開を徹底的に毎日やり続けた。その情報は国民が参考にして実践してきた。さらに政策にもフィードバックされてきた。これからは究極の90%~100%の参加を求める。成果の受益者はタイ国民全員となる」。記者質問「感染拡大が落ち着き、行動規制を緩和する動きが出てきた。これは各県ごとの対応か」。報道官「首相を代表とするCCSAでは、民間経済諮問委員会を結成し、業種ごとの緩和策を検討している。ウィルスはヒトに付いて拡がるのでヒトの行動を規制してきたが、これにより経済的な損失が発生している。ここ数日は落ち着いているからと油断すれば、近隣国の例のようにたちまち感染爆発するだろう。タイでは今まで2~3千人が治療を受けているが、一人あたりコストは100万バーツにもなる。今でさえ国債を発行して借金で賄おうというのに、この先、第二波・第三波の感染拡大が国内で発生したらタイは経済破綻してしまう。経済活動を犠牲にしてでも人命を守っていくのが根本理念だ。医療崩壊した国では助ける患者と見捨てる患者の仕分けが行われている。同じ医療従事者として心が引き裂かれる思いだ。そんな惨いことをタイで発生させてはならない。行動規制の緩和は慎重に進める」。記者質問「PCR検査は無料なのか」。報道官「発熱・発熱歴+右のどれか一つ(咳、鼻水、咽喉痛、呼吸困難、肺炎)+行動履歴(感染地域滞在歴、感染リスク産業従事、密集環境生活、感染者との接触)の条件が揃えば無料で検査を受けられる」。記者質問「寺院などで行われている食料や物資の無償配布活動の管理はどうか」。報道官「助け合いはタイ人の美徳である。BKKHELPのホームページでは、食料・物資無償配布活動の行動基準と感染防止策がマニュアル化されているのでご参考に」。記者質問「市民ボランティアに対する支援策は」。報道官「104万人の市民ボランティアはWHOからも高く評価されている。政府からの支援策は、感染者の無料治療・食事給付・葬儀費負担など。民間からの生命保険証券寄付や資金援助も多数、感謝申し上げる」。タイ式の良い価値観を拡散していこう。

200425 タウィーシンCCSA報道官(精神科医師):タイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は感染者2,907人(うち新規感染53人)、回復2,547人、治療中309人、死亡51人。新規感染者が53人に増加した内訳は、タイ国内11人、ソンクラー国境の入国管理局隔離施設の外国人不法労働者42人。この数字は物語る。まず200306施行の「外国の危険伝染病発生地にかかる厚生省告示 新型コロナウィルス(COVID-19)第1号」では韓国、中国(香港•マカオ含む)、イタリア、イランの4ヶ国が指定されたが、次いで200423施行の「外国の危険伝染病発生地にかかる厚生省告示 新型コロナウィルス(COVID-19)第2号」によりマレーシア、カンボジア、ラオス、インドネシア、ミャンマーの5ヶ国が指定されていたことである。ソンクラーの入管隔離施設に厚生省の医療チームを派遣したところ、感染者は全員元気である。たとえ不法就労の外国人であっても人道上の丁寧な措置を講じており、地元の皆さんのご協力に感謝申し上げる。42人の国籍はミャンマー34人、ベトナム3人、マレーシア2人、イエメン1人、カンボジア1人、インド1人。全世界の累積感染者283万人に対し、死者数19.7万人なので感染者死亡率7%に達しているのは恐るべきこと。帰国タイ人の受入れ(14日間隔離観察)は本日、イランから21人、明日、オーストラリアから212人だ。トラック輸送の国境での防疫措置として、陸路国境を接する相互国間で、相手国の管理区域に納品し、7時間以内に帰国する手法を確立、運用を開始した。夜間外出禁止令では3週間累計の感染危険行為の摘発実績が40歳までは男性の比率が高いのに対し、41歳以上で女性の方が高い原因は賭博行為である。記者質問「COVID-19ウィルス感染に対するタバコの害は」。報道官「ある。まず、複数人で喫煙すれば煙と一緒にウィルスも移る可能性がある、特に電子タバコ。煙でコーティングされた肺は酸素交換能力が低下する上、ウィルスも付着しやすい」。記者質問「今後の経済活動規制緩和はどの業種か」。報道官「全般的に言うと、これまでの情報の蓄積、その分析、さらに業種ごとの特徴を踏まえて個別に、段階的に、地域的に適用していく。密閉・密集型の業種には特に慎重に対応する。業界団体なども参加して決める。新しい経済活動と生活スタイルのニューノーマルに繋がっていくだろう」。

200425 プラユット首相(CCSA代表):イスラム教のラマダン月間において、イスラム教徒が「イスラム指導者による規律とタイ国政府・都県の行政の行動基準を遵守するようお願いする。

200426 タウィーシンCCSA報道官(精神科医師):タイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は感染者2,922人(うち新規感染15人)、回復2,594人、治療中277人、死亡51人。シンガポールの累積感染者が12,693人で世界26位、一日で612人増加したのは、外国人労働者の密集生活環境による感染爆発だ。昨日のタイの外国人不法就労者への対応は、シンガポールの件から学んでいる。200326の非常事態宣言からちょうど一ヶ月、政府民間国民全体が前線の医療従事者を支えて新規感染者数の抑え込みに成功しつつある。正しい情報を共有し、ワクチンができるまで頑張っていこう。

200427 タウィーシンCCSA報道官(精神科医師):タイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は感染者2,931人(うち新規感染9人)、回復2,609人、治療中270人、死亡52人。新規感染者数で初の一ケタ。治療中も270人まで減少した。医療機関に多少余裕が出てきている。全世界の死者数が20万人を突破した。帰国タイ人の空路受入れ(14日間隔離観察)は本日、日本から35人、オランダから25人、ニュージーランドから168人、明日、インドから200人、スペインから12人だ。一方、陸路では200418~200426の合計で4,724人が帰国。空路陸路とも、帰国タイ人全員を隔離観察している。隔離施設は5,468室中2,132室が稼働中。200204からの累積隔離人数は3,379人(うち1,229人は既に終了)。昨夜の夜間外出禁止令では違法外出、感染危険行為ともに減少したのは喜ばしい。今朝のCCSA会議で、対策程度別の感染拡大予測比較したところ、現状は良好との評価を得た。国家安全保障会議の調べで、非常事態宣言による効果は「CCSAが非常事態宣言に基づき迅速、一元的な対策により日々の新規感染者数を抑え込むことに成功した」であった。また、国民4万人以上のアンケートで「非常事態宣言の継続を指示する」が7割を超えた。これを受けてCCSA会議は「非常事態宣言を5月31日まで延長する」と決議した(200428の閣議で正式決定)。継続される四大方針は、①(陸海空路の)国境の封鎖、②(22時~4時の)夜間外出禁止、③県境を越える人の移動制限、④密閉・密集型行事の自粛となった。規制緩和の道筋は、ウィルス感染防止のための衛生基準が優先される、また在宅勤務を50%は残す。緩和の手法は、生活上の不可欠度の高い業種につきマスク着用義務付けで緩和し、社会的間隔保持、体温検査、アルコール・消毒液の使用、場所と業種に合った人数制限、そしてできれば行動追跡アプリの携帯。同時並行的にハイリスク者の検査を急ぎ、防疫管理技術(監視カメラ等)の導入を促進。半月一回の評価を行い、合格なら規制緩和を進め、不合格なら規制を強化していく。なお、個別業種ごとの具体的な基準策定は、本日午後の民間経済諮問委員会を経て明日の閣議に提出される予定である。記者質問「5月の祝祭日の扱いはどうなる」。報道官「明日の閣議で決まるだろう」。記者質問「200504からショッピングセンター、理髪店、小規模店舗、屋外店舗が解禁となる情報について」。報道官「現時点でまだそこまで個別具体的に決まっていない。200504スタートという日付の話もまだ出ていない。明日の閣議で決まるだろう」。

200428 プラユット首相(CCSA代表):非常事態宣言(22:00-04:00夜間外出禁止を含む)の一ヶ月延長を発令(詳細は次号)

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*当事務所の対策状況:
コロナウィルス(COVID-19)対策のため小社では当面の期間、下記のとおり万全対策を行っております。お客様各位のご協力を賜り、まことにありがとうございます。
お客様対応はテレビ会議(Web会議)・eメール・電話に「全てを切り替え済み」です(対面式の会議は当面の間、自粛させていただきます)。
しばらくご不便をおかけすることなり、誠に恐縮に存じますが、一致協力してこの難関を突破して参りましょう。

*お知らせ:
当事務所では在タイ日系企業向けに、社会保険(失業またはCOVID-19による一時帰休)補償給付申請の相談/支援業務を日本語とタイ語で行っております。

以上です(上記は作成した時点でのご参考情報です。実際の運用の際は再度ご確認のほどお願いいたします。なお、西暦 = 仏暦 – 543です)


御社のご盛業を!日タイ経済産業連携と両国の永続的な友好関係を祈念して!

SME MULTI CONSULTANT CO., LTD.

川島和士 (KAZUSHI KAWASHIMA)