ニュース47号(200814)

SME MULTI CONSULTANT ニュース47号(200814

SME MULTI CONSULTANT ニュース47号(200814)タイ法令の新しい話題を簡潔にまとめ、月一回送信します。バックナンバー http://www.thaibiz.jp/?page_id=2551

タイ政府がコロナ対策で非常事態宣言を200831まで延長:
「タイ全国を対象とする非常事態宣言の延長(4回目)にかかる告示200730官報公示、200801施行)」のポイント:

200326に施行した非常事態宣言は3回の延長により200731までとなっており、この間、タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)が各種対策措置を進めてきたことによりタイ国内の経済活動は段階的な回復基調にある。引き続き、感染拡大防止措置とニューノーマル(感染対策/環境にやさしい生活様式)対応措置を採っているものの、多くの国民がこれを軽視し、公共の場所や娯楽施設において、社会的間隔を保持せず密集していることにより、今後のクラスタ発生や広域感染が懸念される。さらに8月の帰国希望をタイ政府に届出たタイ人が1万人を超え、さらに二国間協定、ビジネスや教育のため入国を希望する外国人も増えており、世界各国で感染爆発が発生している中で、ウィルスのタイへの侵入防止と感染拡大の再発防止が重大な課題となっている。したがって、経済活動規制をより緩和しつつ、国民の健康と生命の安全を守るため、政府が統制のとれた迅速な政策を効率的に実行するためには、仏暦2558年伝染病法単独ではなく、引き続き非常事態宣言が必要と判断した。仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第5条に基づき、200801から200831まで非常事態宣言を再延長する。

200729      閣議後の記者会見:

ナルモン内閣報道官がプラユット首相談話を交えて発表。

*コロナ復興経済対策ではニューノーマル(感染対策/環境にやさしい生活様式)対応が前提となり、特に観光地の廃棄物/環境汚染問題防止のため観光再開に先立つ対策が必要だ。

*投資誘致外交ではタイの労働力が注目されていることに配慮する。

*200724にチェンマイ県メーテーン市をメイン会場に、王室・天然資源環境省・内務省主催で「全国一斉植樹・森林火災防止大会(天然資源環境省実施分だけでも苗木227,150本を北部・東北部6県で植樹)」を実施したことに関連し、(仏暦2558年フォレストパーク法第2号による)指定有用樹木58種類(チーク、ゴールデンシャワー、パラゴム、竹、ドリアン、マンゴー、タマリンドなど)の植樹を奨励中、家族の宝として皆で木を育てよう。

*野生象と農家を両方とも救済するプロジェクトが始動(予算370.6百万バーツ)。

*ボウォーン学校のビデオ取材を例にとり「国家・宗教・国王」の基本理念の教育を重視。

*次期のタイ中央銀行総裁としてセタプット シッティワーナルプット氏(米国留学組の経済産業人)を指名した(ウィラタイ現総裁は200930で任期満了)。

*通常国会は会期(200522~200918)の延長を決定し、上下院でコロナ対策予算審議を継続する。

*仏暦2562年漁業労働者保護法による191118~200531の漁業労働条件の国際標準化措置結果報告を承認(仏暦2563~64年度の沿岸漁船12,202隻、遠洋漁船6隻、遠洋漁獲輸送船9隻に操業許可証を発給。9,575隻に漁船操業許可更新証を発給。外国人漁業従事者34,590人に2年間の労働許可証を追加発給。外国人乗組員92,233人に健康診断実施。漁業関係13,086事業所への労働保護指導実施。入出港センターでの漁船立入り捜査37,054件、うち9隻の違反摘発。洋上での漁船立入り捜査、うち2隻の違反摘発。さらに人身売買罪の摘発3事件。外国出稼ぎタイ人漁業労働者3人を救援。外国人漁業労働者向け社会保険給付2,068,238バーツ、同労災保険給付14,878,996バーツ。外国人漁業労働者70,867人の健康保険加入。人身売買被害外国人5人を保護。さらにEU、ILOと共同でShip to Shore Rights Projectを実施等)。

200804      閣議後の記者会見:

ラチャダー内閣副報道官がプラユット首相談話を交えて発表。

*憲法改正論議については、議会の憲法改正臨時委員会の審議中であり、内閣も憲法改正に協力していく。

*若者世代から政治的意見を取り込むとともに、政府の取組みを若者世代に紹介する機会を各省庁で整備して今月中にスタートし、国家戦略レベルの意見交換会を重ねて隙間を埋めていく。議題の例としては、国内産業、貿易、ニュービジネス(電子商取引、ソフトウエア)、EEC(東部経済回廊)、水源確保、地球温暖化、高齢化社会、スマートファーマー(農業の技術革新)、ニューノーマル(感染対策/環境にやさしい生活様式)、司法制度などである。国家経済社会開発委員会事務局を推進役とし、各省庁が連携する。

*サムイ島連絡船沈没事故の捜索中。台風接近中なのに港湾局の欠航勧告を無視した。救命胴衣を着用していなかった乗客、船内に閉じ込められた乗客がいた。

*ミャンマー、ラオス、カンボジアからの出稼ぎ労働者受入れ態勢整備中。

*外国人労働管理法の関連規則を承認。

*アジア開発銀行(COVID-19 Active Response and Expenditure Support Program)からの借入れを承認。タイ政府代表は財務大臣。1,500百万米ドル(500百万米ドルは10年返済/1,000百万米ドルは5年返済)をロンドン銀行間レート(6ヶ月物)+差額年0.5%、融資手数料年0.15%で借入れ。

200807      タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)定例発表/記者会見:

タウィーシンCCSA報道官が発表。

タイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は累積感染者3,345人(うち新規感染15人:全員タイ人でエジプトから4人、サウジアラビアから10人、日本から1人)、回復3,148人、治療中139人、死亡58人。累積感染者内訳は、首都圏1,815人、中部579人、南部744人、北部95人、東北部112人。全世界累積感染者数1925万人(タイは3,345人で112位)、死者数71.7万人。世界の半数を米国、ブラジル、インドが占める。国連のキーター駐タイ代表が国連のウェブサイトでタイのCOVID-19対策を称賛、成功のカギを「①タイ政府の感染拡大防止策、②タイのボランティアの献身的活躍、③タイ国民の忍耐力」であるとしている。各種施設の出入り行動追跡記録アプリである「タイチャナ(タイの勝ち)」では入出店記録した利用者4080万人に、店舗登録した事業者28.2万店舗に達した。200403~200806の入国者隔離実績も72,723人に達し、うち408人の陽性者を入院(うち269人は完治して帰宅)させた。引き続き、タイ人・外国人を問わず、入国時に全員が14日間の隔離検疫対象となる。タイ入国を希望する外国人向けASQ(Alternative State Quarantine: ホテルでの隔離検疫)対応ホテルの登録情報とサービス情報は、タイ厚生省健康サービス支援局COVID-19緊急対応センターのウェブサイトで公開している。

————————————–

*タイ政府のコロナ対策概要と日本人ビジネスマンのタイ渡航(200814更新):

2020年1月以降の新型コロナウィルス(COVID-19)危機の中、タイでは首相・主要閣僚・公衆衛生学専門家と各省庁局長クラスが中心となり、200312付け「内閣府通達第76/2563号」により設立された「ศูนย์บริหารสถานการณ์การแพร่ระบาดของโรคติดเชื้อไวรัสโคโรนา 2019 (โควิด – 19): Center for COVID-19 Situation Administration、タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)により、人口10万人あたり感染者0.2人の時点で、200326非常事態宣言を発令して40以上の法律を統合運用し、徹底的な対策(防疫・感染防止・治療)に着手しました。タイ政府は通常予算の組み替えに加えて1兆バーツのCOVID-19対策国債を発行し、その6割をCOVID-19直接対策(防疫・感染防止・治療)に、4割を経済復興に充てて各種プロジェクトを推進中です。別途、タイ中央銀行も9千億バーツの金融政策(5千億バーツの中小企業向け新規ソフトローン等+4千億バーツの金融機関安定策)を採っています。非常事態宣言(+夜間外出禁止令)が功を奏して感染爆発防止に成功した200503からは段階的に「国民の経済、社会、安全保障の負担を軽減するための規制緩和措置」を進めてきており、タイ国内では国内感染者ゼロ記録を更新し続け、7月上旬時点で第5期まで規制緩和が進み、順調なら追加の緩和(トラベルバブルの実施等)に進む計画も出されました。しかしながら、懸念される二次三次の感染拡大に対処していく予算上の余裕がないタイ政府は、外国人の入国につき苦肉の策で「経済復興に役立つ人材を優先的に入国させる」ため、第5期緩和でVIP外国人優遇枠を設定した直後、200710にラヨーンで発生した「感染エジプト軍パイロットの勝手な外出事件(翌日帰国)」などの事件が裏目に出てしまい、200714の閣議でVIP外国人枠は廃止され、外国人全員に14日間の隔離検疫が義務付けられました(ラヨーン県では200校以上が臨時休校、またホテルの予約キャンセルなど被害が拡がりましたが、幸い二次感染は発生しませんでした)。なお、現時点では入国規制措置(民間定期旅客便は飛行禁止中)により、1万人を超える日本人ビジネスマン(200703タイ外務省発表)のタイ入国に遅れが生じています。200814現在、日本発タイ行き特別便の渡航手続は非常に複雑で、「前提としてビジネスビザ等を取得の上、「バンコク到着後の隔離検疫措置(ASQ)対応ホテル(バンコクの39ホテルが4,690室を提供中)」を予約の上、タイ大使館領事部・領事館に「PCR検査陰性証明/COVID-19対応保険ほか関係書類一式」をeメール提示・登録し、OKがでたら指定特別便の航空券を予約し、eチケットをタイ大使館領事部・領事館に提示すると、eメールでCOE(入国保証書)が発行されて(またPCR検査して)、ようやく搭乗・・」という流れになっています。8月9月はおおむね週一便の特別便で日本人ビジネスマンを受け入れる体制(CCSA発表)です。

*当事務所の対策状況:

コロナウィルス(COVID-19)対策のため小社では当面の期間、下記のとおり万全対策を行っております。お客様各位のご協力を賜り、まことにありがとうございます。

お客様対応は「テレビ会議(Web会議)・eメール・電話・ビジネス宅配便のみ」とさせていただいております(対面式の会議は非常事態宣言解除までの期間、原則として自粛させていただきます)。

しばらくご不便をおかけすることとなり誠に恐縮に存じますが、一致協力してこの難関を突破して参りましょう。

以上です(上記は作成した時点でのご参考情報です。実際の運用の際は再度ご確認のほどお願いいたします。なお、西暦 = 仏暦 – 543です)

—————————————

御社のご盛業を!日タイ経済産業連携と両国の永続的な友好関係を祈念して!

SME MULTI CONSULTANT CO., LTD.

川島和士 (KAZUSHI KAWASHIMA)