ニュース48号(200908)

SME MULTI CONSULTANT ニュース48号(200908

タイ法令の新しい話題を簡潔にまとめてお伝えします。バックナンバーはhttp://www.thaibiz.jp/?page_id=2551

タイ政府がコロナ対策で非常事態宣言を200930まで延長:

「タイ全国を対象とする非常事態宣言の延長(5回目)にかかる告示200828官報公示、200901施行)」のポイント:

200326に施行した非常事態宣言は4回の延長により200831までとなっており、この間、タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)が学校教育、会議やセミナー、スポーツ競技の再開、公共交通の復旧などの各種緩和措置を段階的に進めてきたことによりタイ国内の経済社会活動は回復基調にある中、国民の感染への危機感欠如により感染対策が疎かとなっており、今後のクラスタ発生や広域感染が懸念される。また、タイ人と外国人の入国も増えており、世界各国で発生している感染爆発の中で、ウィルスのタイへの侵入防止と感染拡大の脅威にさらされている。したがって、経済活動規制緩和後の感染防止活動により国民の健康と生命の安全を守るため、政府が統制のとれた迅速な政策を効率的に実行するためには、引き続き非常事態宣言が必要と判断した。仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第5条に基づき、200901から200930まで非常事態宣言を再延長する。

200806      官報公示「閣僚の任命にかかる国王令」のポイント(カッコ内は訳者注):

ワチラロンコン国王陛下は、タイ国憲法第158条により、先に退任した閣僚数名の後任として、プラユット首相が指名した下記の人物を200805付で閣僚に任命した。

  1. 副首相             ドーン パラマットウィナイ      (従来の役職である外相との兼任: 元駐米大使、元駐中国大使、元駐EU大使)
  2. 副首相兼エネルギー相             スパッタナポン パンミーチャオ         (民間人: 元PTTグローバルケミカル取締役会長、元タイ工業連盟会長)
  3. 首相府相             アヌチャー ナーカーサイ      (国民国家の力党: 元タイ愛国党所属)
  4. 財務相             プリディー ダーオチャーイ   (民間人: 元カシコン銀行頭取、元カシコンリーシング会長 ←任期25日で財務相辞任) 
  5. 高等教育・研究開発技術革新相アネーク ラオタンマタット      (タイ団結国家開発党)
  6. 労働相スチャート チョムグリン        (国民国家の力党)
  7. 労働副相ナルモン ピンヨースィンワット          (国民国家の力党: 前首相府報道官)

200813      閣議後の記者会見:

ラチャダー首相府副報道官がプラユット首相談話を交えて発表。

*内閣改造後初の閣議でプラユット首相が新閣僚を激励した。

*OTOP(One Tambol One Product: 日本の一村一品運動のタイ版)の国内外PRでは、商品競争力確保のため、省庁横断で登録商標の取得を推奨するとともに、国内外・オンラインマーケットを通じた商品のブランド力強化を図ること。

*オランダの子供人権団体KidsRightsが世界182ヶ国を対象に行った「新型コロナウィルス(COVID-19)危機下の子供の人権保護のレベルを生活・健康・教育・保護・人権環境の5分野で調査したKidsRights Indexの世界ランキング」の上位10ヶ国は右のとおり。①アイスランド、②スイス、③フィンランド、④スウェーデン、⑤ドイツ、⑥オランダ、⑦スロベニア、⑧タイ、⑨フランス、⑩デンマーク。

*タイの9省で定年退官する事務次官の後任人事が進行中である。①財務省、②外務省、③厚生省、④社会開発・人類安全保障省、⑤教育省、⑥高等教育・研究開発技術革新省、⑦文化省、⑧農業・農業協同組合省、⑨運輸省。また、定年退官予定の各評議会、国軍警察最高司令官は首相が任命することとなっている。

*ソンクラーン(タイ正月)の残り二日分の振替休日につき、200904(金)、200907(月)と決定。

*干ばつ・洪水に対する治水対策追加予算118億バーツを承認した。水不足の56県向けの干ばつ対策・水源確保と全国の洪水対策用の土木工事・機材装備品調達を推進し、雇用も創出。灌漑局、内務省、地下水局、陸軍、港湾局で水路改修、水路開発、水中雑草除去などを作業分担する。

*新型コロナウィルス(COVID-19)危機対応経済復興対策本部を発足、プラユット首相が本部長、副首相+経済閣僚11人+民間経済団体代表らで構成し、その下に経済省庁の局長や経済関係の外局・委員会の長官クラスで構成する推進委員会を設置する。

200818      閣議後の記者会見:

アヌチャー ブラパチャイスィー首相府報道官就任挨拶、「現在の政治情勢下における首相府報道官の社会的責任とは、単に政府の行政活動を広報するという一方通行ではなく、国民の多様な声を聴いてその意見を政府に伝えるという双方向の役割が求められていると自認しており、その方向で注力していきたいと考えている」。

ラチャダー首相府副報道官がプラユット首相談話を発表。

*新型コロナウィルス(COVID-19)危機下の学校教育改革でプラユット首相と教育省が政策協議した。民間ノウハウを学校教育に取り込むため、全国158ヶ所で教育開発センターを展開するプロジェクトを重視。首相は「従来のタイの教育課程で顕著な問題であった丸暗記式からの脱却と実地体験学習の拡大の重要性」と「学力考査や入学試験における数字や固有名詞の暗記偏重から、思考力や意見表明力を試す問題への進化」が必要と指摘した。

*昨日、野党各党が共同で議会の議長に提出したタイ国憲法256条(憲法改正手続)の改正案と、200人の憲法草案議会発足の提案書につき、内閣の立場は「立法府たる議会において適法な手続により与野党、憲法特別委員会と民意を総合して審議され、憲法改正推進されることを内閣として支持はするが改正案の提案などの関与はせず、あくまで内閣はその間の行政に集中して国民生活を支えていく」ことである。

200821      タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)定例発表/記者会見:

タウィーシンCCSA報道官が発表。

タイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は累積感染者3,390人(うち新規感染1人:シンガポールから帰国したタイ人)、回復3,219人、治療中113人、死亡58人。累積感染者内訳は、首都圏1,830人、中部609人、南部744人、北部95人、東北部112人。全世界累積感染者数2285万人(タイは3,390人で115位)、死者数79.7万人。世界の半数を米国、ブラジル、インドが占める。アジアの新規感染者はフィリピン、バングラデシュ、インドネシア、サウジアラビア、パキスタンが多いが、日本の新規感染者951人も目立っており第二波到来と思われる。世界的にみて無症状の20~40歳の年代から感染が拡大している。200818現在、人口10万人比でのPCR検査実績では、タイ(12,011人)が日本(9,209人)より多く、陽性者率では、タイ(0.43%)が日本(4.6%)よりはるかに少ない。医療器具の在庫はN95マスク174万個、PPE防護服55.7万着、人工呼吸器1.1万台、ファビピラビル(アビガン)8,434人分である。引き続き、タイ人・外国人を問わず、入国時に全員が14日間(実際は15泊)の隔離検疫対象となる。タイ入国を希望する外国人向けASQ(Alternative State Quarantine: ホテルでの隔離検疫)対応ホテルの登録情報とサービス情報は、タイ厚生省健康サービス支援局COVID-19緊急対応センターのウェブサイトで公開されている。

200824      第3回メコン・ラーンチャーン協力会議(3rd Mekong-Lancang Cooperation Leaders’ Meeting):

プラユット首相は、テレビ会議(Web会議)方式の第3回メコン・ラーンチャーン協力会議に出席した。同会議はタイ、カンボジア、ミャンマー、ベトナム、ラオス、(議長国)中国が参加し、第3回の今回のテーマは「パートナーシップのレベルアップで共存共栄を」。この機会にプラユット首相はスピーチで、現在直面している新型コロナウィルス(COVID-19)危機下にある参加国の協力関係の理念について、①メコン川の水資源適正管理、②保健衛生面の協力強化、③地域の連携、④ポストコロナの経済復興の四点を強調した。

200831      首相府報道官記者会見:

アヌチャー首相府報道官が記者会見で発表。

*(先に360億バーツで中国製潜水艦三隻の購入を合意し、うち一隻は購入済みだったことに加え)残り二隻を225億バーツ・支払期間7年で購入するためタイ海軍が2021年度予算要求中の33.75億バーツにつき、プラユット首相兼国防相は(既に一年延期中のところ)さらに一年延期と指示。理由は「新型コロナウィルス(COVID-19)経済危機を国民が懸念しており、政府はコロナ危機下の国民生活、経済、社会、防衛すべての面で国民を守らなければならない」からである。首相は「海軍から中国当局に二隻の購入延期を交渉する」よう指示した。

200831      官報公示「タイ中央銀行告示SorNorSor第18号 仏暦2563年金融機関の祝祭日休日その4」のポイント:

下記のとおり、仏暦2563年の金融機関祝祭日休日が確定した。

  1. 200101(水) 元旦
  2. 200210(月) 200208マーカブーチャー(万仏節)の振替休日
  3. 200406(月) ラーマ一世・チャックリー王朝記念日
  4. 200413(月) ソンクラーン(タイ正月)→COVID-19のため中止(200727に振替)
  5. 200414(火) ソンクラーン(タイ正月)→COVID-19のため中止(200904に振替)
  6. 200415(水) ソンクラーン(タイ正月)→COVID-19のため中止(200907に振替)
  7. 200501(金) メーデー
  8. 200504(月) 国王即位記念日
  9. 200506(水) ウィサーカブーチャー(仏誕節)
  10. 200603(水) 王妃誕生日
  11. 200706(月) アーサーラハブーチャー(三宝節=三宝とは仏法僧)
  12. 200727(月) ソンクラーン(タイ正月)←200413からの振替
  13. 200728(火) 国王誕生日
  14. 200812(水) 皇太后誕生日(母の日)
  15. 200904(金) ソンクラーン(タイ正月)←200414からの振替
  16. 200907(月) ソンクラーン(タイ正月)←200415からの振替
  17. 201013(火) プミポン国王記念日
  18. 201023(金) チュラロンコーン大王記念日
  19. 201207(月) 201205プミポン国王誕生日(国家の日・父の日)の振替休日
  20. 201210(木) 憲法記念日
  21. 201231(木) 大晦日

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*タイ政府のコロナ対策概要と日本人ビジネスマンのタイ渡航(200907更新):

2020年1月以降の新型コロナウィルス(COVID-19)危機の中、タイでは首相・主要閣僚・公衆衛生学専門家と各省庁局長クラスが中心となり、200312付け「内閣府通達第76/2563号」により設立された「ศูนย์บริหารสถานการณ์การแพร่ระบาดของโรคติดเชื้อไวรัสโคโรนา 2019 (โควิด – 19): Center for COVID-19 Situation Administration、タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)により、人口10万人あたり感染者0.2人の時点で、200326非常事態宣言を発令して40以上の法律を統合運用し、徹底的な対策(防疫・感染防止・治療)に着手しました。タイ政府は通常予算の組み替えに加えて1兆バーツのCOVID-19対策国債を発行し、その6割をCOVID-19直接対策(防疫・感染防止・治療)に、4割を経済復興に充てて各種プロジェクトを推進中です。別途、タイ中央銀行も9千億バーツの金融政策(5千億バーツの中小企業向け新規ソフトローン等+4千億バーツの金融機関安定策)を採っています。非常事態宣言(+夜間外出禁止令)が功を奏して感染爆発防止に成功した200503からは段階的に「国民の経済、社会、安全保障の負担を軽減するための規制緩和措置」を進めてきており、タイ国内では国内感染者ゼロ記録を更新し続け、7月上旬時点で第5期まで規制緩和が進み、順調なら追加の緩和(トラベルバブルの実施等)に進む計画も出されました。しかしながら、懸念される二次三次の感染拡大に対処していく予算上の余裕がないタイ政府は、外国人の入国につき苦肉の策で「経済復興に役立つ人材を優先的に入国させる」ため、第5期緩和でVIP外国人優遇枠を設定した直後、200710にラヨーンで発生した「感染エジプト軍パイロットの勝手な外出事件(翌日帰国)」などの事件が裏目に出てしまい、200714の閣議でVIP外国人枠は廃止され、外国人全員に14日間(実際は15泊)の隔離検疫が義務付けられました(ラヨーン県では200校以上が臨時休校、またホテルの予約キャンセルなど被害が拡がりましたが、幸い二次感染は発生しませんでした。その後も今日までのタイ国内感染は一ケタに止まり、ほぼすべての店舗が通常営業に戻っていますがマスクやソーシャルディスタンスは義務付けられています)。なお、現時点では入国規制措置(民間定期旅客便は飛行禁止中)により、1万人を超える日本人ビジネスマン(200703タイ外務省発表)のタイ入国に遅れが生じています。200907現在、「タイのビジネスビザ申請」と「日本発タイ行き特別便の渡航手続」は非常に複雑で、「前提としてビジネスビザ等を取得の上、「バンコク到着後の隔離検疫措置(ASQ)対応ホテル(バンコクの60ホテルが7,728室を提供中)」と航空券を予約の上、タイ大使館領事部・領事館に「COVID-19対応保険ほか関係書類一式」をeメール提示・登録し、OKがでたらeメールでCOE(入国保証書)が発行され、出発前72時間以内にPCR検査してからようやく搭乗・・。バンコクに到着したら空港から15泊のホテル隔離検疫に直行」という流れになっています。8月は週一便、9月は週二便の特別便で日本人ビジネスマンを受け入れる体制(CCSA発表)です。

*当事務所の対策状況:

コロナウィルス(COVID-19)対策のため小社では当面の期間、下記のとおり万全対策を行っております。お客様各位のご協力を賜り、まことにありがとうございます。

お客様対応は「テレビ会議(Web会議)・eメール・電話・ビジネス宅配便のみ」とさせていただいております(対面式の会議は非常事態宣言解除までの期間、原則として自粛させていただきます)。

しばらくご不便をおかけすることとなり誠に恐縮に存じますが、一致協力してこの難関を突破して参りましょう。

以上です(上記は作成した時点でのご参考情報です。実際の運用の際は再度ご確認のほどお願いいたします。なお、西暦 = 仏暦 – 543です)

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御社のご盛業を!日タイ経済産業連携と両国の永続的な友好関係を祈念して!

SME MULTI CONSULTANT CO., LTD.

川島和士 (KAZUSHI KAWASHIMA)