ニュース52号(210104)

SME MULTI CONSULTANT ニュース52号(210104

タイ法令の新しい話題を簡潔にまとめてお伝えします。バックナンバーはhttp://www.thaibiz.jp/?page_id=2551

 

1.タイCCSA(COVID-19対策本部)がコロナ対策を再強化(夜間外出禁止せず、外国からの空路入国制限は継続):
「仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第9条に基づく 施行規則第16号(210103官報公示、210104施行)」のポイント

200326に施行した非常事態宣言は8回の延長により210115までとなっているが、直近では新型コロナウィルス(COVID-19)国内感染が多発しており、しかも最重点警戒区(レッドゾーン)から外部への年末年始帰省・国内旅行による人の移動も拡大しており、クラスター発生源となっている。また、感染者の中に移動履歴を隠す者がおり、防疫当局の調査・対策上の障害となり、さらなる広域感染の進展が強く懸念される。

第1項 最重点警戒区(レッドゾーン)内の学校・教育機関の閉鎖(例外:ネット授業・社会福祉活動・都県知事許可ある公的行事・全校生徒数120人以下の小規模校)。

第2項 最重点警戒区(レッドゾーン)内での(会議・セミナー・宴会等)感染リスク行事の禁止、詳細は知事が都県ごとに(伝染病対策官の助言により)規制内容を決定。

第3項 最重点警戒区(レッドゾーン)内の(娯楽施設・パブ・バー・カラオケ等)感染リスク場所の閉鎖。

第4項 最重点警戒区(レッドゾーン)内の営業規制 ①飲食サービスの提供方法(店内飲食基準、人数制限や持ち帰り)については都県ごとにCCSAと医療保険緊急対応センターで協議。 ②店内飲酒の禁止。 ③百貨店・ショッピングセンター・コミュニティーモール・展示場・会議場・展覧会場・コンビニ・スーパー等は(防疫対策の上)通常時間内の営業可。 

第5項 その他の感染拡大あり得る場所や行事につき、都県知事による追加規制・閉鎖等の権限。

第6項 県境を越える(特にレッドゾーンからの)移動の自粛と交通検問(訳者注:パスポート、ワークパーミット、会社の登記事項証明書コピー、会社発行の業務説明書を携帯)。

 

2.最重点警戒区(レッドゾーン)に指定された都県:
COVID-19対策本部(CCSA)通達1/2564号:仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第9条に基づく最重点警戒区指定都県(210103官報公示・210104施行)」のポイント

下記の28都県を新型コロナウィルス(COVID-19)最重点警戒区(レッドゾーン)に指定する。

①バンコク、②カンチャナブリ、③チャンタブリ、④チャチュンサオ、⑤チュムポーン、⑥チョンブリ、⑦トラート、⑧ターク、⑨ナコンナーヨック、⑩ナコンパトム、⑪ノンタブリ、⑫パトムタニ、⑬プラチョブキリカン、⑭プラチンブリ、⑮アユタヤ、⑯ペッブリー、⑰ラチャブリー、⑱ラノーン、⑲ラヨーン、⑳ロッブリー、㉑シンブリー、㉒サムットプラカン、㉓サムットソンクラーム、㉔サムットサーコン、㉕スパンブリ、㉖サケオ、㉗サラブリー、㉘アントーン

 

3.210103タイ厚生省によるコロナ現況発表:

タイ厚生省疾病対策局ウェブサイトによるタイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は累積感染者7,694人(うち210103新規感染315人)、回復4,337人、治療中3,293人、死亡64人。タイ入国を希望する外国人向けASQ(Alternative State Quarantine: ホテルでの隔離検疫)対応ホテルの登録情報とサービス情報は、タイ厚生省健康サービス支援局COVID-19緊急対応センターのウェブサイトで公開されている(バンコクの123ホテルが16,432室を提供中)。

 

4.タイ政府がコロナ対策で非常事態宣言(全国)を210115まで延長(210103現在、再延長は官報未掲載):
「タイ全国を対象とする非常事態宣言の延長(8回目)にかかる告示201124官報公示、201201施行)」のポイント:

200326に施行した非常事態宣言は7回の延長により201130までとなっているが、ここまでタイが官民を挙げて新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大防止に努力してきたことにより、世界保健機関(WHO)から表彰されるほどの成功となっている。しかしながら世界中で感染者数と死者数が増加し続けており、一度は感染対策を緩和した国々が相次ぐ二次感染拡大により再度の対策強化を余儀なくされており、これでは景気回復を図ったものの却って経済負担増と社会混乱を招く結果となっている。さらにタイ隣接国において感染急拡大が食い止められない状況となっている。引き続きタイ政府は公衆衛生基準による出入国者検疫を法律に基づき徹底実施しているが、正規のルートではない自然の国境地帯を通ってそのままタイに不法入国する者が増加し続けており、国内感染者が発症後に発見された事例も出ている。これらは国民の秩序と安全、公衆衛生・経済活動・社会生活の安定に対する脅威となっている。折しも乾季に入り、感染対策の難易度も上がり、年末年始のタイ人・外国人の移動も盛んとなり、さらには多数の国際競技会がタイで開催されるという懸念事項も多くなっている。

したがって、国民の健康と生命の安全を第一に守るため、そして政府が統制のとれた迅速な政策を効率的に実行するためには、引き続き非常事態宣言が必要と判断した。仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第5条に基づき、201123閣議決定により首相が非常事態宣言を201201から210115までの期間再延長する。

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*タイ政府のコロナ対策の実績と日本人ビジネスマンのタイ渡航(210104更新):

2020年1月以降の新型コロナウィルス(COVID-19)危機の中、タイでは首相・主要閣僚・公衆衛生学専門家と各省庁局長クラスが中心となり、200312付け「内閣府通達第76/2563号」により設立された「ศูนย์บริหารสถานการณ์การแพร่ระบาดของโรคติดเชื้อไวรัสโคโรนา 2019 (โควิด – 19): Center for COVID-19 Situation Administration、タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)により、人口10万人あたり感染者0.2人の時点で、200326非常事態宣言を発令して40以上の法律を統合運用し、徹底的な対策(防疫・感染防止・治療)に着手しました。タイ政府は通常予算の組み替えに加えて1兆バーツのCOVID-19対策国債を発行し、その6割をCOVID-19直接対策(防疫・感染防止・治療)に、4割を経済復興に充てて各種プロジェクトを推進中です。別途、タイ中央銀行も9千億バーツの金融政策(5千億バーツの中小企業向け新規ソフトローン等+4千億バーツの金融機関安定策)を採っています。非常事態宣言(+夜間外出禁止令)が功を奏して感染爆発阻止に成功した200503からは段階的に「国民の経済、社会、安全保障の負担を軽減するための規制緩和措置」を進めてきており、タイ国内では国内感染者ゼロ記録を更新し続け、7月上旬時点で第5期まで規制緩和が進み、順調なら追加の緩和(トラベルバブルの実施等)に進む計画も出されました。しかしながら、懸念される二次三次の感染拡大に対処していく予算上の余裕がないタイ政府は、外国人の入国につき苦肉の策で「経済復興に役立つ人材を優先的に入国させる」ため、第5期緩和でVIP外国人優遇枠を設定した直後、200710にラヨーンで発生した「感染エジプト軍パイロットの勝手な外出事件(翌日帰国)」など複数の事件が裏目に出てしまい、200714の閣議でVIP外国人枠は廃止され、外国人全員に14日間(実際は15泊16日)の隔離検疫が義務付けられました(当時、ラヨーン県では200校以上が臨時休校、またホテルの予約キャンセルなど被害が拡がりましたが、幸い二次感染は発生しませんでした)。その後、8月から10月までは落ち着いていましたが、11月以降はミャンマーからの不法入国者などの新規感染者がタイ北部で多数確認されました。直近二週間(年末年始)には新規感染(入国者+二次感染)が一日平均二百人規模で発生しており、年末年始帰省・国内旅行による人の移動も拡大したことを受け、CCSAは210104からコロナ対策を再強化します。最重点警戒区(レッドゾーン)からの県境を越える移動では、移動先の県によっては14日間の隔離措置が義務付けられる場合があります。

上記の経緯の中で、2020年中は入国規制措置(特別便のみ)により、1万人を超える日本人ビジネスマン(200703タイ外務省発表)のタイ入国に遅れが生じていました。現在でも「タイのビジネスビザ申請」と「日本発タイ行きの渡航手続」はかなり複雑で、「前提としてビジネスビザ等を取得」してから、タイ大使館領事部・領事館ウェブサイト上で「①そのビザとCOVID-19対応保険のデータをシステムにアップロード」した上で、「②バンコク到着時の隔離検疫措置(ASQ)対応ホテルと航空券の予約データをアップロード」して、三営業日内に承認されたらCOE(入国保証書)をダウンロード印刷して、さらに出発前72時間以内にPCR検査の無感染証明書を確保してからようやく搭乗・・。バンコクに到着したら空港から14日間(実際は15泊16日)のホテル隔離検疫に直行(PCR検査陽性判定の場合は予約したASQ指定病院に入院)」という流れになっています。タイ政府は2020年8月に週一便、9月に週二便、10月~12月には週三便の特別便で日本人ビジネスマン等を受け入れました。2021年1月からは順次、定期旅客便が復活される計画です。例えばタイ航空ウェブサイト(210103現在)では「成田発TG643便(11:45発→17:05着)は2021年1月6日より週3便(水・木・日曜日)にて運航予定※ 関西発TG623便(11:00発→15:45着)は2021年1月10日より週1便(日曜日)にて運航予定※ ※検索時点の運航計画が表示されますが、今後の状況次第で予告なく変更になる場合がございます。(政府認可条件)」と表示されています。

*当事務所の対策状況:

コロナウィルス(COVID-19)対策のため小社では当面の期間、下記のとおり万全対策を行っております。お客様各位のご協力を賜り、まことにありがとうございます。

お客様対応は「テレビ会議(Web会議)・eメール・電話・ビジネス宅配便のみ」とさせていただいております(対面式の会議は非常事態宣言解除までの期間、自粛させていただきます)。

しばらくご不便をおかけすることとなり誠に恐縮に存じますが、一致協力してこの難関を突破して参りましょう。

以上です(上記は作成した時点でのご参考情報です。実際の運用の際は再度ご確認のほどお願いいたします。なお、西暦 = 仏暦 – 543です)

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御社のご盛業を!日タイ経済産業連携と両国の永続的な友好関係を祈念して!

SME MULTI CONSULTANT CO., LTD.

川島和士 (KAZUSHI KAWASHIMA)