icon-anchor 旧制度(2014年12月31日まで申請分に適用)

タイ国投資委員会(BOI)のあらまし

2014年5月17日更新(元田時男)

I 投資奨励法とBOIの役割、組織(租税、租税外の特典による新規産業投資の奨励)

BOI(Board of Investment)は、1977年投資奨励法に基づく委員会であり、法では総理大臣が委員長、工業大臣が副委員長、その他の委員は関係経済閣僚のほか、タイ国工業連盟などの民間委員、顧問で構成される。
その役割は、1962年産業投資奨励法を引き継いだ1977年投資奨励法(和訳は付録を参照)により要約すれば以下の通りである。国内、海外からの案件を同等に扱っている
(1)投資奨励の政策策定(法の範囲内であればその内容は法により権限が委譲されている。現在は2000年8月1日付BOI告示1号の奨励策により運用されているが、一部経過措置が設けられている。
(2)奨励申請案件の適格性を審査し、奨励特典(インセンティブ)の付与すること。
(3)その他産業投資奨励のために必要な事業
そして、新規事業について奨励特典として、法人所得税減免税、輸出製品用原材料輸入税免税、機械・設備輸入税の減免税、外国人専門家・技術者の就労特別許可、土地保有許可の特典を付与することによる産業の振興を行っている。
奨励特典は原則として新規に始める事業に対して与えられる。
投資委員会の業務執行機関としてBOI事務局があり、工業省に属する。政策立案、審査事務、奨励された事業の管理、その他産業投資奨励のために必要な幅広い事業の実施に当たっている。
組織は以下の通りであるが、案件の審査、認可後の行政サービス、監督は組織図の通り業種別に分けて行っている。

この組織の中で投資案件の審査、機械・原材料の審査、監督、相談などはInvestment Promotion Bureauを以下のように4部門に分けて担当しているので、申請から認可、その後のアフターケアーまで1箇所で行われ、投資家の利便をはかっている。
Investment Promotion Bureau 1(農水産、食品)
Investment Promotion Bureau 2 (金属、金属製品、機械・設備、輸送機器)
Investment Promotion Bureau 3(エレクトロニクス、電気機器)
Investment Promotion Bureau 4(化学、紙、プラスチック、サービス、公共施設)

日本における事務所
東京(107-0052東京都港区赤坂2-11-3福田ビルWEST 8階)
Tel:03-3582-1806 Fax:03-3589-5176
大阪 (541-0056大阪市中央区久太郎町1-9-16バンコク銀行ビル7階)
Tel:06-6271-1395 Fax:06-6271-1394

その他の特別チーム
BUILD (BOI Unit for Industrial Linkage Deve1opment)
(企業相互間の部品供給、合弁の促進、紹介など)

Foreign Expert Services Division
(外国人専門家、技術者の入国、外国人就労許可取得支援)
Tel:02-209-1100 Fax:02-209-1194
所在地:One Start One Stop Investment Center(OSOS)
18th Floor, Chamchuri Square Building
Phayathai Rd.,Pathumwan, Bangkok 10330
(注:OSOSにはBOI事務局のほか各省局の事務所があり、投資家はこの1か所で
用が足りるよう配慮されている)

以上のほかに、BOIの奨励を受けるためには、奨励申請から機械の輸入、原材料の輸入などたくさんの事務が待ち受けているので、BOIではInvestor Club Association という団体を設け、企業への窓口事務の一部を処理するほか、事務手続きに関する情報をテーマに分けて、タイ人スタッフのために講習会(有料)を頻繁に開催しているので、準備期間の段階で雇った秘書を講習会へ出すことは非常に重要なことである。
Investor Club Association Tel:02-936-1429 URL:http://www.ic.or.th/

II BOIの奨励特典(租税上の特典は地域差を設けている)

 

BOIの奨励特典はタイ企業、外資系企業の区別はなく、平等である。タイの産業促進をはかるため、新規に始める事業を奨励するものである。奨励を希望する場合、その事業が奨励対象業種であることが必要で、該当すればBOIへ申請し、審査を受けたあと認可を受けることになる。その結果特典と特典を受けるための条件が提示される。
奨励は事業単位で与えられるが、事業の主体は個人では許されず、法人であることが求められる。従って一つの法人で、事業単位毎に奨励を受けることができる。なお、BOIは新規に始める事業を促進するので、既に操業している事業は奨励しないことに注意されたい。
案件審査の基準は、タイの経済発展、技術向上、雇用促進などに役立つことが求められているが、1987年からは産業の地方分散政策が導入され、首都のバンコクから遠くへ行くほど特典が厚くなる措置をとっており、これはかなり功を奏し現在では北部、東部、東北部の工業団地に入居することが一般的になっている。
奨励特典は以下の通りである。

(1)法人所得税の減免
全国を三つのゾーンに分け、前述の通りバンコクから遠くのゾーンには免税期間が長く、法人所得税免税なしから8年の免税措置がゾーンにより異なる期間与えられる。2001年12月1日以降に認可された事業については、免税期間中にかかわらず、その累積免税額が発足当初の投資額(土地代、運転資金を除く)に達したときを上限とするよう改められた。ただし、重要な産業で国家に有益な事業には免税の上限はない。

(2)機械設備の輸入税の減免
タイには産業機械・設備のメーカーが少なく、事業に必要な機械・設備は輸入することになるので、この奨励特典は極めて効果が大きい。
ただし、それでもタイ国産の機械もあるので、それと同一の機種は減免を受けて輸入することはできない。

(3)外国人出資比率が49%を超えても土地所有を認める
土地法では、外国人または外資が49%を超えるか外国人株主数が全株主数の半数を超える企業には、一般的に土地所有を認めていないが、認可事業用には所有を
認めてている。

(4)外国人就労許可
IEATの場合も同様、通常の労働許可より簡便な方式により、別枠である。一般の場合、は複雑で審査が厳しいので、BOIの簡便な方式は重要な特典の一つである。

(5)輸出製品用原材料の輸入税免税
一般にはBOI企業でない場合も関税局で結果的に免税となるが、BOI事業は輸入時に免税であり、輸入税に代わる保証金を必要としないので、これも重要な特典である。
以上の特典の内、(1)、(2)の租税上の特典は1987年から地域によって差をつける政策が採用され、タイ国の社会経済発展計画の重要課題である地域間所得格差の平準化の政策に則り、所得の高いバンコク及び周辺の特典を薄く、所得の低い地方を厚くしている。
その後、1993年に全面的に改訂され現在に至っているが、特典などを見直し、2000年8月1日から新たな政策が適用されている。改正内容は、バンコクに近い所の特典を切り下げ、遠隔地の特典を投資奨励法で許される限度まで残し、地域差を残したことである。
ただし、後述するように、2000年8月1日の新政策は、その後経過措置が設けられ、工業団地に入居して2014年12月31日までに奨励申請する場合、一般原則とは異なり優遇される措置が適用されている。

IIIBOIの外資政策(2000年8月から外資規制は原則としてなし)

 

第1章で述べたように「外国人事業法」では、特にサービス産業への参入には規制があるが(製造業は原則100%外資でも規制されない)、BOIの認可事業を営む企業の場合は、この規制とは関係なくBOI独自の外資政策がとられている。
従来、BOIは奨励対象業種の内、農業、漁業、鉱業、サービス業については、原則として51%以上のタイ資本を求め、製造業について第3地域は無条件に外資100%、第1,2地域については、輸出比率により外資の規制を設けていた。すなはち、輸出80%以上の場合は外資100%、輸出50%以上の場合は外資過半数を認め、輸出が50%以下の場合はタイ資本を51%以上入れることを求めていた。
しかし、2000年8月1日からの新政策では、農業、漁業、鉱業、サービス業の一部は従来通り51%以上のタイ資本を求めるが、製造業は全部100%外資、サービス業も一部を除き外資マジョリテイーまたは100%を認めることになった。

IVBOIの投資奨励特典の一般原則(全国を3地域に分け、特典に差)

1.地域分け
従来通り、産業の地方分散を目的として、タイ国内を次の三つのゾーンに分け、バンコクより遠くなるほど特典を厚くし、低開発の22県では、もっとも厚い特典を付与することになっている。この原則は、1993年からの原則を一部変更し、2000年8月1日からの奨励申請事業に適用されるものである。
2000年8月1日からの地域区分の変更は、第1ゾーンはそのまま、第3ゾーンの内ラヨン県とプケット県を第2ゾーンに移し、第3ゾーンを先進県と低開発県の2グループに分けたことである。ただし、ラヨン県には自動車関連の外国(特に日本)からの工場進出が多いところから、後述するように、ラヨン県の工業団地と第2ゾーンの工業団地に立地する場合は2014年12月31日までに奨励を申請すれば後述の通り経過措置が受けられる。

全国の地域分け一覧
第1ゾーン
バンコク首都圏6県
バンコク都、サムットブラカーン、サムットサーコーン、パトムタニ、ノンタブリ、ナコンパトム
第2ゾーン
首都圏周辺12県
サムットソンクラーム、ラッチャブリ、カンチャナブリ、スパンブリ、アントーン、アユタヤ、サラブリ、ナコンナーヨック、チャチンサオ、チョンブリ、ラヨン、プケット
第3ゾーン(1)
右欄の36県
グラビー、ガンペンペット、コンケン、ジャンタブリ、チャイナート、チュンポン、チェンライ、チェンマイ、タラン、ダラート、ターク、ナコンラチャシマー、ナコンシータマラート、ナコンサワン、ブラジュアブキリカン、ブラジンブリ、パンガー、パッタルン、ピチット、ピサヌローク、ペチャブリ、ペチャブン、ムクダハン、メーホンソン、ラノーン、ロッブリ、ランパーン、ローイ、ソンクラー、サケーオ、シンブリ、スコタイ、スラタニ、ウタラディット、ウタイタニ
第3ゾーン(2)
右欄の23県(低開発地区として指定)
ガラシン、チャヤプーム、ナコンパノム、ナラティワート、ナーン、ブリラム、パタニ、パヤオ、プレー、マハーサラカム、ヤソトン、ヤラー、ローイエット、シーサケート、サコンナコン、サトウーン、スリン、ノーンカイ、ノーングブアラムプー、アムナートジャラーン、ウボンラッチャタニ、ウドンタニ、ビンカン
(2010年8月3日にノーンカイ県から分離)

2.ゾーンによる投資奨励特典の一般原則
次に、地域毎に付与される特典のあらましは以下の通りである。ただし、これは原則であり、業種によっては別の特典が与えられるものもある。

ゾーンごとの特典一覧(原則)
(第1ゾーン)
1.法人所得税
工業団地内(注1)  3年間免税
工業団地外      免税なし
2.機械輸入税   (注2)
3.輸出製品用原材料輸入税免税  1年間免税(延長可)
(第2ゾーン)
1.法人所得税
工業団地内  5年間免税
工業団地外  3年間免税
2.機械輸入税   (注2)
3.輸出製品用原材料輸入税免税  1年間免税(延長可)
(第3ゾーン(1))
1.法人所得税
工業団地内 a:8年間免税、免税期間終了後5年間50%減税
b:輸送費、電気代、水道料の2倍まで収益を生じた日から10年間控除する
ことができる
工業団地外 a:8年間免税
b:インフラストラクチュアーの設置、建設費の25%を、収益を生じた日から10年の間に、純利益から通常の減価償却費に加えて控除することができる。10年の間にどの年からでも、数年にまたがってもよい。

2.機械輸入税  免税
3.輸出製品用原材料輸入税免税  5年間(延長可)

(第3ゾーン(2))
1.法人所得税
工業団地内外とも

a:8年間免税、免税期間終了後5年間50%減税
b:輸送費、電気代、水道料の2倍倍除することができる。

c:インフラストラクチュアーの設置、建設費の25%を、収益を生じた日から10年の間に、純利益から通常の減価償却費に加えて控除することがで きる。10年の間にどの年からでも、数年にまたがってもよい。

2.機械輸入税  免税
3.輸出製品用原材料輸入税免税   5年間(延長可)

注1:ここでいう工業団地とは、後述のIEAT管理下にあるもの、及び私立の団地でBOIの認可を受けたものを指し、それ以外のものは、ここでいう工業団地に入らない
注2:輸入税率が10%以上のものについて50%減税

3.ゾーンによる税制上特典の経過措置(ラヨン県等への特別配慮)
以上述べてきた最新の投資奨励策は、2000年8月1日から発足したもので、それ以前は1993年に策定された基準が使用されていた。2000年の新政策が2004年に改定され、第2ゾーンとなったラヨン県並びに第2ゾーンのチョンブリ県にあるレムチャバン工業団地は、従来は第3ゾーンであった。
そこで、ラヨン県の工業団地、レムチャバン工業団地のほか第2ゾーンの工業団地について、2014年12月31日までに申請される事業については、以下の経過措置がとられている。

(1)IEAT管理の工業団地、BOIの奨励業種「公共施設」の工業団地の奨励を受けた工業地域、チョンブリ県のレムチャバン工業団地に入居すること。
(2)2014年12月31日までに奨励申請が受理されること。
(注:この期限は本来2009年12月31日であったが、2009年4月21日付BOI告示1/2552で延期された)

(経過措置:上記の(1)と(2)を同時に満たす場合) BOIの告示により筆者まとめ
(第2ゾーンの工業団地内)
1.法人所得税  7年間免税
2.機械の輸入税  免税
3.輸出製品用原材料輸入税免税   1年間(延長可)

(第3ゾーンの工業団地内、およびラヨン県内工業団地内とレムチャパン工業団地内)
1.法人所得税      a:.8年間免税、免税期問終了の日から5年間は50%減税
b:所得が生じた日から10年間、輸送、電力、水道の経費の2倍まで控除できる。
c:インフラストラクチュアーの設置、建設費の25%を、収益を生じた日から10年の間に、純利益から通常の減価償却費に加えて控除することがで きる。10年の間にどの年からでも、数年にまたがってもよい。

2.機械の輸入税          免税
3.輸出製品用原材料輸入税免税    5年間(延長可)
4.国内販売製品用原材料について最高75%まで輸入税を減税。ただし、国内で生産されていなく、生産されていても十分生産されていなく、品質も劣る場合を除く。ただし、ラヨン県内工業団地およびレムチャパン工業団地を除く。
(注ここでいう工業団地とは、後述のIEAT管理下にあるもの、及び私立の団地でBOIの認可を受けたものを指し、それ以外のものは、ここでいう工業団地に入らない)
4.重要産業と特別重要産業に対する奨励特典
以下の業種には前述の一般的な奨励とは異なる特別な特典が与えられることになっている。
(1)農水産業、農水産品を原料とする製造業
(2)技術開発、人材開発に関わる事業
(3)公共事業、公共建設
(4)環境保全に関わる事業
(5)その他特定の事業
特別重要産業は、BOIの奨励対象業種表に記載されているが、農業関連、食品、金型、ジグ、鋳造、鍛造、工作機械、ソフトウエアー開発、研究開発、人材開発、環境保護などが指定されている。
そして以下の特別な奨励が与えられる。
(1)立地にかかわらず、機械、設備の輸入税が免税。
(2)立地にかかわらず、法人所得税が8年間免税。
この特別奨励のほかに、更に「国家に有益な事業」と指定される特別重要業種がある。この場合は上記(1)、(2)の奨励内容のほかに法人所得税免税額の上限を設けないという特典がつく。

V BOIの特典を受けるための条件(最低投資額は百万バーツ)

投資奨励を受けることができる事業は、BOIの奨励対象業種表に個別に条件が付してあるが、一般的に以下の条件に従わなければならない。外資の比率については、すでに述べた通りである。

(1)付加価値
20%以上あること。ただし、電子、同部品産業、農水産業、農水産品加工、BOIが特別に認めた事業は例外。

(2)資本と負債の比率
負債は資本金の3倍以下であること(2000年8月1日より以前は4倍以下であった)、BOIとしては健全な経営が行われることを期待しているのである。事前調査の不足から操業開始後に資金不足に陥ることはよくあるので、資金計画も充分に練っておくことが肝要である。ただし、拡張の場合は別途打合せることになっている。

(3)最低投資額(土地代と運転資金を除く)は百万バーツ以上であること

(4)機械設備
公的機関が保証し、BOIが同意する場合を除き、近代的生産方法、機械設備を使用すること(中古機械を導入するときは、公的機関の証明が必要となる。また、10年を超える中古機械は原則として認めないことになっているので、投資奨励申請までによくBOIと相談すること)。

(5)国際規格の取得
土地代、運転資金を除き、1千万バーツ以上の投資をする場合、操業開始から2年以内にISO9000シリーズもしくはISO14000またはこれらに相当する国際規格の認定を取得すること。実現できない場合、法人所得税の免税期間を1年間減少される。
(従来はISO9000もしくはそれに相当する国際規格であったが、1997年10月1日以降に奨励を申請する案件から上記のように変更された。すでに認可を受けている事業ではISO14000に変更したい場合は変更申請が可能となっている。(根拠2007年11月13日付委員会告示6/2550)

(6)環境対策
十分な公害防止策を講ずること。環境問題は環境省が立案し、実施は工業省である。後述のタイ国工業団地公社(IEAT)が管理する工業団地へ入居する場合はIEATの団地内事務所と充分に打ち合わせること。

(7)事前調査
1)投資金額(土地代、運転資金を除く)が8千万バーツを超え5億バーツ以下の事業
については、申請に当たり、以下の内容の事前調査報告書を添付すること。
申請する製品の需要
過去5年の輸入統計
需要量と将来の需要拡大率
重要輸出市場と拡大の傾向
資金面の適合性
タイ内外からの株式投資額と借入金額
**年の法人所得税免税の場合と免税されない場合のCash Flow(Net Present
Value)とInternal Rate of Return
(注;以上はBOI事務局告示P.9/2008年から、詳細はBOIと打合せること)
2)投資金額(土地代、運転資金を除く)が5億バーツを超える場合についての事前調
査報告の内容は上記1)よりかなり分厚なものとなり、その内容はBOIのWebsite
(http://www.boi.go.th/index.php?page=formの
Formの欄からA Feasibility Study for the Project with Investment Capital
Over 500 Million Baht を参照のこと。

VI BOIへの投資奨励申請から認可まで(申請から奨励証書発給まで)

(1)申請書の提出

申請書記入上の注意点は以下の通りである。申請書は一種の計画書であるから、実際に事業が動いた場合食い違ってくるのは当然であるので、精密さにこだわる必要はない。ただし、例えば操業後年間生産量が申請書に記載して生産量を上回ると困るので(申請書の生産量は後述の奨励証書に記載され、それを上回る生産量からの利益は免税とはならない)余裕を持たせて記入することである。
1)申請人:申請の段階では現地法人はまだ設立されていないのが通常であるので、個人名で申請することになる。個人であるから企業内で誰とするかは企業内で検討しなければならないが、(2)で述べるBOI本部でのインタビューに参加しなければならないことを考慮しなければならない。
2)連絡人:BOIは外国まで文書を郵送したり、電話することはせず、タイ国内の居住者
である連絡人へ連絡するので、申請書提出までにタイ居住者(外国人でも構わない)
を連絡人として申請書で指定し、申請書に連絡人の署名をすること。
3)申請書は東京、大阪にあるBOIの日本事務所へ提出することも可能である。
4)申請書を元に審査担当者が委員会へ案件を提案するための資料を作成するのであるから、会社案内、製品カタログ、図面などの参考書類を添付する。
5)工程表は,BOIから認可を受けるとき「工程表を守ること」という条件が付けられるので、材料の検査工程から出荷前の検査まで漏れなく網羅しておくことが重要である。
また、機械・設備は工程に必要なものの輸入税減免が認められるのであることに注意すること。
6)さらに、申請書に記載する機械・設備の能力と年間生産量との整合性が求められることにも注意しなければならない。この生産量は認可後に発給される奨励証書(Promotion Certificate)に記載され、法人所得税の免税はこの生産量までの利益
が免税となり、オーバーした分にかかる利益は免税とはならない。従って、将来の事業計画をよく吟味して、この生産量をオーバーしないような生産量を記載しておくこと。
もちろん、計画通り進まずオーバーすることはありえるので、その場合は奨励証書を修正してもらうことになる。
7)申請書の中の投資額の欄は負債が資本金の3倍以内と定められているので注意する
こと。

(2)審査担当官に対する案件詳細説明
申請書が受理されたあと、10日以内に申請者は担当部署と連絡人を通じて審査担当官とアポイントをとりインタビユーを行なう。このインタビユーは、申請書では不十分な情報を得て委員会へ上程するために行われるもので、尋問ではなく担当官をサポートするという意味で、製品の詳細、製造工程など技術的なことや会社の現在の事業内容を充分に説明しなければならない。従って、技術的な部分の説明も求められるので、技術の分かる者が同行することが望ましい。

(3)委員会による審査
審査担当官による案件の報告が出来上がると、委員会に提案され、審議されるが、委員会は、首相を委員長とする本委員会のほか小委員会が設けられていて、以下の区分による委員会で討議される。ここでいう投資額とは土地代と運転資金を除く。
1)投資額2億バーツ以下——— BOI事務局の内部委員会
2)投資額2億バーツを超え、7億5千万バーツ以下——— 小委員会
3)投資額7億5千万バーツ超———本委員会(首相が議長)
以上の1)と2)は毎週開催され、3)は原則毎月1回である。
BOIは上記1)の場合40営業日以内、2)の場合60営業日以内、上記3)の場合90営業日以内に認可することを公表している。

(4)認可通知とそれに対する回答
委員会で認可されると、前述の連絡人を通してタイ語の文書により通知される。文書には認可された案件に対する特典とその特典を付与するための条件が記載されている。この段階では単なる認可を行ったという通知であり、申請者は内容を確かめて問題がないか(特典の内容は今までに述べた通り決まっているのであるが、念のため)を調べ、問題なければ、通知書に添付されている回答書により、通知書に記載されている特典と条件を受け入れる旨回答する。この回答期間は通知書受理から1ヶ月以内(延長は申請すれば可能)であるので、通知書を受取ったら至急タイ語を日本語または英語に翻訳する必要がある。認可通知書の内容が、すでに理解していることと異なる場合は、至急文書で照会しなければならない。
なお、認可通知書には回答文書の様式のほか、その後の手続きに必要な書類も同封されている。

(5)奨励証書の発給
認可通知書に対する回答を発送したら、次に奨励証書の発給申請を行う。つまり、BOIの手続きは前述の認可通知書と奨励証書に2段階になっているのである。
BOIの事業は投資奨励法により法人により運営されることになっているので、奨励証書の発給申請は現地法人の署名権のある取締役の名義で行わなければならない。従って、BOIへの奨励申請と同時に現地法人設立事務を進めておくのが通常である。案件が認可されるかどうかは、申請前にBOIで調査をするか、申請後のインタビューの段階で判明するので、認可されることが判明すれば会社設立の手続きを始めることも可能である。
発給申請書(タイ語で様式あり)に添付する書類のうち重要なものは、会社登記簿コピーと外貨送金証明書である。後者は、申請時に資本金が外国からの投資となっていた場合、それを証明するためのもので、通常、外貨受け入れ銀行の証明で足りる。この段階で、資本金の払込みは会社法による登録資本金の4分の1で足りるが(タイの非公開株式会社は基本定款に記載された株式数は設立時に全部を発行し、各株式について額面の4分の1以上を払込めば会社登記は可能となる分割払い方式であり、額面までの払込の請求は取締役によってなされることに注意)、BOI認可企業の場合、操業開始までに登録資本金を全額払込むことが要求されるので注意すること。
奨励証書発給申請は通知書受領後6ヶ月以内に行う必要があり、奨励証書の発給は、通常発給申請から10営業日以内である。

VII 工場移転に対する奨励と条件(条件により移転後新たに免税特典が始まる)

前述の通り、産業の地方分散が投資奨励の一番重要な柱であるところから、既存の工場が地方へ移転する場合、以下が適用され、新たに奨励措置が与えられる。

(1)工場を第1ゾーンから第2ゾーン、第3ゾーンへ、または第2ゾーンから第3ゾ
ーンへ移転する場合に限られる。
(2)移転先は工業団地内(IEAT管理の団地またはBOIから奨励された民間の団地)でなければならない。
(3)BOIの投資奨励対象業種で、BOIが認める投資規模であるもの。
(4)移転の奨励証書が発給されてから2年以内に移転すること(既存の工場を閉鎖)。
(5)特典の内容は以下の通り(2005年1月1日から2014年12月31日までに申請される場合)。
1)第2ゾーンの工業団地に移転した場合、法人所得税が7年間免除される(レム
チャパン工業団地とラヨン県内の工業団地を除く)。
2)第3ゾーンの工業団地、レムチャパン工業団地、ラヨン県内の工業団地に移転
した場合、
1)法人所得税が8年間免除される。
2)法人所得税免除期間終了後5年間、法人所得税が50%減税される。
3)収益が生じた日から10年間、輸送費、電気代、水道代の2倍まで控除できる。
4)インフラストラクチュアーの設置、建設への資本投下の25%までを純利益から通常の減価償却に加えて控除することができる。所得が生じた日から10年間のどの年の利益からでも控除、数年にわたって控除することもできる。

VIII 法人所得税の免税について(原則、免税累積額が土地代と運転資金を除く投資額に達したとき免税措置は打ち切られる)

1.投資額と法人所得税免税限度額
法人所得税免税期間についてはゾーンごとに異なることについては前述の通りであるが、免税累積額が土地と運転資金を除く投資額に達したときに免税措置は打切られる新しい措置が2001年12月1日から認可される事業について導入された。
これは、2001年12月1日付BOI事務局告示P.12/2544によるもので、土地代と運転資金を除く投資額に免税累積額が達したとき、ゾーンごとの原則による免税期間中であっても免税措置は原則として打切られるのである。ただし、例外も多くなっているので、付録の奨励業種表を参照のこと。
土地代と運転資金を除く投資額については、投資額の定義が2002年1月28日付BOI事務局告示P.1/2545により以下のものが土地代、運転資金を除く投資額である。
(1)建設費
1)事務所、工場、公共施設、インフラの建設、補修費
2)建物の購入費、またはすでにある建物を使用する場合、奨励申請前の会計年度の最終
価格のいずれか
3)建物または工場を賃借する場合、賃借料で賃借期間が3年を超えるもの(タイでは民
商法典の規定により3年を超える不動産の賃貸借は契約書を登記しなければ効力がな
いこともあり、3年以下が通常であるのでBOIと相談すること)
(2)機械・設備購入費、据付費、試運転費で以下のもの
1)機械・設備の購入費には以下を含む
機械・設備代、据付費、試運転費、技術費、設計費、またソフトウエアーと電子商業
の場合はコンピュータとプログラム代を含む
2)ハイヤーパーチェス(タイ式の分割払い)、またはリースの場合は、ハイヤーパーチェス契約代金またはリース契約代金
3)機械・設備を賃借する場合、1年を超える賃借契約の金額
4)関係会社から無償で借り、奨励申請書に記載されている場合、関係会社の帳簿価格。
その場合、申請時の為替レートを使用する。
5)抵当権による場合、簿価を使用する。
以上について、工場移転の奨励申請の場合は機械・設備の価格は含めない。
(3)操業費、開業費
会社設立費用で旅費、弁護士費、手数料などを含む。
(4)その他の費用
1)新規に設立した場合、移転について奨励を申請する場合、事務所内設備費、車両購入費
2)政府へ支払う天然資源利用のコンセッション費、その他の関係資産にかかる費用

2.法人所得税免税特典使用のための報告と申請
2001年7月3日付BOI事務局告示P.4/2544により、奨励証書に免税特典使用のための報告と申請を条件付けられているものについては、2001年度からBOI事務局が定める様式に従って事業実施報告と免税特典申請書(報告書と申請書は一緒になっている)を提出しなければならなくなった。
その概要は、上記告示では以下の通り(様式は2006年1月10日付BOI事務局告示P.1/2549で変更されている。)。
(1)報告の内容
1)機械・設備の状況
2)製造の状況
3)販売量と販売額
(2)会計年度終了後120日以内に、公認会計士の検査報告を付して報告申請すること。
(3)事務局は報告書を検査したあと、会計年度終了後150日までに税務署へ申告できるよ
う結果を被奨励者へ文書で通知する。
(注:タイの非公開株式会社法では公認会計士監査済みの財務諸表を総会で承認、年度
末から4か月以内に商務省へ報告することになっている。法人所得税の申告納税は
会計年度末から150日以内である)

3.奨励事業にかかる損益の計算について
これについては、基本的な事項は1987年2月5日付国税局告示で定めてある。重要な部分を要約すれば以下の通りである。
(1)免税特典を受けている事業の以下の利益は免税となる。
1)奨励証書に記載された生産量、役務の量を超えない製品、役務の販売から生じた利

(筆者注:奨励証書に記載された生産量、役務量を超えた分からの利益は免税対象
とはならないので、超える可能性がある場合はBOI事務局と相談すること)
2)奨励証書に記載された品目と量に基づく副産物(作業くず、不良品を含む)、
半製品の販売からの利益
3)奨励事業で使用済みで効率が落ちた機械などを、BOIと国税局の同意により売却処分したときの売却益
4)奨励事業の事業遂行から生じた利息、その他の利益(BOIと国税局の同意が必要)
5)免税期間中の純損失は、免税期間終了後の5年間のどの年度の純利益からでも(多
年度にわたっても)控除することができる(税法上は当期より前5期の損失は当期
の純利益から控除可能となっているが、BOIの場合は、例えば8年間の免税期間があ
る場合初年度は8期前であるが、初年度に損失があれば免税期間終了後の第9期以
降5期の純利益から控除できる。それにより免税期間中の損失があれば免税期間が
実質的に伸びることになる)。
(2)免税期間中に発生した利益からの配当で、免税期間中に配当される配当は免税
(免税期間は最初に収益が発生した日から始まるので、会計期間とは異な
ることに注意)
(3)被奨励者が免税特典を受けている事業と受けていない事業を営んでいる場合
1)合算して純利益がある場合
(イ)両方に純利益がある場合、受けていない事業からの純利益は納税
(ロ)受けていない事業に純利益があり、受けている事業に純損失があり、受けてい
ない事業の純利益が、受けている事業の純損失を上回る場合、両方を合算した
純利益は納税
(ハ)受けている事業に純利益があり、受けていない事業に純損失がある場合、受け
ている事業の純利益が受けていない事業の純損失を上回る場合、納税の必要は
ない。
2)合算して純利益がない場合
受けていない事業に純利益があっても、納税の必要はない。

IX 機械に関する輸入税の免除および減税(奨励事業にのみ使用すること)

1.機械に含まれるものの定義
1999年11月12日付BOI事務局告示P.7/2542ではBOIの各種告示等でいう機械には以下のものが含まれることになっている。これらは、機械本体と別に輸入されても輸入税は減免される。
(1)Components
それがないと機械が動かないもので以下のものを含む。
Motor, Forklift wheels, Conveyer belts, Sewing machine tables, Printing roller,
Computer unit, Control panel
また、試運転に使用されるものも含む。
(2)Equipment
なくても機械は動くが、なければ機能を果たさないもので以下を含む
Chucks, Bits, Footdrops, Sewing machine needles, Lathes, Soldering iron tips,
Machinery software, Automatic feeding devices, Mold and Dies, Jigs and Fixtures,
Capillary tubes, Testing boards
(3)Molds and Dies
以下を含む。
Molds, Punches, Dies, Punching dies, Formers, Last, Patterns, E-pines, Core pins
(4)Tools
以下を含む。
Hammers, Wrenches, Scissors, Screwdrivers, Small electric drills, Manuals, Blue
prints
(5)Pre-fabricated factory structures
(6)Spare parts

2.一般原則、タイで製造されている機械は輸入税減免特典なし
BOI事務局告示P.1/2548(2005年)の2.1により、機械は奨励証書発行の日から原則30ヶ月以内に輸入しなければならない(土地代と運転資金を除く投資額が5億バーツ以上の場合は例外)。ただし、同告示により奨励申請が行われた日まで遡ることは許される。
また、タイで製造されている機械は輸入税の減免処置を受けて輸入することはできないので注意すること。
機械および設備は、奨励プロジェクトの生産工程に直接使用されなくてはならない。生産工程には、製品デザイン、製造、検査および品質の管理から、製品の運送のため運輸機器に積載までとする。
生産工程に直接使用されないが、工場建設、通信、事務用、公害汚染防止、省エネルギーのための研究・開発、補修(メンテナンス)、安全や工場警備のために必要とされる機械は、免税または減免が許可される。
機械を構成する部分および装備は、例えば、機械と合わせて売買され、取り外し分離ができないボルト(bo1t)やナット(nut)、電線のようなパーツは機械と同様、免除および減免が許可される。
奨励証書に記載された年間生産量は、この生産量までについての法人所得税は減免税であるが、それを超えた場合、超えた部分の利益は減免税にならないので注意すること。
機械のスペア・パーツに関し、奨励証書に規定している奨励証書発給後30ヶ月の機械設備類の輸入期間内であれば、機械と一緒に輸入するか否かを問わず、税または関税の免除および減税が許可される。

3.中古機械の使用に関する規定
BOI認可事業に使用される機械は奨励証書にもある通り、国産、輸入品を問わず最新鋭のものであることが条件となっているが、中古機械も第三者の検査機関が証明すれば、輸入税減免の恩典を受けて輸入できることになっている。これについては、2003年1月30日に、BOI告示P.2/2006が出され、製造から10年以上経った中古機械は原則として輸入税の減免を受けることはできないことが明確に打ち出されている。
この告示による中古機械の能力証明の内容は以下の通りである。
—————————————————
1.投資奨励法第28条または第29条により輸入税の減免を受ける中古機械は製造から申請時まで10年を超えたものであってはならない。ただし、以下のものの使用年数は、その適合性から審査する。
1.1輸入時から1年以内で、据付、製造のテスト、試験、建設、製造に使用されるもので、1年経過したとき送り返されるもの。ただし期限の延長は認められることもある。
1.2関係政府機関の事前了承を得て、遠洋漁業、船舶運輸、航空運輸に使用される中古の機
械と運輸機器。
1.3金型、型、その他同様のものでMo1d, Die, Jig, Fixture, Patternなど。
2.第28条または第29条に基づく輸入税の減免特典が受けられる機械は、製造年から、投資奨励申請を行う年まで10年を超える中古機械は、完全に修復され完全に使用可能なもので、信頼できる機関から能力の証明がある場合以外には原則として認められない。また、投資委員会の同意を得なければならない。
3製造場所の移転のため中古機械を輸入する場合、外国から工場全部の移転を行うか、製造工程全体を移転するものであること。また、既存の顧客の利便のため製造場所を移転するものでなければならない。機械の使用年数についてもその可能性を委員会は審査する。
4中古機械の能力を証明する機関は、検査、機械の能力の試験を行うもので、国内外で国際的な評価を受けている信頼できる機関を意味する。
5中古機械の能力証明は機械の信頼できる機関の証明書を意味する。内容は、修復の詳細に関する証拠書類を付した修復の報告と証明であること。また、機械、設備の検査を行う場合、機械の能力と機能を、マニュアルに従って完全に行い、試運転をしなければならない。更に、環境への影響と安全性について、以下の5項目を記載すること。
5.1Re-Conditioned Status or Residua1 Life Eva1uation Resu1t
5,2製造年(Year of Manufacture)
5.3試運転の結果(Test Run Resu1t)
5.4環境および安全性検査の報告(Emission and Safety Report)
5-5検査結果の報告と検査の日と場所(Inspection Report, Date and P1ace of Inspection)
以上について、証明書は、投資奨励申請書、事業変更申請書、機械輸入期間の延長申請書の提出日から1年を超えないものであること。
6事業に使用するための中古機械の輸入許可申請は、信頼に足る機関の機械状態の証明書を添付しなければならない。ただし、1.1,1.2および1.3を除く。
7輸入税減免の恩典を受ける中古機械はタイ国内で製造、組み立てられているものであってはならない。
8この原則は、投資委員会は変更することもあり、中古機械の使用年数についても種類によって特別に定めることもある。
9この告示に疑問が起きた場合、投資委員会が判断する。
———————————————————————–
4.機械の輸入税減免、付加価値税(VAT)について

(1)輸入税
まず、輸入税の減免を受けるすべての機械のマスターリストを作成し、BOI事務局機械委員会の許可を受けたあと、個々の機械を事業の進捗に合せて輸入することになる。
マスターリストの承認を受けて、実際に輸入する場合の手続きには、インボイス写し、パッキングリスト写し、中古機械の能力証明書を、機械輸入税の減免許可申請フォームとその申請理由と合せて自社を担当する投資促進部に提出する。BOI事務局は、7労働日内に検討することになっている。許可後BOI事務局は関税局あてに輸入税減免の書面を発給する。その後、申請者は関税局で通関手続きを行う。
奨励証書発給前の機械設備の輸入申請に関しては、すでに投資奨励の認可が下りて、かつ認可受理の回答を出している被奨励企業のみに対して、BOI事務局は、輸入税を支払う代わりに銀行保証の使用を認めている。被奨励企業は、インボイス写しやパッキングリストの写しを銀行保証使用の許可申請フォームと一緒に各担当投資促進部に提出する。BOI事務局は、3労働日内に検討を完了させることになっている。
輸入税の減免税措置を受けて輸入した機械・設備は奨励を受けた事業のみに使用することが条件になっており、奨励証書の条件の欄にもそのように記載されている。

(2)付加価値税(Value Added Tax-VAT)
付加価値税は�@物品の販売、�A役務の提供、�B輸入に課される租税であるから、機械の輸入についても本来は輸入者が輸入時に関税局へVATを納付する必要がある。このVATは輸入者が国税法典の規定により事業者登録をしておれば仕入税として還付されるものである。
投資奨励法では、輸入税の減免税には触れているがVATについては触れていない。つまりBOIはVATの免税許可の権限は有しないのである。しかし、BOIから税関あてに発行される文書には、BOIが保証する旨が記載されているので、輸入税全額免税の場合も50%減税の場合もBOIの文書によりVATの納付と還付が書類上で同時に行われ、VATを納付する必要はない。その場合、国税法典第83/8条で投資奨励法に基づく保証の差入れ、保証の解除であり、1991年12月27日付VATに関する国税局長告示20号3項においてBOIの文書により銀行保証に代えるという規定が設けられている。

5.輸入税を減免された機械のリースバックについて
奨励証書の条件欄には輸入税を減免されて輸入された機械をBOIの許可なく譲渡することは禁止されている。
しかし、財務上の理由によりリースを利用することは一般的に行われていることである。
そこで、BOIは一旦減免措置により輸入した機械をリース会社に売却してリースバック、またはハイヤーパーチェス(タイの民商法典に規定があり、分割払いの売買で、一定金額を払込むまで所有権は売り手にある。一種の割賦販売)で購入することは許可されている。その場合の条件は、1998年7月29日付BOI事務局告示P.6/2541で以下の通り定められている。
(1)機械の譲渡許可申請をBOI事務局に対して行う。
(2)当該機械の輸入日から5年以上奨励事業に使用すること。
(3)輸入日から5年以内に被奨励者の特典または奨励証書が取消された場合、被奨励者は輸入税を納付しなければならない。
(4)当該機械の輸入日から5年以内に、リース契約、ハイヤーパーチェス契約違反で売
り手が機械を引き揚げた場合、その日から1ヶ月以内にBOI事務局へ報告し、リ
ース業者またはハイヤーパーチェス業者は引き揚げた日に当該機械の輸入税減免
の特典が取消されたとみなされ、輸入税を納付しなければならない。

6.使用済み機械の処分
これについては、BOI事務局告示P.3/2538(1995年)があり、使用期間が5年を過ぎ、効率を失ったものは、機械リストから削除することができ、輸入のとき免除された輸入税は納付することなく処分することができる。
そのためには、機械リストリスト削除をBOI事務局に申請しなければあらない。
もちろん、5年過ぎても十分に効率のあるものは、そのまま使用を続けることになるが、減価償却が済んで、オーバーホールして使用価値が戻ったものはタイの会計基準に沿って再評価して、新しい簿価により減価償却することになる。
奨励事業で使用済みとなり処分する機械、部分品等を売却したときの売却益については、1987年2月5日付国税局告示「投資奨励を受けている企業の損益の計算について」の2.3により法人所得税は免税となる。

7.R&Dと公害防止機器の輸入税免税
これらについては、2002年8月22日付BOI事務局告示P.3/2545の6(本告示は2005年1月18日付告示P.1/2548で改正)により、機械の輸入税減免による輸入期限が過ぎても、業種に関係なく奨励を受けている期間中(法人所得税免税期間が切れても、BOIの奨励は取消されない限り継続する)、減免税による輸入が可能となっている。詳細はBOI事務局と相談すること。

X 原材料の取扱い(輸出製品用原材料の輸入税は免税)

1. 輸出製品用原材料の輸入税免税
タイ国の関税法19の2条により、タイ国へ輸入されたものが、そのままか加工されて1年以内に輸出される場合、輸入税は免除される。ただし、税関へ保証金を差し入れて輸入し、輸出されたときに輸出証明により保証金を返却して貰うという方法による。税関で行うこの方式による輸入は在タイ日本人の間ではビス19条と呼ばれている。保証金は銀行保証が通常使用されている。
BOI奨励事業の場合は、奨励証書にも記載されているように輸出製品用の原材料は輸入時から輸入税は免税となるので保証金(通常銀行保障)は不要で、余計な運転資金は不要となる。
ただし、製品であれば輸入時と再輸出時の形態は同一であるので、再輸出時の通関は簡単であるが、原材料が輸入され、それが加工されて輸出される場合、輸入時と輸出時の形態はまったく異なる物となる。そのため、製品1単位に使用される各原材料の使用単位を表にして(フォーミュラと呼ばれている)、BOI事務局で承認してもらい、一定製品量に見合う原材料の輸入を認めて貰い、輸入する。輸入された各原材料はフォーミュラに記帳される。この際、認めてもらった最大限の輸入量をマックスストックと呼んでいる。
その原材料が加工されて輸出されれば、輸出証明(ブルーコーナーと呼ばれている)に基づき、当初記帳されたマックスストックから輸出された製品の量に見合う原材料の量を帳簿から消しこむ(これをカットストックと呼んでいる)という方法を原材料の輸入、製品の輸出のたびに繰返すという方法でコントロールされる。
この方法は税関でもBOIでも同様であるが、BOI奨励事業の場合、輸入税は免税となるので保証金を差入れる必要はないのである。

2.プラスチック製品のフォーミュラの承認
タイの政府は民間に委託できるものは委託する方針であるが、この方針に沿って、プラスチック製品のフォーミュラの承認については、2004年10月14日付BOI事務局告示P.8/2547で、タイ産業連盟(Federation of Thai Industries)に審査と証明の権限を与えている。
タイ産業連盟は申請後7日以内に審査を終えてBOI事務局へ報告しなければならないと定められており、また審査費用はタイ産業連盟が定めることになっている。

3.既存企業に対する輸出製品用原材料輸入税の免税措置
輸出製品用原材料の輸入税免税措置は、BOI認可事業に対する特典であるが、それ以外の企業(BOIは原則新規事業を奨励する)にもこの特典を与えて輸出競争力をつけることを目的に下記の産業について免税措置を与えている。これは2010年4月23日付BOI告示3/2553に基づくものである。
(1)対象産業
1)車両部品
2)プラスチック製品またはプラスチック被覆製品
3)エレクトロニクス製品および部品
4)電気製品および部品
(2)条件
この特典を受ける企業は協会またはBOI事務局が認める機関からの証明が必要
(注:この告示には協会、関係機関を具体的に記載されていないので、詳細は事務局へ照
会すること)

4.原材料のくずの処分について
まず、前述のフォーミュラの承認にはくず、ロスも考慮に入れるのであるが、切削くずのように加工工程で生ずるくずの販売益も法人所得税の免税期間中は免税となることが奨励証書でうたわれているが、処分に当たってはBOIの実地調査による許可が必要である。ただし、その事務は民間企業に委託されている。
このくず、ロスの処分については2000年7月24日付BOI事務局告示P.5/2543で概要以下のように定められている
(1) 原材料帳簿からの削除(カットストック)を申請(種類、量、価格、ロス、くずの原因を付す)
(2) 以下の4方法により処分する。
1)破壊
2)寄付(BOI事務局、寄贈する関係部局の管理下におく)
3)輸出
4)商業的価値のある物は、その時点の輸入税率による輸入税を納付して販売する
(3)商業的価値のある物の販売益は奨励証書でも法人所得税免税期間中であれば法人所得税は免税となる。これについては1987年2月5日付国税局告示「投資奨励を受けた企業の純損益の計算方法」の2.2項で奨励証書に記載された年間生産量の範囲内で生じた副産物、半製品、(製造工程から生ずるくずも奨励証書では免税と定められている)の販売益は法人所得税が免税になると定められている。
くず、不良品の検査証明については、2004年5月31日付BOI事務局告示P.2/2547で以下の資格を有する企業に委託されている。
(1)品質、量についての検査を行う法人であること
(2)International Federation of Inspection Agencies(IFIA)の会員であること
(3)外国人の法人である場合(訳者注:外国人の持分が50%以上)、商務省のDepartment
of Business Development の事業許可を得ること。そして許可が与えられたら官報で
告示される。

5.輸出製品用原材料輸入時の付加価値税(VAT)
投資奨励法では、輸入税の免除は認められているが、付加価値税の免税は定められておらず、本来、輸入時のVATは納付する必要があるのであるが、BOIから関税局への文書により仕入税(輸入時)の還付は書類上で行われ、仕入税は納付する必要がない。これは、前述の機械・設備の輸入時のVATと同様の扱いである。

XI 特別奨励の事業(目標事業、省エネ、新製品のための技術改良、公害防止)

BOIは近年表題の事業について期限つきで個別に奨励していたが2010年4月23日付BOI告示2(2553)により取りまとめて以下のように奨励策を発表している。
1.目標とする事業(農産物からの燃料、Eco-Friendly Chemical, Products 、高度な技術を要する事業など)
(1)バンコク都を除く全国を対象とし、2012年12月31日までに申請すること。
(2)奨励策
1)機械の輸入税の免除
2)法人所得税を8年間免除(上限を設けない)
3)法人所得税免税期間終了後5年間は通常の税率の50%(免税措置を受けていない場合は
奨励事業から所得が得られた日から)
4)奨励事業から所得が得られた日から10年間、輸送、電力、水道の経費の2倍まで控除できる。
5)インフラストラクチュアー設置、建設費の25%を奨励事業から利所得が得られた日から10
年間、通常の減価償却に加えて純利益から控除できる。その場合、どの年の純利益からも、数年にわたっても控除できる。
(3)対象業種(業種番号はBOIの奨励対象業種表の番号)
1)省エネ、代替エネに関するグループ
1.18 農産物(くず、廃棄物を含む)からアルコールを製造する事業
4.2.3 エネルギーを節約し、代替する機械、器具を製造する事業
4.15 Fuel Cellを製造する事業
7.1.1 発電、蒸気の製造
農産物、生物起源、風力による発電など
2)環境に優しい事業グループ
6.3 Eco-Friendly Chemicals
6.4 Eco-Friendly Products
3)高度な技術を要する事業グループ
1.11.10 Medical Food
1.5.3 Advanced Ceramics
2.19 Manufactured Nano Material
3.1.1 Functional Fiber
3.9 医療器具製造
3.10 科学機器の製造
4.2.1 技術設計による機械、器具、部品の製造
4.2.2 Farm Machinery, Food Processing Machinery
4.2.4 金型の製造、修理(金型と部品の製造に限る)
4.9 航空機の製造、修理
4.10 Automatic Transmission, Continuously Variable Transmission(CVT),
Hybrid またはFuel Cellなどの車両のTraction Motor
Electronic Stability Control(ESC)
Regenerative Braking System
車両のタイヤ
5.4.3 工業用エレクトロニクス製品の製造
5.4.4 テレコミュニケーション機器の製造
5.5.1 半導体の製造
5.5.2 HDD, SDDとそれらの部品
5.5.4 テレコミュニケーション用機器の部品の製造
5.5.5 医療用エレクトロニクス製品の部品の製造
5.5.6農業用エレクトロニクス製品の部品の製造
5.5.7車両用エレクトロニクス製品の部品の製造
5.5.10 太陽光電池およびその部品の製造
5.5.12 Plate Panel Display
5.6 マイクロエレクトロニクス用材料、基盤の製造
5.7 エレクトロニクス製品の設計
7.18 人材開発
7.19 Biotechnology
7.20 研究、開発
7.21 科学実験サービス
7.22 Calibration

2.エネルギーを節約、代替エネルギーを使用するもの、環境への影響を少なくするもの
(1)2012年12月31日までに申請し、奨励証書発給の日から3年以内に完了すること。
(2)奨励対象事業
1)投資奨励を受けているか否かにかかわらず、すでに開始している事業。奨励を受けていないものについては委員会が奨励している業種であること。
2)投資奨励を受けて操業している事業は、法人所得税免税、減税の期間が過ぎているもの。または法人所得税の免税措置を受けていないもの
3)事業についてエネルギー節約するもの、代替エネルギーを使用するもの、環境に対する負荷を軽くするために機械を変更するもので以下の条件に従うこと。
エネルギーを規定まで節約するように機械を最新の技術に合わせて変更するための投資をしなければならない。
エネルギーを規定まで代替するように機械を変更するために投資をしなければならない。
廃棄物、排水、排気の量を規定まで下げて環境への負荷を下げるよう機械の変更するための投資をしなければならない。
(3)奨励策
1)機械の輸入税免除
2)すでに開始している事業からの利益に対して法人所得税を3年間、投資額(土地代と運転資金を除く)の70%まで免除する。
3)法人所得税免除の期間は奨励証書の発給を受けたあと所得が得られた日から起算する。

3.新製品製造のため技術を革新して能率を向上させるもの
(1)2012年12月31日までに申請
(2)奨励策
1)機械の輸入税の免除
2)生産工程を改良のための投資額の100%まで新製品からの利益から3年間法人所得税
を免除
(3)奨励対象事業
1)奨励を受けているか否かに関係なくすでに開始している事業であること
2)旧工程を改良のために最新技術の機械に投資すること
3)新製品は、旧製品と明確に区別可能な名称をつけられるもので、法人所得税の免税が可能な範疇にあること
4)工程の改良は、製品の組立工程を含まないこと

4.環境問題を改善するもの
(1)2010年3月10日から2012年12月31日までに投資奨励申請を行うこと
(2)奨励策
1)環境負荷を減少させるための機械の改良について、機械の輸入税の免除
2)すでに開始している事業からの利益について、法人所得税を改良に要した投資額(土地代と運転資金を除く)の70%まで、3年間免除する。
3)免税期間の計算は奨励証書を受給されてから最初の所得が得られた日から起算する。
(3)奨励対象事業
1)政府機関が定める基準に基づく環境改良を行うもので、公害物質が法律に定められ、以下の事業を行うもの
石油精製所
天然ガス分離工場
発電所
化学、ペトロケミカル工場
鉱物および基本金属工場
2)投資奨励を受けているか否かに関係なくすでに開始していること

XII 電子、電気機器に対する特別奨励(機械輸入税と法人所得税免除の特例)

1.能率向上、競争力強化のための機械取替えの特典

BOIはこの業種は需要産業ととらえて特別な奨励を与えているが、機械の輸入税は、原則として奨励証書発給後30か月以内に輸入することになっているのであるが、それを過ぎても技術の革新により機械の導入が必要であることに対応して、以下のような告示により投資奨励期間が継続している期間(法人所得税減免税の期間が過ぎても、BOIの投資奨励は、たとえば外国人就労許可など奨励が取消されるようなことがない限り続いているのである。)を通して輸入税を減免して輸入できる道を開くと同時に法人所得税についても一般原則と異なる措置を設けているので以下BOIの告示を紹介する。

2006年3月30日付BOI告示6/2549により、投資奨励を受けているエレクトロニクス、電気機器に使用する機械は、能率向上のために機械を取替える場合、投資奨励を受けている期間を通して輸入税は免税となる。2005年12月8日から発効している。
なお、取替えて不用となった機械の処分益については、本節6.により法人所得税は免税となるので詳細はBOI事務局と相談されたい。

2.エレクトロニクス、電気機器に対する奨励策
2006年3月20日付BOI告示4/2549で公布されているもので、2005年12月8日から施行されている。
従来のHDDとSemiconductorの奨励策を廃止して、新たにエレクトロニクス、電気機器全体について以下のように奨励策を設けている。
(1)対象業種はBOIが公表している投資奨励業種表の中でエレクトロニクス、電気製品の範疇に入るもので、BOIが対象外としているものを除く。
(2)奨励策の内容
1)全ゾーンにおいて奨励を受けている期間を通して機械の輸入税免除
2)立地により以下の法人所得税免除
第1ゾーンに立地する場合
法人所得税を5年間免除
(注;本来ならば工業団地に立地する場合3年間免除、団地外は免税なし)
第2ゾーンに立地する場合
a:工業団地外
法人所得税を6年間免除
(注:本来団地外であれば5年間)
b:工業団地内であれば7年間
(注;2014年12月31日までに適用される各業種の経過措置と同じ)
第3ゾーンの工業団地内外に立地すれば
法人所得税を8年間免除
(3)IC製造用機械、HDD製造用機械、HDD部品製造用機械の改善のための投資は投資奨励を受けた事業の一部とみなされる。
(4)奨励を受けたがまだ所得が発生していない場合、上記の奨励を申請することができる。
(上記の奨励を受けるまえに一般の奨励内容で奨励を受けたが、上記の奨励の方が得な
ので、上記の奨励を受けたい場合、まだ所得が発生していなければ上記の奨励を申請で
きる)

3.エレクトロニクス、電気機器の長期投資事業に対する奨励
2006年3月20日付BOI告示5/2549で公布され、2005年12月20日に施行されているものであるが、投資規模(土地代と運転資金を除く)は150億バーツ以上で、長期にわたりサプライチェーンを構築するものである。
ここでは詳細説明しないが、関心の向きはBOI事務局に相談すること。

XIII 土地所有申請のための手続き(外国人持分が49%を超えても可能)

一般に外国人はタイで土地所有ができないといわれているが、それは土地法典57条で、法人の場合は資本持分が全資本の49%を超えるか、外国人株主数が株主数の半数を超えている企業は外国籍個人と同様土地の所有は制限されているからである。ただし、奨励事業に使用する土地については、投資奨励法の27条により、所有が認められる。所有申請は、所在地の地図、建設計画、および土地権利証書を添付の上、担当のIncentive Management Division に対して行うことになっている。
BOIから承認の文書を受領したら、その土地が所在する地区の土地局に、奨励証書を提示して登記の申請をすることになる。
奨励事業が、事業を廃止した場合には、BOI事務局に通知し、その土地は廃止の日から1年以内に売却しなければならない。
承認された土地は、奨励事業のためにのみ使用することが奨励証書の条件欄に記載されているので、原則として他人に貸すことはできないがBOI事務局と相談すること。
なお、2001年8月20日付BOI告示4/2544では、BOI奨励外国法人の所有する工場用地とは別に、次の土地所有を許可している。
事業の事務所用土地として5ライ以下(1ライ約1600平方メートル)
管理者または技能者の住居用地として10ライ以下
労働者の住宅用としては20ライ以下