ニュース 22号 (200326)

SME MULTI CONSULTANT ニュース 22号(200326)

タイの法令の新しい話題を簡潔にまとめ、月一回のペースで送信いたします。(西暦 = 仏暦 − 543)

1.タイ政府がコロナ対策で非常事態宣言、本日(200326)施行:

ここまでの経緯はSME MULTI CONSULTANTニュース19号からSME MULTI CONSULTANTニュース21号をご参照下さい。

昨日(200325)付けでプラユット首相が署名し、ただちにタイ政府内閣府ホームページに掲載された「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第5条に基づく)タイ全国を対象とする非常事態宣言」のポイントは下記のとおりです。

新型コロナウィルス(COVID-19)感染症は(タイの伝染病法による)危険伝染病であり、現時点でワクチンや完全な治療薬が存在せず、世界中で多数の感染者と死者が発生し、世界保健機構(WHO)がパンデミック(世界的大流行)宣言を行い、さらにアセアン諸国に対して厳重な対策を要請してきた。したがって同感染症は、国家の治安と国民の安全に対する脅威となっており厳重かつ迅速な対策を要しており、ウィルスの蔓延を阻止するのみならず、監視・防疫処置・治療に必要な物資の確保、国民の生活物資・消費財の確保により国民の安全と通常の生活の維持を図るための強力な措置が必要となっている。

かかる事態に鑑み、内閣の助言の下、総理大臣が「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第5条に基づく)タイ全国を対象とする非常事態宣言」ならびに「南部国境沿い重点地域非常事態宣言」を発令し、200326から200430の期間これを施行する。

ちなみに、非常事態宣言発令日(200325)のタイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況(内閣府ホームページ)は、感染934人、回復70人、治療中860人、死亡4人。

2.タイ政府がコロナ非常事態宣言施行規則第1号を発令、本日(200326)施行:

昨日(200325)付けでプラユット首相が署名し、同日付で官報に掲載され、本日(200326)から施行される「(タイ全土を対象とする非常事態宣言の根拠法たる)仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第9条(および仏暦2534年国家行政規則法第11条)に基づく施行規則」のポイントは下記のとおりです。

官報(タイ語) http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2563/E/069/T_0010.PDF

第1項 先の仏暦2558年伝染病法に基づく200317付け閣議決定、バンコク都知事、各県知事、伝染病対策官が指定した危険地区進入禁止措置の追認。第11項遵守。

第2項 仏暦2558年伝染病法第35条(1)に基づきバンコク都知事、各県知事が指定しなければならない「閉鎖対象の場所」: (1)全国のボクシング場、スポーツ・競技場、遊園地、競馬場は当面閉鎖。 (2)バンコク都、ノンタブリ県、パトムタニ県、ナコンパトム県、サムットプラカン県、サムットサーコン県のパブ、娯楽施設、演芸場、劇場、展示場、入浴施設、タイ式マッサージ、スパ、フィットネス、風俗営業施設は当面閉鎖。 (3)自然景勝地、博物館、図書館、宗教施設、バスターミナル、市場、百貨店についてはバンコク都、各県知事が県伝染病対策委員会の助言により限定的に閉鎖。第11項遵守。

第3項 入国地点(空路・陸路・水路)の当面閉鎖。例外: (1)首相または非常事態対策当局の特別許可取得者。 (2)物流担当者(業務完了後ただちに出国)。 (3)交通機関の乗組員(出国予定明確のこと)。 (4)外交官・国際公務員・公用(家族を含む)。 (5)タイの就労許可を持つ外国人・無国籍者。 (6)タイ国籍者(事前にタイ大使館に連絡)。 なお、(4)(5)(6)は72時間以内発行の非感染証明書を搭乗前に提示。入国管理官に入国拒否権あり。第11項遵守。

第4項 医薬品・医療器具・食料品など生活必需品の買占め禁止。仏暦2542年商品サービス価格法の対象品は特に厳密に品質・数量・価格・輸出規制。仏暦2497年物資買占め調査法による立入調査。

第5項 人の密集区域内での集会・行事または治安を乱す行為の禁止。

第6項 新型コロナウィルス(COVID-19)にかかる偽ニュース拡散や情報操作の禁止。治安や公序良俗に反する場合、仏暦2550年コンピュータ不法行為法、仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令を適用。政府の「新型コロナウィルス(COVID-19)非常事態対策センター」が報道機関を通じて広報活動を実施。

第7項 対策準備体制: (1)バンコク都知事・各県知事が担当都県の総合指揮権を持ち、問題発生時は内務省に連絡。 (2)各省庁部局は原則として自前予算で支援広報活動を行う。 (3)官民の医療機関とその支援機関は厚生省基準に基づき人員・医薬品・医療器具・検査器具・酸素吸入器を揃え、隔離施設・観察施設を確保する。感染者数増加によりホテル・学校・大学・会議場・宗教施設・寺院の講堂・未使用民間施設を仮設病院化する。 (4)自己観察命令を受けた者・他県からの侵入者が自己観察する期間、伝染病対策官または知事が任命した対策員による立入調査と指導。

第8項 要特別配慮者の外出規制(通院等を除く): (1)70歳以上の高齢者。 (2)持病(糖尿病・高血圧症・心臓/脳血管・呼吸器疾患・低免疫力)ある者。 (3)5歳以下の子供。 第11項遵守。

第9項 仕事がない/永住許可がない外国人のビザ審査は厳格化する。出国を希望する、永住許可がない外国人・無国籍者には伝染病法上の対策付きで出国を優遇する。第11項遵守。

第10項 治安維持の対応: バンコク都では警察庁が担当、各県では警察・軍・ボランティアが担当し、路上検問・駅やバスターミナルの警備と防犯にあたる。特に新型コロナウィルス(COVID-19)の蔓延防止、便乗いやがらせ等、ウィルス拡散者の監視。違反者は法律に基づき罰する。

第11項 予防方法: (1)毎日、床や壁の拭き掃除、ごみ処理。 (2)マスク着用。 (3)石鹸・アルコール・消毒薬で手洗い。 (4)他の人と1メートル以上の間隔保持。 (5)行事の人数制限・時間制限・接触回避。担当官は該当者に対し、行動追跡アプリや伝染病法に基づく14日以上の自己観察を指導できる。

第12項 操業可能な事業所: 病院、看護施設、診療所、薬局、(接客業ではない)飲食店・屋台の持ち帰り販売のみ、ホテルの宿泊・食事施設のみ、コンビニ、一般小売商、ショッピングセンターのスーパーマーケット・薬局・食料品売り場・生活必需品売り場のみ、工場、証券会社、金融機関、銀行、ATM、市場・定期市の生鮮食品・加工食品・惣菜・ペットフード・医薬品医療器具・生活必需品売り場のみ、燃料・ガス店、ガソリン(ガス)スタンド、運輸・物流サービス、食品ホームデリバリー、官公署、公社公団、(学校等すでに閉鎖中の機関を除く)公的機関。第11項遵守。

第13項 県境を越える移動の制限: 県境で交通検問がある。担当官は該当者に自宅観察や隔離の決定権限あり。在宅勤務を推奨。

第14項 その他の行事の制限: 結婚式、法事、葬儀、ソンクラーン祭、家族行事、公式行事は禁止しないが、第11条遵守。

第15項 罰則: 仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第18条、仏暦2558年伝染病法第52条、仏暦2542年商品サービス価格法第41条の刑事罰適用。

第16項 この施行規則は、首相により追加削除変更あり、その都度、官報に掲載。

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*当事務所の対策状況:

コロナウィルス(COVID-19)対策のため小社では当面の期間、下記のとおり万全対策を行っております。お客様各位のご協力を賜り、まことにありがとうございます。

お客様対応はテレビ会議(Web会議)・eメール・電話に「全てを切り替え済み」です(対面式の会議は当面の間、自粛させていただきます)。

しばらくご不便をおかけすることなり、誠に恐縮に存じますが、一致協力してこの難関を突破して参りましょう。

以上です(上記は作成した時点でのご参考情報です。実際の運用の際は再度ご確認のほどお願いいたします。なお、西暦 = 仏暦 – 543です)


御社のご盛業を!日タイ経済産業連携と両国の永続的な友好関係を祈念して!

SME MULTI CONSULTANT CO., LTD.

川島和士 (KAZUSHI KAWASHIMA)