ニュース53号(210201)

SME MULTI CONSULTANT ニュース53号(210201

タイ法令の新しい話題を簡潔にまとめてお伝えします。バックナンバーはhttp://www.thaibiz.jp/?page_id=2551

1.タイCCSA(COVID-19対策本部)による最近のコロナ対策:

①「仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第9条に基づく 施行規則第17号(210106官報公示、210107施行)」と、

②「仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第9条に基づく 施行規則第18号(210129官報公示、210201施行)」のポイント

 

①「仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第9条に基づく 施行規則第17号(210106官報公示、210107施行)

200326に施行した非常事態宣言は延長され続けているが、直近では新型コロナウィルス(COVID-19)国内感染が多発しており、大多数の国民が協力的であるにもかかわらず、最重点警戒区(レッドゾーン)の一部で徹底的な感染防止追加策を要する事態が発生している。

第1項 (動線記録・コロナ発生状況案内アプリである)「モーチャナ(หมอชนะ)」の医療向けと国民向け推奨。従来の(各種施設の出入り記録アプリである)「タイチャナ(ไทยชนะ)」との併用を推奨。

第2項 徹底的な感染防止追加策を要する最重点警戒区(ダークレッドゾーン)を設定する。対象県はチャンタブリ、チョンブリ、トラート、ラヨーン、サムットサーコンとする。ダークレッドゾーンから他のゾーンに越境する際は所定の様式を提示する。ダークレッドゾーン内の居住者には「モーチャナ(หมอชนะ)」を使用させる。

第3項 違法入国、隔離検疫免除、検査免除などの不正行為者や闇賭博場などの感染危険行為者に対する厳重な処罰。対象には公務員を含む。

第4項 違反者に対する罰則は2年以下の禁固/4万バーツ以下の罰金。感染者が行動履歴を詐称した場合も対象となり得る。

 

②「仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第9条に基づく 施行規則第18号(210129官報公示、210201施行)

200326に施行した非常事態宣言は9回の延長により210228までとなっているが、徹底的な感染防止追加策を要する最重点警戒区(ダークレッドゾーン)における最高レベルの防疫措置を行った結果、一定の成果を得ることができたため、経済社会活動と感染防止対策の両立を図るための緩和基準を設定する。

第1項(1) 施行規則第17号(上記)に基づく徹底的な感染防止追加策を要する最重点警戒区(ダークレッドゾーン)の対象県をサムットサーコンとする(他の4県は対象から外す)。

         (2) 施行規則第16号に基づく最重点警戒区(レッドゾーン)の対象都県をバンコク、ノンタブリ、パトムタニ、サムットプラカーンとする。

         (3) COVID-19対策本部(CCSA)通達第2/2564号に基づき、警戒区(オレンジゾーン)、高度注意区(イエローゾーン)、注意区(グリーンゾーン)を設定する。

         警戒区(オレンジゾーン)             カンチャナブリ、チャンタブリ、チャチュンサオ、チョンブリ、トラート、ターク、ナコンナーヨック、ナコンパトム、プラチンブリ、ペッブリ、ラヨーン、ラチャブリ、ロッブリ、サムットソンクラーム、サケオ、サラブリ、シンブリ、スパンブリ、アユタヤ、アントーン。

         高度注意区(イエローゾーン)      カンペンペット、チャイナート、チャイヤプーム、チョンポーン、ナコンラチャシマ、ナコンサワン、ナラティワート、ブリラム、プラチュオブキリカン、パンガー、ペチャブーン、ヤラー、ラノーン、ソンクラー、スコータイ、スラタニ、ウタイタニ。

         注意区(グリーンゾーン)             クラビー、カラシン、コンケン、チェンライ、チェンマイ、トラン、ナコンパノム、ナコンシタマラート、ナーン、ブンカーン、パッターニ、パヤオ、 パッタルン、ピチット、ピサヌローク、プレー、プーケット、マハサラカーム、ムクダハン、メーホンソン、ヤソトーン、ロイエット、ランパーン、ランプーン、ルーイ、シーサケート、サコンナコン、サトゥーン、スリン、ノンカイ、ノンブアランプー、アムナートジャルーン、ウドンタニ、ウタラディット、ウボンラチャタニ。

第2項 徹底的な感染防止追加策を要する最重点警戒区(ダークレッドゾーン)以外の、全国の学校・教育機関の再開、ただし所管官庁基準の十分な感染防止策を採ること。

第3項 徹底的な感染防止追加策を要する最重点警戒区(ダークレッドゾーン)の共通対策措置

         (1) 県伝染病委員会の助言により県知事が命令する感染リスク施設の閉鎖(娯楽施設と類似施設、パブ、バー、カラオケ、サウナ、特殊浴場、健康ランド、タイ式マッサージ、ゲームボックス、ゲームセンター、インターネットカフェ、ボクシング場、屋内運動場、ジム、フィットネス、児童公園、児童遊具、遊園地、公共交通機関ターミナルを含む)。

         (2) 会議、セミナー、宴会等の感染リスク行事の禁止(ただし、例外は施行規則第16号の第2項のとおり)。

         (3) 所管官庁基準の十分な感染防止策を取った上で営業可能となる業種①飲食店(21時までの店内飲食可、店内での飲酒不可)。②百貨店・ショッピングセンター・コミュニティーモール・展示場・会議場・展覧会場(21時までの営業可)、コンビニ・スーパー・小売店・地区卸売店等(通常時間内の営業可)。③市場、定期市、水上市場、卸売市場(入場人数制限あり)。④幼児保育施設と宿泊型高齢者福祉施設。⑤工場・事業所(担当責任者による所管官庁基準の感染防止策)。

第4項 最重点警戒区(レッドゾーン)の共通対策措置

         (1) 感染リスク行事の禁止、感染リスク場所の閉鎖、県境を越える(特にレッドゾーンからの)移動の自粛と交通検問は施行規則第16号に準拠する。

         (2) 施行規則第16号第4項(飲食店での所管官庁基準の十分な感染防止策、着席数制限、店内での飲酒不可だが酒類の持ち帰り可)の例外として、飲食店の23時以降の営業は持ち帰りのみ(着席して飲食できるのは23時まで)。

         (3) 競技場、運動場でのスポーツの練習、競技、指導は可。ただし、競技会の中継放送はできるが無観客試合とする。

第5項 警戒区(オレンジゾーン)の共通対策措置

         感染リスク場所、感染リスク行事は、所管監督官庁基準の十分な感染防止策を取った上で実施可。

         (1) 娯楽施設と類似施設、パブ、バー、カラオケは23時までの営業。

         (2) 飲食店での食事の提供は23時までの営業。

         (3) 店内での飲酒は23時まで可。

第6項 高度注意区(イエローゾーン)の共通対策措置

         感染リスク場所、感染リスク行事は、所管監督官庁基準の十分な感染防止策を取った上で実施可。

         (1) 娯楽施設と類似施設、パブ、バー、カラオケは24時までの営業。

         (2) 飲食店での食事の提供は24時までの営業。

         (3) 店内での飲酒は24時まで可。

第7項 注意区(グリーンゾーン)の共通対策措置

         感染リスク場所、感染リスク行事は、所管監督官庁基準の十分な感染防止策を取った上で実施可。関連法令を遵守する。 

第8項 集団感染防止のため、闘牛場、闘鶏場、闘魚場、それら練習場、類似の行事は引き続き禁止とする。

第9項 外国人労働者の移動輸送については、出発点と終点での都県伝染病委員会の助言による都県知事の許可を要する。

第10項 都県知事からタイCCSA(COVID-19対策本部)への提案権限。

第11項 その他の感染拡大あり得る場所や行事につき、都県知事による追加規制・閉鎖等の権限。

 

2.210131タイ厚生省によるコロナ現況発表:

タイ厚生省疾病対策局ウェブサイトによるタイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は累積感染者18,782人(うち210131新規感染829人)、回復11,615人、治療中7,090人、死亡77人。タイ入国を希望する外国人向けASQ(Alternative State Quarantine: ホテルでの隔離検疫)対応ホテルの登録情報とサービス情報は、タイ厚生省健康サービス支援局COVID-19緊急対応センターのウェブサイトで公開されている(バンコクの125ホテルが16,785室を提供中)。

 

3.タイ政府がコロナ対策で非常事態宣言(全国)を210228まで延長:

「タイ全国を対象とする非常事態宣言の延長(9回目)にかかる告示210106官報公示、210116施行」のポイント:

200326に施行した非常事態宣言は8回の延長により210115までとなっているが、201217以降に多くの県で国内クラスターが発生、累積感染者が急増しており、さらに在タイ外国人労働者に対する集中検査で多数の感染者が確認される事態となっていた。今回の特徴は、無症状の感染者が長い時間にわたり無意識にウィルスを拡散し続けていることや、感染者との接触歴などを隠したりする無責任な者も多く、動線の追跡が難しくなり、感染経路の特定に時間がかかり、防疫措置の遅れをきたしている。これらは国民の秩序と安全、公衆衛生・経済活動・社会生活の安定に対する脅威となっている。したがって、国民の健康と生命の安全を第一に守るため、そして政府が統制のとれた迅速な防疫措置を効率的に実行するためには、引き続き非常事態宣言が必要と判断した。仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第5条に基づき、210105閣議決定により首相が非常事態宣言を210116から210228までの期間再延長する。

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*タイ政府のコロナ対策の実績と日本人ビジネスマンのタイ渡航(210201更新):

2020年1月以降の新型コロナウィルス(COVID-19)危機の中、タイでは首相・主要閣僚・公衆衛生学専門家と各省庁局長クラスが中心となり、200312付け「内閣府通達第76/2563号」により設立された「ศูนย์บริหารสถานการณ์การแพร่ระบาดของโรคติดเชื้อไวรัสโคโรนา 2019 (โควิด – 19): Center for COVID-19 Situation Administration、タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)により、人口10万人あたり感染者0.2人の時点で、200326非常事態宣言を発令して40以上の法律を統合運用し、徹底的な対策(防疫・感染防止・治療)に着手しました。タイ政府は通常予算の組み替えに加えて1兆バーツのCOVID-19対策国債を発行し、その6割をCOVID-19直接対策(防疫・感染防止・治療)に、4割を経済復興に充てて各種プロジェクトを推進中です。別途、タイ中央銀行も9千億バーツの金融政策(5千億バーツの中小企業向け新規ソフトローン等+4千億バーツの金融機関安定策)を採っています。非常事態宣言(+夜間外出禁止令)が功を奏して感染爆発阻止に成功した200503からは段階的に「国民の経済、社会、安全保障の負担を軽減するための規制緩和措置」を進めてきており、タイ国内では国内感染者ゼロ記録を更新し続け、7月上旬時点で第5期まで規制緩和が進み、順調なら追加の緩和(トラベルバブルの実施等)に進む計画も出されました。しかしながら、懸念される二次三次の感染拡大に対処していく予算上の余裕がないタイ政府は、外国人の入国につき苦肉の策で「経済復興に役立つ人材を優先的に入国させる」ため、第5期緩和でVIP外国人優遇枠を設定した直後、200710にラヨーンで発生した「感染エジプト軍パイロットの勝手な外出事件(翌日帰国)」など複数の事件が裏目に出てしまい、200714の閣議でVIP外国人枠は廃止され、外国人全員に14日間(実際は15泊16日)の隔離検疫が義務付けられました(当時、ラヨーン県では200校以上が臨時休校、またホテルの予約キャンセルなど被害が拡がりましたが、幸い二次感染は発生しませんでした)。その後、8月から10月までは落ち着いていましたが、11月以降はミャンマーからの不法入国者などの新規感染者がタイ北部で多数確認されました。年末年始には新規感染(入国者と二次感染)が一日平均200人規模で発生しており、年末年始帰省・国内旅行による人の移動も拡大したことを受け、CCSAは210104と210106からコロナ対策を再強化しています。さらに1月最終週は連日700~900人台と新規感染者が急増しています。最重点警戒区(レッドゾーン)からの県境を越える移動では、移動先の県によっては14日間の隔離措置が義務付けられる場合があります。

上記の経緯の中で、2020年中は入国規制措置(特別便のみ)により、1万人を超える日本人ビジネスマン(200703タイ外務省発表)のタイ入国に遅れが生じていました。現在でも「タイのビジネスビザ申請」と「日本発タイ行きの渡航手続」はかなり複雑で、「前提としてビジネスビザ等を取得」してから、タイ大使館領事部・領事館ウェブサイト上で「①そのビザとCOVID-19対応保険のデータをシステムにアップロード」した上で、「②バンコク到着時の隔離検疫措置(ASQ)対応ホテルと航空券の予約データをアップロード」して、三営業日内に承認されたらCOE(入国保証書)をダウンロード印刷して、さらに出発前72時間以内にPCR検査の無感染証明書を確保してからようやく搭乗・・。バンコクに到着したら空港から14日間(実際は15泊16日)のホテル隔離検疫に直行(PCR検査陽性判定の場合は予約したASQ指定病院に入院)」という流れになっています。タイ政府は2020年8月に週1便、9月に週2便、10月~12月には週3便の特別便で日本人ビジネスマン等を受け入れました。2021年1月からは順次、定期旅客便が復活しています。2月は毎日4便程度の羽田・成田発バンコク行きが計画されている由、タイ大使館領事部ホームページに表示されています。

*当事務所の対策状況:

コロナウィルス(COVID-19)対策のため小社では当面の期間、下記のとおり万全対策を行っております。お客様各位のご協力を賜り、まことにありがとうございます。

お客様対応は「テレビ会議(Web会議)・eメール・電話・ビジネス宅配便のみ」とさせていただいております(対面式の会議は非常事態宣言解除までの期間、自粛させていただきます)。

しばらくご不便をおかけすることとなり誠に恐縮に存じますが、一致協力してこの難関を突破して参りましょう。

以上です(上記は作成した時点でのご参考情報です。実際の運用の際は再度ご確認のほどお願いいたします。なお、西暦 = 仏暦 – 543です)

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御社のご盛業を!日タイ経済産業連携と両国の永続的な友好関係を祈念して!

SME MULTI CONSULTANT CO., LTD.

川島和士 (KAZUSHI KAWASHIMA)