ニュース50号(201115)

SME MULTI CONSULTANT ニュース50号(201115

タイ法令の新しい話題を簡潔にまとめてお伝えします。バックナンバーはhttp://www.thaibiz.jp/?page_id=2551

1.タイ国税局による新型コロナウィルス(COVID-19)減税特別措置の例:

200622官報公示「仏暦2563年(第695号)国税法典関係の免税特例措置にかかる勅令」のポイント:

第3条 本勅令において、「機械」とは、水、蒸気、燃料、風、ガス、電気の力またはその他のエネルギーのいずれか一つ、もしくは複数を合わせ、エネルギーの発生、エネルギー状態の変化もしくは変質、またはエネルギー送電に使用するために複数の部品で構成される物を指す。また、機械装置、フライホイール、プーリー、ベルト、アクセル、ギア、または反応して作動するその他の物を含める。ただし、車両で当該車両関連法に基づく登録が必要なものは含めない。

第4条 会社または法人パートナーシップに対し、仏暦2563年1月1日から仏暦2563年12月31日までに設備投資の目的で実際に支払った支出額の150%相当の所得について国税法典第2編第3章第3節の所得税(法人税)を免税する。ただし国税法典第65条3(5)の従来の状態を維持する修理は除く。局長が告示で定める原則、方法、条件に基づく。
② 前段はリーシングを営む会社または法人パートナーシップ、および当該機械のリーシングを目的とする設備投資の場合には適用しない。

第5条 第4条の機械は、下記に該当すること。

(1)これまでに使用されたことがない。
(2)国税法典第65条2(2)に基づき資産の減価償却が可能な機械である。なお、仏暦2563年12月31日までに取得し目的通りに使用できる状態にある。
(3)タイ国内にある。
(4)全部または一部を問わず、国税法典に基づき発布された勅令により免税措置を受けた機械ではない。
(5)全部または一部を問わず、投資奨励法、ターゲット産業国家競争力強化法、東部特別開発区法に基づき法人税の免税を受けた事業で使用している機械ではない。

200622官報公示「仏暦2563年(第696号)国税法典関係の免税特例措置にかかる勅令」のポイント:

第3条 タイスポーツ局、県スポーツ委員会、県スポーツ協会、「タイ国」が名前についたスポーツ協会、タイスポーツ法に基づき設立された国家スポーツ開発基金、体育教育局に対し、スポーツ設備の設置、練習または競争、競技場または国家スポーツ練習センターの設置および開発、競技会開催支援、またはタイスポーツ法に基づくスポーツ関係者および競技者の育成を目的として仏暦2562年1月1日から仏暦2562年12月31日までに行われた電子寄付システムを経由した寄付について、下記の通り国税法典第2編第3章第2節および第3節の所得税(個人所得税と法人税)を免税する。

(1)省略
(2)法人の場合、金銭または財産により支払った寄付支出の2倍の金額を所得控除(損金算入)する

②前段の免税は局長が告示で定める原則、方法、条件に基づく。

「電子寄付システム」とは、国税法典に基づく免税特例措置の利用における証拠として使用する目的で、電子データ形式による寄付データの構築および保管に使用するシステムを指す。

200622官報公示「仏暦2563年(第697号)国税法典関係の免税特例措置にかかる勅令」のポイント:

第3条 仏暦2563年1月1日から仏暦2563年12月31日までに、会社または法人パートナーシップが従業員のために開催した国内セミナーのセミナー部屋代、宿泊費、運送費、もしくは関連のその他支出として支払った、または、当該セミナーのために観光業およびガイド法に基づく観光事業者にサービス料金として支払った支出額の100%相当の所得について、国税法典第2編第3章第3節の所得税(法人税)を免税する。局長が告示で定める原則、方法、条件に基づく。

200622官報公示「仏暦2563年(第698号)国税法典関係の免税特例措置にかかる勅令」のポイント:

第3条 ホテル法に基づくホテル事業者である会社または法人パートナーシップに対し、国税法典第65条3(5)の従来の状態を維持する修理は除き、事業関連物件の改修、拡張、改造、増設を目的とした支出で実際に支払った支出額の150%に相当する所得について国税法典第2編第3章第3節の所得税(法人税)を免税する。下記の物件であること。

(1)ホテル法に基づくホテル事業に使用する恒久的建物
(2)(1)の建物に恒久的に設置され構成要素となっている家具または内装

②前段に基づき支払った支出は、仏暦2563年1月1日から仏暦2563年12月31日までに支払いが行われること。なお、局長が告示で定める原則、方法、条件に基づく。

200622官報公示「仏暦2563年(第702号)国税法典関係の免税特例措置にかかる勅令」のポイント:

第3条 局長が告示で定め、工業経済事務局(Office of Industrial Economics)から製品認証を受けた生分解性プラスチック製品の購入代としての支出額の25%に相当する所得について、会社または法人パートナーシップに対し国税法典第2編第3章第3節の所得税(法人税)を免税する。なお、仏暦2562年1月1日から仏暦2564年12月31日までに支払われた支出を対象とする。
②なお、前段の所得税免税は局長が告示で定める原則、方法、条件に基づく。

200622官報公示「仏暦2563年(第705号)国税法典関係の免税特例措置にかかる勅令」のポイント:

第4条 以下の内容を、仏暦2500年国税法典に基づき発布された国税免税にかかる勅令(第10号)第5条25に追加する。「第5条25 外国の法律に基づき設立され、タイ国内で事業を営んでいない会社または法人パートナーシップに対し、タイ中央銀行の公債の利息またはタイ中央銀行法に基づく金融機関システム開発および復興基金の公債の利息である課税所得について、タイ国の国税法典第2編第3章第3節の所得税(法人税)を免税する」。

200622官報公示「仏暦2563年(第706号)国税法典関係の免税特例措置にかかる勅令」のポイント:

第3条 仏暦2563年1月1日から仏暦2565年12月31日までに行われた電子寄付システムを経由したタイ赤十字社に対する寄付について、下記の通り国税法典第2編第3章第2節および第3節の所得税(個人所得税と法人税)を免税する。

(1)    省略
(2)    法人の場合、金銭または財産を問わず、寄付額の2倍額を所得控除(損金算入)する。

②前段の控除は、局長が告示で定める原則、方法、条件に基づく。
③「電子寄付システム」とは、国税法典に基づく免税特例措置の利用における証拠として使用する目的で、電子データ形式による寄付データの構築および保管に利用するシステムを指す。

200712官報公示「仏暦2563年(第707号)国税法典関係の免税特例措置にかかる勅令」のポイント:

第3条 仏暦2562年9月30日以前に決算日を迎える、国税法典第65条に基づき12ヵ月と定められた直近会計年度の事業収入または事業に起因する収入が5億バーツ以下であり、当該会計期間の雇用労働者数が200人以下の会社または法人パートナーシップに対し、仏暦2563年3月10日付内閣決議に基づく新型コロナウイルス感染症(2019年)の流行に直接的および間接的に影響を受けた事業者救済のための低金利融資措置に基づく借入金の利息としての支出額の50%に相当する所得について国税法典第2編第3章第3節の所得税(法人税)を免税する。仏暦2563年4月1日から仏暦2563年12月31日に生じた利息に限る。なお、局長が告示で定める原則、方法、条件に基づく。

200712官報公示「仏暦2563年(第708号)国税法典関係の免税特例措置にかかる勅令」のポイント:

第3条 会社または法人パートナーシップに対し、仏暦2537年社会保険法(第2版)により改正された仏暦2533年社会保険法第33条に基づく保険加入者である被雇用者に対し仏暦2563年4月から仏暦2563年7月までの労働賃金として支払った支出額の200%に相当する所得について、国税法典第2編第3章第3節の所得税(法人税)を免税する。実際の支給額に基づき、当該被雇用者は1ヵ月あたりに受け取る賃金が15,000バーツを超えないこと。局長が告示で定める原則、方法、条件に基づく。
②前段の支出は、仏暦2563年4月1日から仏暦2563年7月31日に支払われること。

「賃金」とは、時間制、日給制、週給性、月給制、またはその他の期間制により通常の労働時間において雇用契約に基づき雇用主と被雇用者が労働報酬として支払うことに同意した金銭を指す。また、被雇用者が働かない休日および休暇日において雇用主が被雇用者に支払う、被雇用者が労働者保護法により取得する権利を有している金銭も含める。ただし、時間外労働手当、賞与、または雇用主が被雇用者に支払う雇用に起因するその他の資産または報酬は含めない。

第4条 第3条の所得税免税を受ける会社または法人パートナーシップは下記に該当すること。

(1)仏暦2562年9月30日以前に決算日を迎える、国税法典第65条の原則に基づき期間12ヵ月と定められている直近の会計期間において、事業収入または事業に起因する収入が5億バーツを超えない。また、当該会計期間における雇用労働者数が200人を超えない。
(2)場合により仏暦2563年4月、仏暦2563年5月、仏暦2563年6月、仏暦2563年7月のいずれかの月の末日において、被保険者である被雇用者の数が仏暦2563年3月末日の保険加入者である被雇用者数を下回らないこと。ただし、適切な事由がある場合をのぞく。局長による告示の定めに基づく。
(3)全部または一部を問わず、第3条の雇用における支出に起因する、国税法典に基づき発布された勅令による所得税免税特例措置を使用していない。
(4)局長が告示で定める原則、方法、条件を遵守する。

2.タイ政府がコロナ対策で非常事態宣言(全国)を201131まで延長:

「タイ全国を対象とする非常事態宣言の延長(7回目)にかかる告示201029官報公示、201101施行)」のポイント:

200326に施行した非常事態宣言は6回の延長により201031までとなっているが、世界中で感染確定者が引き続き急増し、さらにタイ隣接国において感染急拡大が食い止められない状況となっている。タイ政府は公衆衛生基準による出入国者検疫を法律に基づき徹底実施しているが、正規のルートではない自然の国境地帯を通ってそのままタイに不法入国する外国人が後を絶たず、当該感染拡大国から入国した外国人の感染者が出る事態となっている。これによるタイ国内二次感染拡大が懸念され、かつ、「ワクチンや治療法も確立できていない中でウィルスが多様に変異している」との医療情報もある。これらは公衆衛生、経済活動、社会生活の安定に対する脅威となっている。

したがって、国民の健康と生命の安全を第一に守るため、政府が統制のとれた迅速な政策を効率的に実行するためには、引き続き非常事態宣言が必要と判断した。仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令第5条に基づき、201028閣議決定により首相が非常事態宣言を201101から201130までの期間再延長する。

201115      タイ厚生省によるコロナ現況発表:

タイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は累積感染者3,874人(うち新規感染8人)、回復3,715人、治療中99人、死亡60人。タイ入国を希望する外国人向けASQ(Alternative State Quarantine: ホテルでの隔離検疫)対応ホテルの登録情報とサービス情報は、タイ厚生省健康サービス支援局COVID-19緊急対応センターのウェブサイトで公開されている。

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*タイ政府のコロナ対策概要と日本人ビジネスマンのタイ渡航(201115更新):

2020年1月以降の新型コロナウィルス(COVID-19)危機の中、タイでは首相・主要閣僚・公衆衛生学専門家と各省庁局長クラスが中心となり、200312付け「内閣府通達第76/2563号」により設立された「ศูนย์บริหารสถานการณ์การแพร่ระบาดของโรคติดเชื้อไวรัสโคโรนา 2019 (โควิด – 19): Center for COVID-19 Situation Administration、タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)により、人口10万人あたり感染者0.2人の時点で、200326非常事態宣言を発令して40以上の法律を統合運用し、徹底的な対策(防疫・感染防止・治療)に着手しました。タイ政府は通常予算の組み替えに加えて1兆バーツのCOVID-19対策国債を発行し、その6割をCOVID-19直接対策(防疫・感染防止・治療)に、4割を経済復興に充てて各種プロジェクトを推進中です。別途、タイ中央銀行も9千億バーツの金融政策(5千億バーツの中小企業向け新規ソフトローン等+4千億バーツの金融機関安定策)を採っています。非常事態宣言(+夜間外出禁止令)が功を奏して感染爆発防止に成功した200503からは段階的に「国民の経済、社会、安全保障の負担を軽減するための規制緩和措置」を進めてきており、タイ国内では国内感染者ゼロ記録を更新し続け、7月上旬時点で第5期まで規制緩和が進み、順調なら追加の緩和(トラベルバブルの実施等)に進む計画も出されました。しかしながら、懸念される二次三次の感染拡大に対処していく予算上の余裕がないタイ政府は、外国人の入国につき苦肉の策で「経済復興に役立つ人材を優先的に入国させる」ため、第5期緩和でVIP外国人優遇枠を設定した直後、200710にラヨーンで発生した「感染エジプト軍パイロットの勝手な外出事件(翌日帰国)」など複数の事件が裏目に出てしまい、200714の閣議でVIP外国人枠は廃止され、外国人全員に14日間(実際は15泊16日)の隔離検疫が義務付けられました(当時、ラヨーン県では200校以上が臨時休校、またホテルの予約キャンセルなど被害が拡がりましたが、幸い二次感染は発生しませんでした)。

201115現在(第7期)、ほぼすべての店舗(撤退店舗を除く)が通常営業に戻っていますがマスク着用やソーシャルディスタンスは義務付けられています。なお、現時点では入国規制措置(民間定期旅客便は飛行禁止中)により、1万人を超える日本人ビジネスマン(200703タイ外務省発表)のタイ入国に遅れが生じています。現在、「タイのビジネスビザ申請」と「日本発タイ行き特別便の渡航手続」は非常に複雑で、「前提としてビジネスビザ等を取得の上、「バンコク到着後の隔離検疫措置(ASQ)対応ホテル(バンコクの108ホテルが14,479室を提供中)」と航空券を予約の上、タイ大使館領事部・領事館に「COVID-19対応保険ほか関係書類一式」をeメール提示・登録し、OKがでたらeメールでCOE(入国保証書)が発行され、出発前72時間以内にPCR検査してからようやく搭乗・・。バンコクに到着したら空港から14日間(15泊16日)のホテル隔離検疫に直行(PCR検査陽性判定の場合は予約したASQ指定病院に入院)」という流れになっています。8月は週一便、9月は週二便でしたが10月~12月は週三便の特別便で日本人ビジネスマンを受け入れる体制です。

*当事務所の対策状況:
コロナウィルス(COVID-19)対策のため小社では当面の期間、下記のとおり万全対策を行っております。お客様各位のご協力を賜り、まことにありがとうございます。

お客様対応は「テレビ会議(Web会議)・eメール・電話・ビジネス宅配便のみ」とさせていただいております(対面式の会議は非常事態宣言解除までの期間、原則として自粛させていただきます)。

しばらくご不便をおかけすることとなり誠に恐縮に存じますが、一致協力してこの難関を突破して参りましょう。

以上です(上記は作成した時点でのご参考情報です。実際の運用の際は再度ご確認のほどお願いいたします。なお、西暦 = 仏暦 – 543です)

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御社のご盛業を!日タイ経済産業連携と両国の永続的な友好関係を祈念して!

SME MULTI CONSULTANT CO., LTD.

川島和士 (KAZUSHI KAWASHIMA)