ニュース 39号 (200601)

SME MULTI CONSULTANT ニュース39号(200601)

タイの法令の新しい話題を簡潔にまとめ、月一回のペースで送信いたします。(西暦 = 仏暦 − 543)

1.タイ政府がコロナ対策非常事態宣言(+夜間外出禁止令)を200630まで再延長、規制緩和第3期へ(200517~200529更新分):

200325付けでプラユット首相が宣言し、同日付け官報で公示され、200326から200430の期間施行されている「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第5条に基づく)タイ全国を対象とする非常事態宣言」と、「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第9条に基づく)施行規則第1号」についてはSME MULTI CONSULTANTニュース22号をご参照下さい。また、200531まで非常事態宣言(+夜間外出禁止令)が延長された際の「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第9条に基づく)施行規則第5号」についてはSME MULTI CONSULTANTニュース33号をご参照下さい。

200312付け「内閣府通達第76/2563号」により設立された「ศูนย์บริหารสถานการณ์การแพร่ระบาดของโรคติดเชื้อไวรัสโคโรนา 2019 (โควิด – 19): Center for COVID-19 Situation Administration、タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)は、200325付け官報で公示された「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令に基づく)特別執行機関設立にかかる総理大臣通達 第2563/5号」により、そのまま新型コロナウィルス(COVID-19)の非常事態に対応しています。CCSAでは、200325から内閣府広報局テレビ(NBC)、マスコミ公社テレビ(MCOT)やラジオの生放送だけでなく、直管のフェイスブックやユーチューブ等のビデオオンデマンドも活用して1回1時間程度の直接情報公開を行い、毎日2~3回更新しています。タイ語ですが一部は英語でも広報されています。

例: 200529タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)政策説明・進捗報告(内閣府広報局ユーチューブ)

日々の政策説明・進捗報告のポイントは下記のとおりです(200516までの分はSME MULTI CONSULTANTニュース38号をご参照下さい)。

200516(続き) ラワロン財務省財務経済課長:タイ国民66百万人に対するタイ政府の金銭給付制度全体像の説明。①~④の40百万人は着手済み。二重受給はできない。

① 社会保険加入者11百万人労働省社会保険の失業給付
② 自由業16百万人財務省5千バーツ×3ヶ月間
③ 農業10百万人農業省  5千バーツ×3ヶ月間
④ 公務員3百万人政府公務員福利厚生制度
⑤ 乳児・高齢・障碍者13百万人社会開発・人類安全保障省検討中
⑥ 少額所得者2.4百万人財務省検討中
⑦ ②③登録不可能者1.7百万人財務省検討中
⑧ 緊急の社会的弱者1百万人社会開発・人類安全保障省検討中
⑨ 18歳未満の者 13.5百万人

 

200517           ポンラワン デジタル経済社会省審議官(医師):事業者(各種施設や店舗、行事主催者)向け行動追跡アプリ「タイチャナ(タイの勝ち)」の登録方法の説明。利用者(来店者)向けタイチャナの機能説明。利用者はタイチャナ画面上で目的地の施設や店舗の混雑度(現在入店者数と入店限度人数)をリアルタイムで確認できる。urlはwww.ไทยชนะ.comとタイ語でタイチャナと綴っている。英語でthaichanaなどと綴った偽サイトがあるのでご注意を。このアプリの目的は国民の皆さんの安全確保、感染拡大再発防止に限定されている。

200518           ロンナドン タイ中央銀行副総裁(金融機関安定化担当):コロナ危機対策で、タイ中央銀行の小規模債務者向け既存融資の返済猶予措置実施中。現時点で13.08百万件のローン(4.6兆バーツ分に相当)に対する支援実績。

① クレジットカードローン分割返済額を5%まで減額、48ヶ月の分割返済期間、利子6%減率(18から12%へ)。
② つなぎ資金ローン48ヶ月の分割返済期間、利子6%減率(18から12%へ)、元利返済の3ヶ月猶予。
③ 住宅ローン元利返済の3ヶ月~6ヶ月猶予、分割返済期間延長、一回当たり返済額の減額。
④ キャッシング・自動車ローン・リース・中小企業ローン 元利返済の3ヶ月~6ヶ月猶予、分割返済期間延長、一回当たり返済額の減額。

さらに、返済期日に遅れた場合の延滞利息計算式の特別公正化措置。例:住宅ローンで5百万バーツ融資。20年返済、月々返済額42,000バーツ、利率8%、延滞利率15%の契約。

措置前の計算式         元本残高総額4.77百万バーツ×特別延滞利率7%(通常より8%減免)×30日÷365=27,443.84バーツ

措置後の計算式         当月返済分元本1バーツ×特別延滞利率7%(通常より8%減免)×30日÷365=57.53バーツ

一方、中小企業向けの新規融資では、下記の支援策を展開中(措置期間200423~211022)。

① ソフトローン与信促進措置(soft loan):

         191231時点の融資高の20%までの与信枠、低利2%で2年間の返済期限(融資出来高ベース)、最初の6ヶ月無利子で元本のみ返済。手数料無料(このソフトローンでの銀行手数料徴収禁止)。中銀のソフトローンは5千億バーツ規模でタイの中小企業の復旧を支えていく。ソフトローンの利用資格はタイ国内事業者であり、株式市場に上場しておらず、201231時点で不良債務者(NPL)ではなく、金融機関からの与信枠5億バーツ以下であること。現時点で25,127件で426億バーツの与信決済済み(1件平均1.7百万バーツ)。

② 返済猶予措置(loan payment holiday):

         全銀行における6ヶ月間の自動的返済猶予、延滞の不適用・与信履歴に傷がつかない(措置期間満了後も銀行一括取立て禁止)。

*金融サービス利用者保護センターのホットラインは1213。

200519           プラユット首相(CCSA代表):タイ航空を破産裁判所管轄で会社更生することを閣議で了承した。タイ航空は長年に亘りタイを世界に広報宣伝し、国益をもたらす媒体の役割を果たしてきた、また従業員2万人の組織でもあるので、無事に会社更生できることを祈っている。

200526           ナルモン内閣府報道官:非常事態宣言の延長については、公衆衛生上の必要性を重視しており、政治的目的は存在しない。

「タイ全国を対象とする非常事態宣言の再延長にかかる告示200526官報公示、200601施行)」のポイント:

200326に施行した非常事態宣言は延長により200531までとなっており、この間に実施した夜間外出禁止令、外国からの入国制限措置、感染危険地帯への進入禁止、感染危険場所の閉鎖、タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)による各種対策措置を進めてきたが、未だ海外においては感染拡大の危機が続いているため、活動規制の緩和による感染拡大の再発が重大な課題となっている。したがって、国民の生命の安全を守るため、政府が統制のとれた迅速な政策を効率的に推進するためには、引き続き非常事態宣言が必要と判断した。仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第5条に基づき、200601から200630まで非常事態宣言を再延長する。政府は感染拡大防止策を推進するとともに国民の活動規制緩和を行い、国民生活の正常化を図っていく。

200517~29    タウィーシンCCSA報道官(精神科医師): ← 200517~200529日分の発表を編集抄訳

200517タイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は累積感染者3,028人(うち新規感染3人、全員パキスタンとエジプトからの帰国タイ人)、回復2,856人、治療中116人、死亡56人。累積感染者内訳は、首都圏1,703人、中部393人、南部726人、北部95人、東北部111人。全世界累積感染者数472万人(タイは3,028人で70位)、死者数は31.3万人。

200529タイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は累積感染者3,076人(うち新規感染11人、全員クウェートからの帰国タイ人)、回復2,945人、治療中74人、死亡57人。累積感染者内訳は、首都圏1,722人、中部411人、南部737人、北部95人、東北部111人。全世界累積感染者数590万人(タイは3,076人で77位)、死者数は36.2万人。

200517にスタートした活動規制の緩和措置(第2期)にともない、各種施設や店舗、各種行事が再開されている。皆さんの安全確保と感染者発生時の迅速対応を期して開発された政府推奨(強制ではない)の行動追跡アプリ「タイチャナ(タイの勝ち)」は、タイ全国共通のアプリで、各種施設や店舗、行事主催者がタイチャナをダウンロードして店舗登録し、その入口にQRコード等を掲示すれば、利用者がスマホカメラでQRコードをスキャンするだけで自動的に入出店記録される。利用者は出店時にスキャンし忘れないよう要注意。

200517 20:00現在、タイチャナ登録店舗数全国44,386箇所(うちバンコク14,187箇所)、累積入店者数2,002,897人。

200527 21:00現在、タイチャナ登録店舗数全国120,953 箇所、累積入店者数14,719,447人。施設・店舗の混雑度チェック利用累積数14,980,678人

タイ政府のコロナウィルス対策は非常に多岐にわたり、しかも迅速で統制がとれ、かつ各機関が連携して展開している。もし、伝染病法だけに基づき厚生省が他省庁に働きかけていては実現できなかったような、まさにタイ政府の総力結集態勢だ。これが実現できているのは、非常事態宣言発令により40数本の関連法をまとめ、所管官庁・自治体を総動員できているからだ。さらに国民の皆さんの忍耐と自発的な協力の賜物と感謝している。今までデモも反対運動も発生していない。これこそがタイの感染拡大抑制成功の秘訣だ。

活動規制緩和措置は、現行の第2期から(200601にスタートする)第3期に進むが、全体計画では第4期までの4段階で徐々に規制緩和していく。マスク着用忘れずに。ガード緩めることなく皆で頑張ろう。

200527     ソムサック国家安全保障会議事務局長:「非常事態宣言の200630までの延長と、200601にスタートする経済生活必需活動と医療健康促進活動の規制緩和措置(第3期)」の根拠法令となる「仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第9条に基づく施行規則第9号(200529官報公示、200601施行)等」および、その運用指針となる「COVID-19対策本部(CCSA)通達第4/2563号:仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第9条に基づく施行規則運用指針その3(200530官報公示・200601施行)」の説明(詳細下記)。

「仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第9条に基づく施行規則第8号(200529官報公示、同日施行)」のポイント:

下院ランパーン県第4選挙区補欠選挙実施の勅令により200615が投票日となった同選挙につき、非常事態法の一部の緩和措置を採る。COVID-19感染拡大防止のため閉鎖中の学校や公会堂等の施設を開放し、選挙運動は感染危険行為から除外する。ただし、感染防止策としての清掃、検温、マスク着用、手洗い消毒、社会的間隔、密集防止などは遵守すること。選挙管理委員会は有権者に対して有権者証明書を発行し、通行の際の証拠書類とする。投票状況の確認や開票作業のため、選挙管理委員会関係者と立候補者に対する夜間外出禁止を解除する。ランパーン知事は適切な感染拡大防止策を採る。

「仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第9条に基づく施行規則第9号(200529官報公示、200601施行)」のポイント:

この施行規則第9号は、現行の「仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第9条に基づく施行規則第7号(200515官報公示、200517施行)」を「COVID-19感染防止措置による国民の経済、社会、安全保障の負担を軽減するための規制緩和措置の第2期」とみなし、それに続く今回の追加の規制緩和措置を第3期と位置付けているものである(訳者注:5月後半の国内感染拡大防止策の効果を認めつつも、未だ世界的感染爆発の危機の渦中であり、外国からのタイ入国者による感染拡大の危険に対応し、規制緩和を進めつつも感染拡大の再発を注意深く監視し、感染拡大発生時には迅速対応、すなわち規制緩和を止めるとの記載あり)。

第1項 タイ全国で23時~3時の夜間外出禁止。例外規定の「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第9条に基づく)施行規則第3号(200410施行)」は引き続き有効。23時前に出発し翌日3時以降に目的地に到着する夜行バスによる県境越境移動は容認。

第2項 (1)学校・教育機関の閉鎖(例外:ネット授業・行事)につき、右のとおり規制緩和して2020年度新学期に備える、①試験・選考のみ再開。 

第3項 「仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第9条に基づく施行規則第6号(200501官報公示、200503施行)」および「仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第9条に基づく施行規則第7号(200515官報公示、200517施行)」に対する追加規制緩和と、仏暦2558年伝染病法または「仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第9条に基づく施行規則第5号(200501官報公示、200503施行)」により閉鎖・活動制限対象となっていた全国の場所・行事につき、都県知事の権限により右のとおり営業規制緩和。

(1) 経済生活必需活動 ①「百貨店・ショッピングセンター・コミュニティーモール内」の営業時間21時まで。 ②2万平米以内の展示場、会議場、展覧会場での展示会展覧会開催の営業時間21時まで。なお、競技や特売セール等密集行為禁止。 ③ミニチュア仏像店、イベントや特売セール等密集行為禁止。④理髪美容院。男性・女性とも、2時間以内のサービス(カラーリングOK)。待合椅子禁止。⑤(フード配送サービス業者の子弟向け)保育所・託児所。政府の感染防止対策基準に準拠すること。

(2)医療健康促進活動: ①美容整形医院、ビューティーサロン、入れ墨・ピアス店。 ②健康事業者、スパ、タイ式マッサージ店(共用のサウナ・薬草サウナ・スチームサウナ、顔面マッサージ自粛)、フットマッサージ店(入浴施設・特殊浴場を除く)。③フィットネス。グループ種目は利用者人数制限する。共用のサウナ・スチームサウナ自粛。 ④ムエタイスクール、ムエタイ訓練施設(シャドーボクシング・サンドバッグ使用可、組手・試合不可、見学不可)。 ⑤競技場、右の競技に限る。サッカー、フットサル、バスケットボール、バレーボール。競技者以外の入場は10人まで、試合不可。 ⑥ボーリング場、スケート・ローラーブレード場等。運動と練習のみ。 ⑦社交ダンスホール、社交ダンス教室。 ⑧ジェットスキー、カイトサーフィン、バナナボートなど貯水池での使用。試合不可、数量規制。 ⑨200人以下の映画館、劇場、興行場。興行場ではリケー、ラムタット、伝統芸能のみ。コンサートなど密集リスクある行為自粛。 ⑩動物園、動物展示。人数制限。 

第4項 上記の営業につき、感染防止策の義務付けと仏暦2558年伝染病法による都県知事の指導・取り締まり、閉鎖命令、再開許可権限。

第5項 県境を越える移動がコロナ感染拡大防止に一定の役割を果たしてきたことに鑑み、外国からの入国者を含め、引き続き県境における感染防止対策を継続する。これにより渋滞時等の不便が発生することがある。感染の恐れある者については、当局による隔離措置権限を留保する。

第6項 この施行規則の該当可否にかかる疑義の解決担当は国家安全保障会議事務局長とする。

第7項 コロナ感染防止対策に携わる当局者なりすまし犯罪に対する取り締まりは、全国の人権センターとタイ政府COVID-19対策本部(CCSA)が対応。

COVID-19対策本部(CCSA)通達4/2563号:仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第9条に基づく施行規則運用指針その3(200530官報公示・200601施行)」のポイント:

次号に記載します。

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*当事務所の対策状況:

コロナウィルス(COVID-19)対策のため小社では当面の期間、下記のとおり万全対策を行っております。お客様各位のご協力を賜り、まことにありがとうございます。

お客様対応はテレビ会議(Web会議)・eメール・電話に「全てを切り替え済み」です(対面式の会議は当面の間、自粛させていただきます)。

しばらくご不便をおかけすることなり、誠に恐縮に存じますが、一致協力してこの難関を突破して参りましょう。

*お知らせ:

当事務所では在タイ日系企業向けに、社会保険(失業またはCOVID-19による一時帰休)補償給付申請の相談/支援業務を日本語とタイ語で行っております。

以上です(上記は作成した時点でのご参考情報です。実際の運用の際は再度ご確認のほどお願いいたします。なお、西暦 = 仏暦 – 543です)

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御社のご盛業を!日タイ経済産業連携と両国の永続的な友好関係を祈念して!

SME MULTI CONSULTANT CO., LTD.

川島和士 (KAZUSHI KAWASHIMA)